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欧州『円建てローン』の考察②=コインの裏表の投資行動、「外為特会」との相似
 欧州人が「円建てローン」に傾斜する投資行動と、日本人が外貨に向かう投資行動は、コインの裏表のようなものであろう。金利の高い国の投資家が、金利の低い通貨を借り入れて現地で何かに投資する行動は、金利の低い国(日本)の投資家が高い金利の通貨に投資するのと同じリスクを負っており、いずれの投資家も「低金利通貨高・高金利通貨安」で損失を負ってしまう。日本でグロソブが流行るのと、欧州で円建てローンが流行るのは、同じ投資心理が働いているわけだ。
 ただ、投資の仕組みとして、グロソブと円建てローンは同じではない。借金をしてグロソブに投資している人がいれば別だが、恐らくはそういう人はいないであろう。大半は現預金をグロソブに転換しており、これは資産構成の内訳が変わったに過ぎない。仮に借金してグロソブを買っているなら、負債に円の借り入れ、資産に外貨商品が計上され、欧州人の円建てローンと同じになる。または、銀行から借金して欧州の不動産を買っている日本人がいれば欧州円建てローンと完璧に同じ。
 色々考えたのだが、欧州の円建てローンと同じリスク構成になっているのは「外為特会」なのではないかと思った。FBを発行して調達した円を外為市場で売って外貨を買っているのだが、資産・負債の構造は円建てローンと同じである。違いと言えば、特会の資産が米政府債であるのに対し、円建てローンの資産がユーロ建ての不動産であること。負債はいずれも恐らくは円の短期変動金利であると思われる。
 もとより、欧州人は投機行動として積極的に円建てローンに関わる一方、外為特会は為替安定の結果として現在の膨張した姿になってしまっている。つまり前者はチャンスがあれば能動的に利食えるが、後者はそうした行動はできないと考えられる。もちろんドル急騰・円急落で逆介入すれば別である。日本ではグロソブが急拡大、欧州で円建てローンが膨張を続けて円がどんどん安くなり、それを止めないといけないとなったら、結果として外為特会は利食える。ただ、そのときは通貨防衛状態になっているかもしれず、国家的にはかなりまずい状態だ。

ps 日経金融新聞で欧州の外貨建てローンの話が言及されていた。取り上げてもらい、ありがたい。
by bank.of.japan | 2006-08-16 00:47 | マーケット | Comments(7)
Commented by ネルソン at 2006-08-16 03:24 x
1997年12月と1998年4月、円買いドル売り介入、ありましたね。

97年12月、あれは・・・雪の日だったような気がします。97年末では1ドル130円近辺で、98年春には1ドル140円近辺で売ったわけですが、結果的には、95年の1ドル80円を覗く状況下などで大量に買い込んだドルの一部を利食ったともいえます。あの時、当局筋の一部には、アジア通貨危機が円に飛び火したのではないかと、本気で心配なさっておられた方もいたようです。1ディーラーであった私は、アジア通貨危機の延長で円が売られるなんてことあるのか?と不可解に思いながらも、ずるずると下がり続ける円に言いようのない不安を感じたのは確かです。

ちなみに、過去の介入実績と介入の方向については、財務省が公表しています。http://www.mof.go.jp/feio/034_133.htm。

と、昔話でした。では。
Commented by bank.of.japan at 2006-08-16 11:16
ネルソンさん、どうもです。私のその介入を記憶してます。うがった見方ですが、円安を止めるのが主眼ではなく、まさに利食いであったのではないかと受け止めていました。結果的でしょうが、現に外為特会から一般会計への利益寄与はかなりの規模であったと思います。当時の財務官は榊原氏でありましたね。
Commented by ネルソン at 2006-08-16 21:57 x
なるほど。今まで気が付きませんでした。でも、実はそうだったのかもしれませんね。MOFは、かねてから利食いのタイミングを狙っていたところ、アジア通貨危機を隠れ蓑にドル売りをした、と。ということは、MOFは、特会保有分に積み上がった巨額のドル建て資産からのexit方法の一つとして、円安局面におけるドル売り介入メニューを今でも持っているということかもしれませんね。少なくとも最近9年近くの実績から見ると、なんらかのビッグイシューに市場関係者と海外当局者の耳目が集まっている状況における140円近辺での1兆円相当額程度のドル売りであれば、それほど波風たてずにこなすことができた、ということはMOFの記憶に残っている可能性がありますね。
Commented by EURO SELLER at 2006-08-17 03:19 x
>当時の財務官は榊原氏でありましたね。
なるほど、昨年秋も氏は「125円になったらドル売り介入がありますよ」といっていたのですが、それくらいで利食いを目指すべきだと言ったのですか。日本は本当に資金が潤沢にありますからね。ずっと塩漬けでも10年に一回利食えればよいとなれば、普段曲がりやと言われているにしては、実は壮大な長期投資家の素養をお持ちのようではないかと、本当に見直した次第です。(笑)
Commented by bank.of.japan at 2006-08-17 13:41
ネルソンさん、どうもです。「外為特会」はもちろん為替安定のために存在するものですが、結果的に巨大な「円キャリートレード」として(円高にさえいかなければ)一般会計にとって収益マシーンのような格好にもなっています。為替安定のための介入が、ドルを底値で買い、高値で売るような循環になれば、収益的には最高です。そうなるのか予想は難しいですが…。
EURO SELLERさん、どうもです。永続を前提にした運用であるなら、10年に一回でも利食えればいいわけで…。榊原氏、長期投資家の素養があれば確かに本当に凄いです(笑)。
Commented by システム at 2006-08-17 17:23 x
ちなみに、榊原氏は財務省理財局国債課長(現在は、国債企画課長と国債業務課長に分かれている)の経験がおありです。運用ではなく、発行サイドですが(笑)。
Commented by bank.of.japan at 2006-08-17 18:08
システムさん、どうもです。そう言えばそうでしたね。金貨に絡んでなんかあったような…。
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