ちょっと間が空きました。短い休みを取っておりました。また、人事異動が多く、日銀OBも含めた飲み会もあってエントリー更新が滞り気味で、すみませんでした。さて、とりあえず目に付いたものは、水野委員の福岡での講演。まず、ロンバートに関する正論には賛成したい。
「7月の金融政策決定会合の前に、一部の短期市場参加者の間では、(1)ゼロ金利解除後、補完貸付金利の新しい水準にかかわらず、GCレポレート(T+2)は0.30~0.35%で落ち着く可能性が高い、(2)無担保コールレート(オーバーナイト物)とGCレポレートの間で裁定取引が活発化し、短期金利・長期金利ともに低下地合いになる、という見解でした。実際、7月下旬時点のGCレポレート(T+2)は、30bp台前半で取引が成立しています。株式相場は反発しましたが、長期金利は安定して推移しました。個人的には、補完貸付金利を50bpに設定していても、結果は同じであったと思います」 これは私もそう思う。ロンバートが0.4か、0.5かはどうでもいい話だが、日銀はしかしあまり奇をてらうことはしないもので、むしろオーソドックな行動をとるもの。どうでもいいなら、半端な感じを与える0.4ではなく、0.5にするはずで、むしろどうでもいい数字で半端な結論を出したのは“小さな格差、大きな妥協”というネガティブな印象を与えると思う。この点、水野委員は0.5%を主張したとみられるが、上記の指摘は実態に合っていると受け止められる。 一方、長期金利に関する指摘は違和感を持った。 「なお、最近の債券相場について簡単にコメントしたいと思います。国債イールドカーブの5年セクターまでは『金融政策の正常化』を意識した動きをみせています。一方、5年超のセクターでは、実質金利がマイナスという極めて緩和的な金融環境が将来修正される可能性があるにもかかわらず、私の想定以上に低い水準で推移しています。また、7月に入り、ゼロ金利解除を挟み、インプライド・ボラティリティーの低下は顕著で、残存年限によっては今年2月以来の水準まで低下しています」 債券ストラテジストであった経験からついコメントしたいと思われたのであろうと推測する次第であるが、長期金利が「私の想定以上に低い水準」はやや踏み込み過ぎの感がある。ボートメンバーとして水準感に言及すると、それ自体が影響をもたらすリスクがあり、市場との対話が地均しになるのではないかとの印象を持った。言及するにしても「私の想定以上に低い水準だが、なぜそうなっているのかを吟味したい」と付け加えれば良かったように思う。 言うまでもなく、長期債の市場が間違えている可能性もあり、結果的に水野委員の水準感が正しいかもしれない。しかし、現時点では日銀も市場もどちらが正しいかは分からない。この場合、日銀と市場は対等であり、仮に日銀ボードメンバーの一人として水準に違和感を持っても、それを表明するよりは「なぜ長期金利が低いのか」を留意した方が安全だと思う。でないと、情報発信における「円環性の問題」が発生し得るからだ。 日銀は黙って長期金利を見守るのがいい。
by bank.of.japan
| 2006-08-03 00:17
| 日銀
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Comments(10)
「水野で売ると踏まれる」との揶揄が市場に蔓延りつつあるようです。市場はデータをみて自ずと反応するわけですから、審議委員として不必要なリスクを取りすぎているように見受けられます。
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細かいことを捨象すれば、100%アグリーです。>本石町さん
海外勢には水野氏の信奉者が多いですね。債券ストラテジストだったことで話をする機会が多く、何より、量的緩和、ゼロ金利解除時期が当初の想定より早く、それが(結果論だとしても)水野氏の見方に沿っていた。 ただ、債券市場で言えば、その海外勢が「需給」(ゼロ金利解除直前から中期債を物色するような動き)に警戒しており、売りを弱めている部分は感じますね。ですから、反応しなかった部分はあるでしょう。主因とまでは言えませんが。
walrusさん、どうもです。市場が大人の対応をしている面もありますね。また、金融政策が長期ゾーンに波及しにくい構造的な変化もあると思われます。中央銀行は虚心坦懐に臨むのが正解ではないかと。
システム5.1さん、有難う御座います。なるほど。当日は休んでおり、市場がどう反応したか把握していなかったのですが、解説多謝です。需給要因から、たまたま反応しにくい状況だったとすると、場合によっては響いたかもしれませんね。
「水野で売ると踏まれる」との揶揄、何も昨今の話ではないですぜ
→オイラは元同僚σ( ̄。 ̄) 債券ストラテジストの頃から、「長期金利依存型の国債管理政策の改善」「債券市場の流動性確保のために、日銀は長期国債の売り切りオペ実施」が持論でしたから・・・長期金利水準が不当に低く歪められている、という強い思いが、彼の相場コメントを当たらない方に歪めてきたことは事実だと思ってます(^^;
元IB現PBさん、どうもです。売り切りオペですかあ。それはすごい。ある意味、断続的な利上げよりもハードルは高いかもしれません。もっとも銀行券が激減していくと、売らないといけないかもしれませんが…。あり得るかなあ。
「...踏まれる」の揶揄は初めて耳にしましたが、日銀と市場との関係を常に頭に描きながら話さないと、行き着く先は市場支配者か狼少年かになってしまうのかも。
審議委員はここぞと言う時以外は、スマートにお話された方が憶測を呼ばない、誤解を受けない(いざという時に少しは効果があるかも)と思っています。
「市場支配者か狼少年」言い得て妙です。審議委員とストラテジストの異質性に十二分に配慮する必要があるかと。
「水野で売ると踏まれる」ということは、逆インディケーターとして、きわめて有用な人材というわけ。
ずっとこのままでいてほしい。
このエントリー、中々根強い人気でみなさん(マーケット関係者)の関心の高さが伺えます。元とおりすがりさん、ご指摘賛同いたします。walrusさん、相変わらずの冴えたコメントですね。EURO SELLERさん、ご無沙汰です。なかなかな表現ですね。とおりすがりさん、どうもです。傾向と対策としては一考かもしれません。
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