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「リスク・アペタイトが後退した」のは日銀なのではないか=議事要旨より
 本日、6月14、15日の金融政策決定会合の議事要旨が公表された。この中で、当時の株価下落について、多くの委員は「昨年後半以降の大幅な上昇に対する調整が進んでいる」と認識し、何人かの委員は「実体経済に関する何らかの変調を示すものとまで見る必要はない」との見解を示していた。だったら、この会合でゼロ金利を解除すべきだったのではないか。
 なぜなら、日銀は2年先を見通し、その間の景気回復に自信があったから利上げまで視野に入れて量的緩和の解除に踏み切っているからだ。株価は景気の先行指標と位置付けられるが、必ずしも万能ではない。株安は景気変調のシグナルか、単なる調整なのか。日銀は後者と判断しているのだから、やはりゼロ金利を解除した方が妥当だったし、その方が自らの景気見通しに自信があることを示せる。
 解除しなかったのは、やっぱり株安を気にしたからであろう。何だか投資判断に自信がないデイトレのようである。もっとも日銀の場合は、引き締め方向に張ってしまった政策ポジションはデイトレのように簡単にひっくり返せない。見通しが誤って政策ポジションを損切りするのは出来ないわけではないが、そのときは政策委は総裁以下全員が辞任というロスを最悪覚悟しないといけないだろう。
 なお、議事要旨では、多くの委員が株安に関連し、「投資家のリスク・アペタイトが後退している」と分析している。政策ポジションを張るのもリスクテークとみなせば、むしろこのときは日銀自身のリスクアペタイトも後退していたわけである。

本日の一言

日銀の、気分はデイトレ、損切りは地獄
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ps 株が急騰してよかったね
by bank.of.japan | 2006-07-20 21:45 | 日銀 | Comments(2)
Commented by すなふきん at 2006-07-21 07:29 x
結局政策当局も投資家と同じようにリスクを取って行動しているということはわかるのですが、何しろ国民全体を巻き込む大博打なので。どこまで慎重に行われているのかやや疑問なんですね。失敗しても直接自分たちは痛まないからとかいう気持ちが片隅にでもあるのなら見通しが甘くなるんじゃないかと。どうなんでしょうね、そのへん。いかにも素人感想で失礼。
Commented by bank.of.japan at 2006-07-21 11:50 x
すなふきんさん、どうもです。フォワードルッキングは、ある見通しを前提にリスクテークする政策運営で、うまくいくかどうかは前もっては分からないです。日銀も慎重を期しているはずですが、金利機能の復活にこだわり過ぎているのが心配です。やはりうまくいくのを祈るしかないです。
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