人気ブログランキング |
「準備預金制度」の変貌=中央銀行界はそろそろ定義を見直したいのでは
 本日は日銀短観が発表されたが、詳しい解説はエコノミストなど専門家の方々にお任せしたい。簡単にまとめると、①日銀的にはシナリオ通りの結果②特に大企業・製造業のDIは調査期間が株安局面だったにしては健闘した③ゼロ金利解除の可能性大との見方強まる-であろう。恐らくは市場の見方に日銀もさして違和感がない、といったところか。

 ということで、本日のエントリーは下の続き。各国中銀の金融調節体系を解説した論文に目を通すと、当たり前だが「準備預金制度」が重要な役割を担っていることが分かる。問題は、その役割が教科書的に言われる「金融政策の手段」ではなく、「金融政策(調節)を円滑に行うためのインフラ」であることだ。私は経済学的に「準備預金制度」がどう位置付けられているのかよくは知らないが、現実には短期金利の安定性を確保するための「枠組み」となっている。
 ある程度金融調節の実務が分かるようになってから、例えば「教えて!日銀」の準備預金制度に関する説明を読むと、首を傾げてしまう。
 「準備預金制度とは、金融機関(注)に対して、受け入れている預金等の一定比率(準備率)以上の金額を日本銀行に預け入れることを義務づける制度です。預け入れなければいけない最低金額を『法定準備預金額』あるいは『所要準備額』といいます。準備預金制度は、昭和32年(1957年)に施行された『準備預金制度に関する法律』により、金融政策の手段として導入されました」
 これだけ読むと、何のために存在するのか分からない。金融政策の手段とは、準備率の操作であろうが、最後に操作(引き下げ)されたのは1991年で、以降は変わっていない。準備率の引き下げは金融緩和となるのだが、本当にそうならバブル崩壊過程でどんどん下がったはずで、理屈の上では最後はゼロになり、法定上の準備預金はなくなる。
 論文によると、主要国中銀が準備預金制度(ないしは契約に基づく当預積み立て制度)を持ち、中銀当預への需要の安定化を通じた短期金利の円滑化に寄与している、という。つまり、準備率操作という金融政策手段としての役割ではなく、短期金利を安定的に推移させるインフラ機能が重視されるようになった結果、ある程度の準備預金は必要だと認識され、準備率引き下げは手段として採用されなくなったのであろう。
 ここから先は私の問題意識であるが、民間銀行の立場からすると、金融政策(調節)をやりやすくするために協力していることになる。市場金利が高い場合は、民間銀行は準備預金の利息がゼロだと負担を強いられているわけで、それ故に海外では準備預金に付利されているのだと考えられる。日本ではどうなるか。景気が順調に回復し、金利がプラスになっていく過程で問われる課題であろう。
 中央銀行界としては「準備預金制度」の定義をそろそろ見直したいと考えているのではないかと何となく思った。この場合、経済学的に何か障害があるのか、ちょっと検討がつかない。お分かりの方がいればご指摘を。
by bank.of.japan | 2006-07-03 21:31 | 日銀 | Comments(2)
Commented by 真実一郎 at 2006-07-04 01:49 x
じゃ、「懸賞論文募集」ってことにしたらどうですか(笑)

*** 懸賞論文募集 ***

お題: 以下の論文を読んで、「準備預金制度変更に伴う経済学的障害」について論ぜよ(字数制限なし)。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research/ron0606c.htm

なお、懸賞については追って、「本石町日記」より通知するものとする(笑)。
*** *** *** *** ***

冗談はさておき、「お分かりの方」と言われると少し引きますが、私も時間を見つけて少し考えて見たいと思います。
Commented by bank.of.japan at 2006-07-04 12:51 x
真実一郎さん、どうもです。懸賞論文、グッドアイデアかもしれませんね。ただ、本石町日記としてはろくな懸賞がないのがネックです(笑)。ともあれ、この件で何がお考えがあればぜひ。お待ちしております。
<< ロンバートのスプレッドは広がる... マニア向けですが、本日の日銀論... >>


無料アクセス解析