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金利上昇・即日オペ、“岩盤”に確信犯のハードな着陸?=市場局のパイロット諸君、「グッドラック!」
 本日のインタバンク市場では、無担保コール翌日物が急ピッチで上昇。日銀は即日資金供給オペを実施(昨年3月以来)し、金利上昇の抑制に努めた。どうやら当座預金残高の岩盤に衝突したもよう。さて、岩盤に到達する際の金融調節を旅客機の操縦に例えてみたい(蛇足ながらパイロットは前田課長、コパイロットは熊谷調査役としようか。この辺はご自由に想像を。なお課長・調査役の肩書きは今はない)。
 古いセンスだが、金融調節の美学で岩盤接地を考えると、最も美しいのはほとんど無衝撃で接地することであろう。当座預金の岩盤に接地する際、金利がほとんど動かない状況である。ベテランパイロットの着陸が超スムーズで、寝ている人を起こさないようなものである。
 金利が上がって即日オペを打ったのを見て、私は「ちょっと下手だな」と思った。即日オペを打つ必要がないぐらいの金利上昇にとどめるのが金融調節の美学にかなうからだ。着陸としては、ややハードランディングの感があり、オファーに群がったビッド集団は慌てた乗客というわけだ。と、ここまで考えて、待てよと思った。金融市場局のパイロットらは、決して無能ではない。金利が上がってオペを打つという格好悪い様は避けるはずで、もしかしたら確信犯ではないかと考えたわけである。
 当座預金残高の岩盤構造は、われわれには見えないが、日銀は郵政公社や銀行などにヒアリングしており、かなりの程度は把握している。銀行券・財政要因の資金需給の振れも掴んでおり、先日付のオペを駆使すればフェザータッチの着陸は楽勝であったはずだ。では、なぜハードランディングしたのか。私が考えたのは“目覚まし効果”である。
 当座預金残高には金利がゼロだと運用されない“ブタ積み”が固着している。これらのマネーは眠った状態にあり、「概ねゼロ%」という調節方針が続く限り、目覚める可能性はない。目覚めるのはゼロ金利解除の時であり、それまでは睡眠状態が続く。これでは比較的高い水準で当座預金残高が続くことになり、ショック療法によって目覚めさせ、可能な限り岩盤の高さを低くしようとしたのではないか、と推測したわけである。
 オファーがどんどんビッドされる状況を目の当たりにすれば、“ブタ積み”は眠りから目覚めてインタバンク市場に流れると期待される。もしかしたら、ゼロ金利解除前に当座預金残高は「所要準備プラス郵政公社預金」という最低位の岩盤になる可能性もある(もちろん郵政要因で上下動するが)。金融市場局のパイロット達は、“目覚まし効果”を狙ってハードランディングの着陸を行ったのではないか、と思う次第である。
 うまく効果が出ることを祈りたい。パイロット諸君、「グッドラック!」。

 えっ?、過大評価ですって、いやーなんとも(笑)。みなさん、乗り心地はいかがだったでしょうか。胴体着陸で火花が散ってましたか? だとすると調節の失敗スかねえ。キムタクのようにはいかないかなあ。でも、「動く岩盤」への着陸は、どこの中銀もやったことのない操縦。墜落しなかったのは腕がいい証拠かも。やっぱりキムタク?

追記 即日の資金供給オペは、岩盤接地を告知するアナウンスメント効果も狙ったのではないかとも思うのですが。どうでしょう。

ps 内容の展開に合わせ、最初のアップしたときとは見出しを変えております。あしからず。
by bank.of.japan | 2006-05-25 17:37 | 日銀 | Comments(8)
Commented at 2006-05-25 20:15 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 30兆円 at 2006-05-25 21:57 x
確かに、岩盤を擦った感じですね。メガも大変そうでした。4月にキャッシュつぶしをやりすぎた感じもします。次は30日、2日あたりに岩盤が出ていそうですね。金融機関の合併で参加者が減った(都銀だけでも)ことが、効いてくる予感がしますね。
Commented by bank.of.japan at 2006-05-25 22:35
30兆円さんの上の方、ひょっとしてそれです(笑)。
30兆円さん、どうもです。久々にオファーにビッドが集まってきたようですね。シャチ達の回遊もうまく間合いを取らないとビッドアップ合戦になりそうな場面もありそうです。
Commented by SAKAKI at 2006-05-25 23:17 x
いつも楽しく読んでおります。今日は特に楽しみでした。夜のコメントを期待します。ゼロ金利を継続する?金利上昇を抑える?この違いは大きいですね。それを日銀的メッセージで市場に発しなければいけませんからねぇ。
 先日、わが職場の財務部門上司レクチャーで・・ついつい「岩盤」とか「ブタ預金」とか使ってしまいました。挙句30兆円高地まで・・まー金利動向の話は丸く収まったのですが・・この田舎役所からの出向組(財政畑)ってマジ馬鹿ですね。バランスシートの見方知らない(笑)んでわからんのです。でも役人ですからこっちの説明がわからないと怒り出して、決算資料は作り直せとの指示??なんと、損益計算とバランスシートの補足に現金出納帳を収支均衡(歳入と歳出はイコールとなる)方式で作って関係を資料1枚で説明しろ怒鳴って退席しましたよ・・いやぁ・・汗だくです。
Commented by bank.of.japan at 2006-05-26 00:59
SAKAKIさん、どうもです。当ブログ「用語」のご利用、大変光栄なことであります。30兆円高地までご使用されるとは(笑)、感激です。「岩盤」は日銀内でも浸透中のようで、そのうち議事要旨に出るんじゃないかと妄想しております。うーん、お仕事、大変そうですねえ。ぐっちーさんの部長エントリーに通じるものがあり、ご同情いたします。専門的な領域は、ある程度勉強してもらわないと、説明するほうもかなわんですね。「俺がわかるように説明せよ。俺が分からないのはお前の説明が下手だからだ」と怒られても。私も覚えがあります。がんばりましょう。
Commented by システム5.1 at 2006-05-26 08:15 x
説得力のある解説です。市場参加者の行動がOneWayになりやすいだけに、ミクロの動きがすぐマクロに投影されてしまう。いずれにせよ、こういう経験をしないと当預残の落ち着きどころが測れないことは概ね予想がついていたことですよね。ただ、どの水準か、いつかが不明だった。
Commented by bank.of.japan at 2006-05-26 10:56
システム5.1さん、どうも有難うございます。足元金利は今日も高めですね。CPIも意外に高めで。金利市場、足元も含めてややパンピーな動きになりそうな感じなのでしょうかね。
Commented by システム5.1 at 2006-05-26 13:38 x
ただ、そもそも、量的緩和解除後、日銀当座預金残高の削減過程の中で、時折、ロンバード近辺まで振れる可能性ありというのは、そもそもコンセンサスだったはず。しかし、今まで意外に足元金利が落ち着いていたので、それを忘れちゃっていた感はありますね。
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