日銀は本日、日本郵政公社の預け金を資金需給項目の「準備預金残高」から除外することを決定した。場所はこちら。地質学的には「動く基盤岩」の構造を明示し、資金需給の不透明感を払しょくするもの。これにより、何度か取り上げた郵政「ブタ預金」問題は一応解決したわけだ(注)。ただ、3年前に準備預金に準する預金を持たせた日銀の判断の甘さが問われよう。資金需給の集計上、最初の時点から「準備預金残高」に入れていなければ、今回のような隔離措置をする必要はなかった。
大人用プールに入れと言われ、まともに泳げないので出て行け、と言われた郵政。日銀から民間待遇で迎え入れられたものの、みんなの迷惑になるので出てもらう、と手のひらを返されたわけだ。もっとも、郵政はしたたかであるし、この仕打ちも逆手にとって「だから運用多角化が必要だ」という主張につなげるだろう。同情論は郵政を利するだけ、と日銀マンらは思うかもしれないが、「構造改革の象徴」に奉られた郵政民営化の実像がインタバンクの邪魔者であったというのは、改革路線が建前的であることをうかがわせる(これからはまともになるかもしれないが)。この論点については、機会があれば別途エントリーで述べたいと思う。 さて、これから当座預金を削減する上で、準備預金から弾かれた郵政預金の動きはどう見えるのか。6月の積み期間が始まる6月16日以降、郵政預金は「(準備預金制度)非適用先の日銀当座預金残高」に組み込まれる。ただし、この項目は「その他の日銀当座預金残高」と名称を変える。6月15日から6月16日にかけては、「準備預金残高」がガクッと落ちて、「その他…」がガクッと増えるはず。そして「その他…」は兆円単位の変動を見せると思われる。この項目には短資会社や証券会社などの当座預金が含まれており、ゼロ金利解除までは郵政預金とごった煮で上下動。解除後は、短資会社や証券会社の当座預金はほぼ抜け落ち、ほぼ郵政単独要因で「その他…」は構造運動を展開する。振れ方がどんなもんか、ちょっと楽しみである。 注) 来年秋に郵貯銀行が発足する。これはまさに民間銀行であり、準備預金制度の対象となるため、今度は本物の準備預金を持つ。資金繰りがまともに出来るなら、準備預金残高に含まれる。出来ないならどうするのか。未定である。これまたどうするのか楽しみである。
by bank.of.japan
| 2006-05-24 12:36
| 日銀
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Comments(2)
Commented
at 2006-05-27 12:51
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
bank.of.japan at 2006-05-27 19:29
↑さん、どうもです。来年秋に出戻るときが楽しみ…。
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