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「ゼロ金利脱却」の語感=小さな言い換え、大きな下心?
 当座預金残高の削減終了とゼロ金利解除の関係について、本日の福井日銀総裁の講演テキストでは「当座預金残高の削減を終えることと、ゼロ金利から金利を引き上げることとは別の問題だ」となっていた。総裁はしかし、アドリブで後半部分を「ゼロ金利脱却とは全く別の問題だ」と言い換えた。「ゼロ金利から金利を引き上げる」ことを「ゼロ金利解除」と言うか、「ゼロ金利脱却」と言うかは些細なことかもしれないが、「気持ち」や「感情」などを汲み取ると、小さな言い換えは得てして大きな下心があることを暗示する。
 「脱却」という語感には、“今の状況はおかしい”、“抜け出さないといけない”という思いor願望が込められているように思う。従って、「ゼロ金利脱却は経済・物価情勢の判断で決める」とは言いながらも、脱却はもはや既定路線であり、後は諸情勢を踏まえた気合いの問題なんであろうと思う。講演内容は全体としてアップサイドリスクへの警戒感が強く、タカ派のスタンスが色濃い。現実路線としては、一回利上げをやるたびに慎重な確認作業を経て次の利上げに向かうというステップになるのであろうが、日銀脳内イメージでは、中長期的に数次の利上げが描かれているのではないかと推測された。

追記 慎重に政策を運営したい日銀企画として、量の削減とゼロ金利解除は「全く別の問題」と断言してしまいたい気持ちは良く分かるが、昔は「金利と量を別々に考えるのは頭がおかしい」みたいなことを言っていた。量的緩和を止めて利上げするまで2-3週間、1カ月もかからない、との声もあった。量的緩和の解除が現実味を帯び始めると、金利と量の分裂思考は強まっていき、ついには完全分離してしまったわけだが、この辺のロジックの切り替えはなし崩し的であった感が強い。いつの間にか、昔と言い分が変わっている、それをあまり気が付かせない、気が付いた人間がいても巧妙に言いくるめるのも、優秀な日銀エリートの必要条件である。と、本日、改めて思った。
by bank.of.japan | 2006-05-15 20:55 | 日銀 | Comments(4)
Commented by SAKAKI at 2006-05-16 15:21
量の削減とゼロ金利解除は「全く別の問題」とこちらは期待していますが、どうやら日銀念願の利上げがありそうですね。そのショックはでかいのでしょうか??・・このところ株式市況は大荒れ、円高で$MMF解約のタイミングもつかめず、億の壁がはるか彼方でございます。
Commented by bank.of.japan at 2006-05-16 18:22
SAKAKIさん、どうもです。6-8月のどこかでゼロ金利解除との見方がコンセンサスです。解除ショックですが、少なくとも金利市場は0.25%の利上げは織り込み済みではないか、と思われます。そこで当面の打ち止め感が出れば、債券など買い戻されるかもしれません(金利低下)。株や為替への影響は私には良く分かりませんが、ショックがでかそうな地合いで解除を敢行するほど日銀のセンスは悪くない、と期待しているのですが…。
Commented by 元投資銀行員現PB at 2006-05-17 09:08
解除そのものは、経済&市場に影響が大きいとは思えないのですが、その先の金利引き上げパスへの不安感が問題でしょう。
日銀がゼロ金利解除に向けて前のめりで都合のよい作文をするのは
中央銀行の存在意義とか自立性を回復したい、という組織防衛で、
意図は非常に良くわかるのですが、物価上昇の危険性なんて上段に
振りかぶることで、継続的な利上げの可能性を示唆してしまう副作用が出ます。
「今後景気がよい方に向かうかどうかは予断を許しませんが、
 おいらの顔を立てて一回だけ金利を上げさせておくんなまし」
ってなお願いメッセージの方が、市場(特に株価)と景気には好影響で、
結果的にもう何段かの利上げ余地が生じる可能性が高いのではないかと考える私は、エリート日銀企画マンにはなれませんね(笑)
Commented by bank.of.japan at 2006-05-17 11:12
元投資銀行員現PBさん、まいどです。おっしゃる通りで、今後の政策運営のロジック(特に第二の柱=中長期的なリスクの点検)が、まさに「物価上昇の危険性なんて上段に振りかぶることで、継続的な利上げの可能性を示唆してしまう」わけでして。ところで、そこまでお分かりであれば立派な企画マンになれますよ。ただし、本心を押し殺す必要はありますが(笑)。
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