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「郵政公社預金の構造運動論(所要準備=基盤岩の上下動)=地質学的アプローチ」序論
「当座預金、20兆円割れの先=どこかで岩盤に衝突するかも」とのエントリー(4月27日分)を挙げたところ、「Otさん」という地質学に詳しい方からメールを頂いた。当座預金残高を構成するマネーの重なり具合いが地層のようなイメージがあっため、ここぞとばかりにOtさんに聞いてみることにした。まずは「郵政公社預金の構造運動論(所要準備=基盤岩の上下動)=地質学的アプローチ」の序論として、Otさんとのやり取りを紹介してみたい。


Otさん 地質学用語に興味がお有りなようでうれしく思います。ここでご使用になっておられる「岩盤」とは、「長く安定した岩盤」と言うニュアンスに受け取れるので、私としては「基盤」あるいは「基盤岩」と言う表現の方がスムーズに受け入れられます。差し出がましいとは思いましたが、コメントさせていただきました。


 コメント有難う御座います。「岩盤」が長く安定した存在だとすると、当座預金残高減少との比較では「岩盤」をさらに割っていくのは難しいので適当ではないですね。当座預金残高は所要準備(銀行全体で4兆、郵政公社で2兆の計6兆)まで下がり、それ以下にはならないので「岩盤」は6兆円ですね。ここで相談ですが、実は郵政公社分は特殊な事情により、2兆円をミニマムにして、ときには3兆、4兆円と上下動しております。つまり、「岩盤」は6兆円をボトムに、恐らくは最高10兆円程度までの幅を上下動していると推測されます。この場合は「動く岩盤」と表現していいものでしょうか。ご助言頂くと大変ありがたいです。
 なお、当座預金残高を水面とすると、本来なら30兆円から6兆円までは抵抗のない「真水」のはずですが、実際にはその途中に運用を断念されたお金がちょっと抵抗の強い「泥(orヘドロ)状の層」として存在し、その下に「岩盤」(上下動している)が存在するイメージです。

Otさん 大変難しい質問内容ですが、6兆円を基盤(一般に火成岩・変成岩からなる先カンブリアの岩体:35億年前から6億年前までの一番古い岩石)とすれば、その上で10兆円程度までの幅で上下するのは堆積層(堆積岩)と言うことになります。
上記の基盤の定義を用いると、日本列島を形成する岩盤はすべて堆積層となります。堆積層とは言うものの、古い時代のものはもちろん固結したいわゆる岩盤です。被覆岩層に対してその下位層を基盤と呼ぶことも多いんですが、本石町さんが説明なされている内容では、やはり上記した定義の基盤の方が良いと思います。
さて、堆積層が構造運動(岩体に力が加わり褶曲・断層などの変形・破壊を引き起こす運動:主要な構造運動は造山作用に伴って起こる)を受けても、先カンブリアの基盤は安定しています。つまり、堆積層は山になったり、それが削られて平原になったり、上下運動を繰り返しているわけで、これが10兆円に相当する理由となります。
次に「泥(orヘドロ)状の層」についてですが、これは現在も堆積が続いている未固結の沖積層(ちゅうせきそう:約1.8万年前から現在までの堆積物)とするか、もう少し硬い(半固結状)イメージがあれば洪積層(こうせきそう:約200万年前から約1.1万年前の堆積物,ウルム氷期の終了時期が世界各地域でずれるため日本では約1.8万年前から沖積層が堆積している)との用語を使ってもいいかもしれません。沖積層は河川堆積物や三角州を、洪積層は河岸段丘や武蔵野面などをイメージすると分かり易いかもしれません。
ちょっと分かりにくい説明だったかもしれませんが、ベースの「岩盤(基盤)」の上に「動く岩盤(堆積層or堆積岩)」が乗っており、さらにその上位には「沖積層or洪積層」がある。ここで定義した基盤(先カンブリアの岩体)は安定大陸にあり、海洋底にはありません。ですから一番上にある「真水」は、大陸にある大きな湖をイメージしたらよいかもしれませんね。

ps 私は実は地学は苦手であった。なお、メールにこの点を書き添えたところ、Otさんは私が理系だと思われたようだ。高校tの時、確かに理系であった。だが、主として要領でこなしていたせいか、実力はなく、浪人中に文系に転向した次第だ。道草の多い人生である。
by bank.of.japan | 2006-05-03 23:48 | マーケット | Comments(2)
Commented by 名無しSUN at 2006-05-04 08:27 x
文系出身の方はなにかと、本題とは関係のない科学的な題目を用いて、センセーショナルな見出しをつけたがる(日本の多くの経済学者は数学が不得手であり、さらに学問自体がミズモノのために、現場を見通せない数学者を使って、信頼性の高い科学にお墨付きをもらいたがるのと似ていますね。)ので、貴殿の題目に抵抗がありましたが、地質学の専門家からより正確な表現を目指すところに好感が持てました。
とはいいながらも、定性的に深い洞察力によるコメントをいつも楽しみに拝読しております。
Commented by bank.of.japan at 2006-05-04 19:10 x
名無しSUNさん、どうもです。エントリータイトルのきっかけはOtさんからメールを頂いたことでした。うまくまとめられるか自信がないですが、頑張ってみます。イマイチな内容となった場合は、Otさんのご指導を生かせなかった私の責任でありますので、何とぞご了承を。ちょっとプレッシャー感じております(笑)。
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