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旅費過払いの経済的意味=返却すれば「現先オペ」
 日銀が出張旅費を過払いしていた不祥事で、どこかの新聞が面白い川柳を載せていた。正確に覚えていないが、「旅費過払い、これも量的緩和だったか」という内容(ご存知ならご指摘を)だったと思う。これを見て過払いが経済的に量的緩和になるのか、ちょっと考えてしまった。これは職業病というか、理屈に合うかどうかが気になるわけで…。
 最初は「量的緩和じゃない」と思ったが、よくよく考えるとそうなのが分かった。鍵は「過払い分を返すかどうか」である。まず過払いを回収しない場合。日銀の経費は通貨発行益(シニョリッジ)から払われる。過払い分はいくらか不明だが、仮に一億円とすると、職員給与を通じたシニョリッジ一億円の消費刺激みたいな効果があったと考えられる。本来、この分は国庫納付され、国が使う流れになる。過払い放置は日銀が直接一億円の財政出動したようなもの。
 一方、過払いが職員から返還されたらどうなるか。一億円は一時貸しただけで、金融調節に例えると、現先の資金供給オペ(例・売り戻し条件付き国債買いオペ)みたいなものになる(有担保でなく無担保だが)。量的緩和は潤沢な資金供給オペによって実施されていたのだが、この間にシニョリッジ経由で一億円分の限先オペが打たれていた格好となる。その意味では川柳は正しい。作者は偉いですね。
 なお、後者の例で、職員給与を通じたシニョリッジの景気対策を考えてみたのだが、例えば給与を二倍にしても、増えた分を返すのが分かっているなら、貯金されるだろうと思われる。返金を秘密(渡し切りのフリする)にして、二倍になった給与を使えと命じ、後になって返せと言えば、職員支出が激減する。または借金する職員がいれば、景気に貢献しそう。
 ところで、テクニカルな問題だが、返金する際に利息を払うのかなあ。ゼロ金利だったからなしになるのか、または公定歩合(ロンバートの0.10%)を適用? 官庁の過払いとは違って中央銀行の場合はシニョリッジが絡むので考察点は多い。

ps 通貨発行益は、ほぼ金利コストゼロの負債(銀行券等)に対し、国債が大半の資産から発生する金利収入が相当する。
by bank.of.japan | 2006-04-25 21:20 | 日銀 | Comments(2)
Commented by 門倉貴史 at 2006-04-26 12:03 x
ご無沙汰いたしております、門倉です。その節は大変お世話になりました。ご連絡ができずに申し訳ありませんでした。現在は、束縛されることなく自由に仕事をしています!また機会がありましたら、是非お話をおうかがいできればと思います。ブログ、拝見させていただきました。いつもながら、大変面白い切り口で書かれていますね!
Commented by bank.of.japan at 2006-04-26 14:25 x
門倉さん、お久しぶりです。そちらのブログものぞかせてもらいます。当ブログでは、匿名可ですので、コメントなどはハンドルネームでどうぞ。よろしくお願いします。
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