『共通担保オペ』は万能ナイフのスーパーオペ
 今回はかなりマニアックな話です。恐らくインタバンク関係者か、中央銀行研究者(そんな人いるのかな?)、日銀志望の学生さん、といった方々が興味を持つ(持たないかもしれない)程度で、日銀関係者でもこの話にノリノリになる人は多くはない。でも、知っておくと、中長期的な調節体系の行方を知るうえで一つの手掛かりにはなる、と思う。
 日銀は先ほど、「共通担保オペ」の導入を発表した。詳しくはこちら。手形オペがペーパーレス化して、名称が変わっただけに過ぎないが、このオペの基盤となっている「共通担保」という仕組みは、かなりの優れもの。どういうことかと言うと、「共通担保」の中に適格担保(国債や優良CPなど)を入れとけば、手形オペを通じて資金を取れるし、ロンバートで金を借りることも出来る。例えば、1000億円分の担保を入れとくと、900億円をオペで調達し、残りの分でロンバート調達にも使える。この仕組みがなければ、オペのたびに担保を差し入れ、ロンバート分も別途担保を入れる、という煩雑なことになる。
 さて、ここから先は応用編である。中央銀行が市場に資金を出す場合、①「共通担保」のように担保制度をバックにお金を融通する(形態は貸付=根抵当範囲内で金を貸すor担保見合いのコミットメントラインで金を貸す、というイメージ)、それか②特定の市場から資産を買って金を出す-のいずれかの手段が考えられる。日銀は①と②の両方を兼ね備え、後者の手段として、国債買い現先、短国買い入れ、CPオペなどがある。実は、②の手段は①に統合可能であり、共通担保オペ一本で金は出せるわけだ。
 オペ体系の哲学は幾つかあるが、「金に色はない」から、効率性・市場中立性を重視すると、共通担保一本に絞るのがいい。市場から買う、というのは実は多かれ少なかれ市場価格に影響を与え、日銀と当該市場&関係者との間に微妙な利害関係が生じがち。また、真に効率的な市場(裁定がよく働く)であるなら、日銀が特定のオペ先に出した金は円滑に流れるはずで、逆説的に複数の特定市場から資産を買っているのは、市場が効率的でないことを示唆する。
 しかも、特定市場と日銀が相互依存に陥っていると、市場の成熟が遅れ、日銀はその市場をスポイルドしていることになる。従って、オペ手段はなるべくなら簡素化した方がいい。
 「共通担保」で金をペーパーレスで出せる仕組みは、主要国では日銀ぐらいのもの。金融政策運営や市場との対話ではお粗末ながらも、オペ手段としては、世界に誇れるものがあるのは意外に知られていない。
 もっとも、関係者はCPオペや短国買い入れは辞めて欲しくないだろうなあ。そうですか?
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by bank.of.japan | 2006-04-14 21:27 | マーケット | Comments(1)
Commented at 2006-04-15 02:58 x
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