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「公定歩合」のおさらい
 ぐっちーさんが公定歩合に関する記事で吠えていらっしゃった(笑)ので、改めておさらいの意味で解説を試みたい。このブログでも、ロンバートに絡んで取り上げたことがあるが、具体的に昔の公定歩合と比べて何が変わったのかも含めて書いてみたいと思う。
 昔の公定歩合は市場操作の主力手段であった。「日銀貸出」の際の適用金利で、その上げ下げが政策変更であった。同時に、公定歩合は絶大なる権力を日銀にもたらしていた。なぜか。ざっと説明すると、①都銀は預金より貸し出しが多いオーバーローンで恒常的に資金が不足していた②公定歩合は市場金利よりも低く、都銀にとっては超魅力的な調達手段になっていた③日銀は貸出先を“裁量”で割り振っていた④日銀貸出をなるべく多く割り振られたい都銀は日銀にひれ伏する構図であった-というわけだ。
 上記の構図は1990年代前半まで続き、その後はバブル崩壊による利下げ過程に入り、90年代半ばに公定歩合は0.5%に低下。その前後で政策手段は無担保コールレート翌日物に移り、公定歩合よりもやや低い水準で推移させるように日銀は誘導した。この時点で公定歩合の形骸化が進み、ロンバート導入によって市場金利の上限でしかなくなった。今後の課題は、コールレートが徐々に引き上げられる中、上限金利をどの程度の水準に設定するかどうかで、これは単純にテクニカルな判断に過ぎない。
 欧米では政策手段として誘導する金利に対し、1-2%上乗せした水準が上限となっているが、金利の絶対水準が日本とは大きく異なるため、ゼロ金利解除と同時に公定歩合を一気に引き上げるわけにはいかない、と思われる。現在はゼロ金利に対して0.10%高いが、最初は0.25%程度の上乗せがいいところで、順調に利上げが続くようなら徐々に上乗せ幅が広がっていくのではないかと考えられる。
 なお、公定歩合が引き上がっても、マルコー復権はない、です。現在の民間銀行の資金ポジションを前提とすれば、地方金融機関に加えて都銀も「余剰」であり、よほど滅茶苦茶な資金繰りをしない限り、ロンバート(公定歩合)に頼ることはないと考えられるため。
 私は、過去のエントリーで、地方金融機関の方々にロンバートを借りましょう、と呼びかけたが、実はその理由は、伝統的に地方金融機関は日銀貸出を受けたことがないからだ。なぜかと言うと、地方金融機関は総じて金余りが続いていたことによる。過去の日本経済のマネー偏在を見ると、発展が先行した都市部は資金が不足、一方の地方は資金が余る構図だった。都銀が資金不足になったのは、おう盛な資金需要に応える一方、預金が追いつかないためで、その一方で地方金融機関は預金は集まっても、それを満たす資金需要が地元になかった。都市部と地方のマネー偏在は、短期金融市場において、都銀が地方金融機関からコール資金を取り入れる形で解消されてきた格好だ。
 従って、地方の余ったお金をコール市場で放出してきた地方金融機関は、日銀貸出に依存したことは基本的にはなく、しかも都銀が日銀にひれ伏していた記憶が今なお拭えず、ロンバートの利用に抵抗感があったわけだ。この点は日銀も配慮しており、量的緩和の解除に際して利用促進のメッセージを相当に送ったが、この場を借りて改めて私も「気軽に利用しましょう」と呼びかけたい。実際は滅多に利用する機会はないと思うけれど、どうやって借りるかの手続きは借りてみないと分からないので。試し借りは、日銀も歓迎のはずです。
by bank.of.japan | 2006-04-11 22:00 | 日銀 | Comments(5)
Commented at 2006-04-11 22:04 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by bank.of.japan at 2006-04-11 22:22 x
エントリー記事は一回途中で切れましたが、これはパソコンの挙動がおかしくなり、記事が全文消えないうちに途中でアップしたためです。現在のエントリー内容は正常です。お騒がせしました。
Commented by SAKAKI at 2006-04-12 10:34 x
どもです
金融機関が資金不足なら公定歩合による操作に権威はありますが、デフレでモノだけでなくカネも運用難であまってますからね。しかも慎重なる投機の時代ですし・・マジ、私も殖えません金利が3パーセントで、遊んでいても年500万くらいのポジションを目指していたのですが、先に量的緩和の解除となってしまいました。合掌です。
Commented by レレレのレー at 2006-04-12 11:28 x
来るべきゼロ金利解除の際に最もインパクトのある新聞の見出しは「公定歩合引き上げ」でしょうね。
しかし、名前と実体がイマイチ合わないので、そろそろ公定歩合という名前自体を変えた方がよいのではと思いますが。。。
Commented by bank.of.japan at 2006-04-12 12:52 x
SAKAKIさん、どうもです。市場経済下では常に投機のチャンスはあるので、量的緩和の解除はさほど気にしなくてもいいのではないかと思います。むしろ、2-5年の債券は過剰に売られている感があるので、目先的には押し目買いかもしれません(余資があればですが)。
レレレのレーさん、どうもです。公定歩合の名称変更は一案ですね。名称変更すると、利上げ意欲が見え見えになりますが、今さら意欲を隠しても仕方ない面はあります。細かい話ですが、「公定歩合」は様々な金銭契約の中で使われているようなので、名前替えると事務的な面での余波がありそうです。
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