福井俊彦日銀総裁の発言。
「先週末から昨日までBIS総裁会議に出席し、日本の新しい考え方を説明するとともに意見交換した。日本銀行の新しい考え方は、新しい知識として各国中銀総裁が今、頭の中で咀嚼している段階で、今後の意見交換の中で各国の中央銀行が新しい考え方を出してくるかもしれない。そういう前向きの政策発展に我われも積極的に取り組んでいきたいと考えている」 本日の日本商工会議所会員総会(帝国ホテル)での講演で述べたものだが、アドリブであったので、講演テキストにはない。日銀マン&ウーマンも含め、興味ある方々にご参考まで。 日銀オリジナルの『物価安定の理解』。各国中央銀行の総裁らは理解し、その採用が広がるのだろうか。興味深い。 一方、植田和男東大教授(前日銀審議委員)は日経『経済教室』で、量的緩和政策の解除と物価安定の目安を論評している。 植田教授は新たな枠組みは「目標インフレ率1%の柔らかなインフレターゲットである」と理解している。日銀にとっては受け入れ難い“理解”であり、恐らくは何らかの反論が行われたのではないかと推測する次第だ。もとより、植田教授は「これをインフレターゲティングを呼ぶ、呼ばないは水掛け論だろう」としているので、日銀が仮に反論しても水掛け論に終わる。 興味深いのは以下の評価である。 「日銀にとって、量的緩和解除を急ぐために、目標インフレ率をやや低めに設定し、インフレ加速のリスクを強調した感が無いとは言えない。結果として、逆サイドのデフレリスクが顕在化した場合にはぜい弱な立場に身をおいたことになる」→激しく同意である 日銀が説明する「理解」よりも、植田教授の「理解」の方がとても分かりやすい。また戻ってきてくれないもんだろうか。惜しい…
by bank.of.japan
| 2006-03-16 19:29
| 日銀
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Comments(11)
植田委員への郷愁、共有します。
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副総裁で返り咲くこともあるのではと思ったりしています。昨年秋、植田さんの話を聞く機会があった。この時点で、植田さんは、当局内でも議論は始まっていると話されていた。海外の事例では2%程度がターゲットとなることが多いが、日本でもし2%をターゲットにした場合2年から3年先でもクリアしないだろうと話されていた。当然のことながら否定的な印象で語られていた。
walrusさん、そうですね。時間軸政策を止めた意味の論理的解釈は流石だ、と感服です。30兆円さん、副総裁の可能性はないではない、と思います。日銀内では待望論強いですね。
BOJにばかり目が行っていますが、内閣府もどさくさにまぎれて「デフレ脱却判断基準」を変えてきましたね。
竹中-中川ラインが「GDPデフレーター」をデフレの判断にしていましたが、内閣府の経済財政分析総括担当は、この指標には苦慮していましたからね。 ①国民に説明するのが容易ではないこと、②政府が来年度、デフレ脱却を公約としているがGDPデフレーターがプラスになるのは微妙であること、などからです(勿論、そもそも指標としての欠点の議論もありますが)。 今回の判断基準の見直しをこの二点から考えると、国民にとりましては、新たに需給ギャップやユニット・レーバー・コストなどマクロ的な物価変動要因が加わり、より分かりにくくなっていますので、今回の見直しは、やはり政府公約(小泉首相の退陣のお土産)を達成するための改定と思いたくなります。まあ、GDPデフレーターだけで判断するよりもましではありますがね。
30兆円さん、どうもです。政府のデフレ脱却宣言は、ゼロ金利解除と関連付けて思惑を呼びそうですね。
私も反対論を封じ込める時に、「水掛論」という武器を使います(笑)。後は第三者に任せれば良いということで。しかし、かくいう私も植田信奉者です。
インフレ加速のリスクを強調して解除という植田さんの見立ては、昨日の福井総裁の講演で第2の柱、つまりリスク要因の点検をみるとしたところと整合性がとれています。バブルが来るといって利上げを始める構えかと思われますが、その観点では昨日のコーンFRB理事の講演内容が興味深いです。コーンによれば、バブルを阻止するためのより踏み込んだ政策は、従来の政策に比べ長期的にはマクロ経済のパフォーマンスが劣るとのことです。バブル阻止に向けて動き始めたECBとBOJに対するFEDからの牽制でしょうか。
「自衛隊は実質的に軍隊なんだけど軍隊じゃないんだ」というのよりも今回の目安は分かりにくいですよね。これで「理解」を迫るのもなんだかなぁ・・・、と。日銀の思惑よりも市場の金利が敏感に反応してるのが笑えるんだか笑えないんだか。(汗
オレンジさん
大変重要な指摘だと思います。FRBは、インフレについては、現実のインフレだけでなく、将来のインフレにも対処する「予防的引き締め」が必要とする一方、資産インフレについては、現実の資産インフレが将来のインフレに繋がることから、インフレの予防的引き締めの枠内で処理すべきだという考え方だと思います。そして、資産インフレに対する「予防的引き締め」には明確に反対しています。 いわば、グリーンスパン・ドクトリンともいうべきこのFRBの見解をBOJ、ECBが踏み越えようとしているとすれば、我々は歴史的な実験に立ち会うことになりますね。
オレンジさん、どうもです。貴重な情報有難うございます。鋭い目配りに脱帽。コーン理事のテキスト、早速参考にします。
名無之直人さん、どうもです。目安は少なくとも市場安定化には今のところ無効でありますね。メジャードペースの利上げの影に怯えている、それがあながち外れでもない、というところに日銀の対話下手が影響しているような。 通りすがりの野次馬さん、どうもです。資産価格の変動を金融政策上、どのように対応するのか。これはなお大きなチャレンジで、日銀の手腕が試されます。再び反面教師になるような失態が心配です。
オレンジさん、確かに、コーンは珍しくバブルについて言及していますね。
利上げによるバブル退治は経済を確実に弱体化させる、バブルでないのに、バブルとの判断で対処した場合のコストは大変高くつく。バブル後の処理のほうがベターなど、、、。まるでBOJを意識したようにも取れて面白いですね。今後、各国の中央銀行が、資産価格の上昇に目配りしなければならないのは当然ですけどね。
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