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BOJ understand, but nobody.......=物価安定の理解は超難解
 今回の量的緩和解除で最も争点になりそうなのは「道しるべ」として出した「物価安定の理解」としての数値(0-2%、中心は概ね1%)であろう。この数値の位置付けは超難解であり、日銀に「Dou you understand?」と問われても、私としては「Never」である。

総裁会見では以下の回答であった。
「これは金融政策の透明性と機動性の両立を真剣に考えて出てきた新しい知恵のようなもの。“理解”というものの概念を、皆さん方からもきちんと報道して頂きたい。“参照値”と同じようなものだと報道されると、世の中に混乱をおこすと思われる。“理解”については、英語で言えばunderstandingという言葉を私どもは使用していく。そういうunderstandingを政策委員会のメンバーでbroadly shared(広く共有)するというものである」

私が聞いた日銀マン&ウーマンの多くは理解していなかったですね、現時点では。

数値は多分、一人歩きするだろうし、それによって金融政策は縛れるだろうと思う。経済・物価見通しが大きく上ブレするなら利上げ正当化のテコになるが、逆に景気が悪化し、物価が下がり始めたときには、日銀をインフレターゲットに追い込む“道しるべ”になる恐れがある。後者の場合、日銀にとっては髑髏マークの道標というわけであろうか。どちらに転んでいくのかは半年、一年後の経済・物価次第である。
by bank.of.japan | 2006-03-13 17:45 | 日銀 | Comments(20)
Commented by 韓リフ at 2006-03-13 19:20
本石町さん、お久しぶりです。やはりわかりませんよね、この文章は。で、こういうときは補足する総裁のコメントや行動を参照にすべきなんでしょうが、それもちょっとブレがありますね。自称日銀批判者wとはいえやはり日銀が何を考えてるのかもっと情報を集めないといけないと思う今日の段階です。日銀はこれを裁量のよすがにしたいのだったら本当に危険なんですが……。
Commented by 窓際エコノミスト at 2006-03-13 20:24
Financial Timesでは日銀のいう通りunderstandingだったが、Wallstreet Journalではtargetに格上げされていた。
日銀は軽く扱いたいし、政府・与党は重く扱いたいし、で、結局は、諸刃の剣。
でも、何度も申し上げるが、これを福井さんが「軽いんだ」と強調すれば、プロパー総裁の末期症状かも。とっても速水さんと似てくる。

ところで、この0-2%を入れたのは武藤副総裁だって?
Commented by 胡桃 at 2006-03-13 23:35
新参ものの私が素人口出しするはなんなんですが、日銀の私的応援団wとして、いわせていただければ、福井総裁をはじめ日銀スタッフの言葉はわかりますねw。「理解」の根拠となる過去の総括は「ワーキングペーパシリーズ」において、各種シュミレーションで評価してもCPI上昇0-2%で物価安定ウェイトになっていると事実でしょう。
ここ1年さかのぼった、ワーキングペーパ、あるいはその数ヶ月あとの日銀レビューを詳細に吟味すると今回の日銀名文は価値が存在するwものだと思いますが。
Commented by Texas Longhorns at 2006-03-14 02:06
I agree with Kochou-san. The BOJ's understanding regarding price stability, at least for me, is nothing
difficult to understand, if you were closely following the
BOJ working papers for past several years. Indeed,
I can easily identify which statement of the "price stability
note" is corresponding to which working paper or
BOJ review. I think it is quite unfair to criticize BOJ's
notion of "price stability" without even refering to or,
let alone, reading those papers. If you are fair and
sincere BOJ watcher, you should of course be following
those paper and make a comment taking account for
those past research developments.

You see, I am not a professional BOJ watcher, but rather
an amateur watcher. If I can easily understand it while
you cannot, I should say you have fundamental problems
as a professional watcher.
Commented by walrus at 2006-03-14 07:46
ここで議論となっているのは、日銀において現段階で中長期的な物価安定見合いのインフレ率が0~2%と考えられていたということではなく、「理解」の政策運営上の位置付けが理解不能ということです。市場関係者にとって最も分かりやすい解釈は、「早期解除のための政治との妥協の道具立てとして当り障りのない数値を出した」といったものでしょう。当り障りなさを強調すべく、日銀の解説は今後も淡々と続くのだと思います。
Commented by オレンジ at 2006-03-14 12:36
パーツごとにみれば理解可能ですが、全体像としては、やはり曖昧さは残ると思います。私の理解は、①安定した状態での物価上昇率=ゼロ+バイアス+のりしろで、②これを中長期的に実現する、というものですが、のりしろと中長期というところに、曖昧さが集中すると思います。今後、曖昧さを埋めるために、日銀、政府ともに死力を尽くすということでしょうか。
Commented by walrus at 2006-03-14 13:00
 現段階において、「理解」の存在が金融政策の透明性向上に資するかといえば、恐らくNoでしょう。当面におけるメリット・デメリットの比較では、「理解」が「一人歩き」するデメリットの方が大きいのではないでしょうか。このリスクに対する日銀の予防線が、「物価の安定についての考え方」であると考えられます。
Commented by bank.of.japan at 2006-03-14 13:22
みなさん、こちらのエントリーもいろいろご意見頂き有難うございます。私の説明がちょっと舌足らずでしたが、問題意識はwalrusさんのコメントに集約されます。ボードメンバーの理解としての数値、これ自体に異論を唱えるものではなく、理解&数値が「新たな金融政策の枠組み」としてどう機能するのか、透明性の向上に資するのか、が分かりにくいと思っております。
Commented by gouki at 2006-03-14 15:04
中長期的な物価の安定についての「理解」を明示しても透明性の向上には寄与しないとのご見解ですが、果たしてそうでしょうか。例えば仮に今回、その「理解」が明示されなかったとします。となれば、市場関係者と日銀の間に情報の非対称性が発生することとなり、投資判断をするにあたり1)そもそも各審議委員は物価の安定の長期的な目安を持っているのか、2)また目安を持っているとしてそれは定量的にどのような値か、3)その目安は固定的かそれとも環境の変化に伴い可変か、4)他の市場参加者は1)、2)、3)の不確実性についてどのように認識しているのか、等々の不確実性要素と対峙することになります。
Commented by gouki at 2006-03-14 15:05
今回少なくとも、目安が存在し、それを(レンジとは言え)定量的に示し、それが可変であると明示することにより、市場参加者が対処しなければならない不確定要素がある程度削減されたことは透明性の向上に寄与していると見てもよいのではないでしょうか。また、明示されることにより、物価の安定に関する目安について、市場参加者が金融市場局ならびに他のマーケットプレイヤーとguessing gameをせずに済む(目安が各プレイヤー間で共通理解となっている)だけでもかなりの効果をあげるように思います。

もちろん、今回のスキームはインフレ・ターゲットやインフレ参照値といったいどう違うのかはっきりしない部分もあり、そういう意味において「一人歩き」するリスクは依然として残り不透明な部分もありますが、これをもって透明性の向上に全く寄与していないということにはならないと思います。
Commented by walrus at 2006-03-14 15:27
ご丁寧な解説有難うございます。「理解」レンジの上半分までかなり距離がある一方、足許インフレ率も十分レンジ内ということで、当面は数値の意味がピンとこない局面なのかもしれません。でもレンジ中央値についても極めてぼやかした記述になっているし、これを「念頭において」運営される金融政策のイメージが全くわかないのも事実です。機動性と透明性の最大公約数といわれればそれまでですが。
Commented by レレレのレー at 2006-03-14 16:20
役人文学を駆使し、できるだけ曖昧に「理解」できないように書いてあるので、無理矢理、理解しようとするのは無駄な努力に思えます。
結局、これが単なる「審議委員の理解」を超えたものに変質するかどうかは、今後の経済・物価・資産価格の動向次第と思います。その点、物価に関しては、個人的には先行き一段の低迷のリスクを感じてますが。
Commented by 通りすがりの野次馬 at 2006-03-14 18:12
お久しぶりです。日銀のワーキングペーパーを読めば0-2%というのは自明と言うのはその通りでしょう。ただ、それだと、「日銀執行部の理解」であって、「政策委員会の理解」ではありません。賢明な日銀執行部は決してそのような説明はしないでしょう。

現時点で数字を出したのは適切だと思います。特に政治との妥協ではないでしょう。なぜなら主要国の中央銀行は全て数字を出しておりそのレンジが1-3%、メディアンは2%というところに集中しています。FRB も過去のトラック・レコードから、その前後に「暗黙」のターゲットがあるというのが市場のコンセンサスで、バーナンキ議長を含む当局者がそれを事実上認めていたという背景があります。

従って一切数字を出さなければ、BOJが唯一の source of uncertainty となり、マーケットの格好の材料にされたでしょう。しかも敢えて他の中央銀行の平均から1%下げたことで低インフレ志向を鮮明にしています。政府や自民党サイドは多分2%の方を重視するでしょうから今後その辺の駆け引きが現実の物価の動きと併せて注目されるでしょう。
Commented by walrus at 2006-03-14 19:12
これだけ議論が出ること自体、透明性欠如の証左?
Commented by bank.of.japan at 2006-03-14 21:22
みなさん、改めてのコメント多謝です。私としては本日公開された議事要旨(1月19、20日開催分)の以下の発言に同調するものです。
「わが国経済は、物価が需給ギャップに反応しにくいという90年代後半以降の経済構造からの転換点にあり、このように経済構造に関する不透明性が高い状況下において、不確実な知識に基づいて長期的な物価安定の数値目標を徒に拙速に示すことは、政策運営の透明性向上につながらないだけでなく、場合によっては金融政策に対する信認に悪影響を及ぼすことにもなりかねない」
Commented by bank.of.japan at 2006-03-14 21:35
なお、Texas Longhorns さんより、「you  have fundamental problems as a professional watcher」とのきついご批判を頂きました(you=私 と想定)。私の知り合いの日銀マン&ウーマンらも「理解」の位置付けが分からなかったので、私は彼・彼女らに「you have fundamental problems as a central banker」と告げないといけない。どうしよう…。それから、私の日銀の多くの取材先は日銀職員の正規分布から外れた異常値なんだろうか。ああ、不安だメンタルズ。
Commented by 胡桃 at 2006-03-15 02:43
胡桃の擁護者として、Texas Longphorns さんがいてよかったす。なお、
胡桃は、Hu Taiとメールなどで呼称しています(日本人ですが。)
それはおいといて、日銀マン&ウーマンの方々はまじめにワーキングペーパを読まれていますか?「理解」できていないのであれば、同じ組織内といえど、カウンターペーパが出てしかるべきだと思いますが。
正規分布の基礎となる幅(分散σ)が狭い場合は、サンプルの取り方により、3σから外れるケースはままあります(数学的には、異常である優位さは認められない。)笑い。
Commented by Texas Longhorns at 2006-03-15 03:13
In replying to the blog-author, that may well be the case.
Of course you cannot deny the possibility that BOJ man or woman are too humble to reveal their interpretation. However, if they really had a trouble understanding the report on "price stability", that shows that either they are too incompetent in comprehending their colleagues' work or they are too lazy in following their colleagues' work. In either case, that is a serious problem and I cannot help but doubting their aptitude as a professional central banker.

Now, if the BOJ men or women whom you talked to were at entry or junior level, perhaps the seriousness of the problem may not be a major one. However, if they were at senior level, that will be a major problem.
Commented by システム5.1 at 2006-03-15 07:56
walrusさんに1票。議論が交錯すること自体が、「理解」が理解されていない、統一見解が導き出されない証拠。誰もが我田引水的解説をすることになる。そして、どう否定しても、量的緩和解除の3条件はあったが、これまで数値の目安を拒んできた日銀の姿勢からすれば、「政治的にもたない」が背景にあったという指摘を否定することはできない。真実がどうであれ。
Commented by 30兆円 at 2006-03-15 08:46
システム5.1さんに、私も一票ですね。数値については、アンケート結果には過ぎないし、、、。一般的に、どんなアンケート結果の分析も、分析者のおかれたポジションのバイアスにさらされますよね。
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