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それを言ったらおしまいでは?=潜在長成長率のタブー
 昨年12月15、16日の金融政策決定会合の議事要旨が発表された。まだ全部を読み終わっていないが、取りあえず気になったのは、ある委員の以下の発言。
 「潜在成長率が足もと高まっているとすれば、予想したほどには需給ギャップが縮小していかない可能性もあるのではないか」
 日銀が物価上昇の主たるメカニズムとして位置付けているのは、潜在成長率をやや上回る政調によって需給ギャップが縮小していくこと。しかも潜在成長率を1%程度と見込んでいる。もともと潜在成長率を特定するのは難しく、幅をもって見るのが普通。1%程度は幅の下限と考えられ、個人的には物価が上がるシナリオを描くために低めに見積もっているのではないかと邪推している。
 この委員が誰か分からないが、発言内容は日銀のデフレ脱却シナリオの根幹を揺るがす側面があり、数字なども含めて詳細に指摘していたのであれば、それを盛り込んで欲しかったと思った。この委員の発言に対し、別の委員は「生産性の上昇は、家計や企業の長期的な所得見通しの改善を通じて、需要の増加につながる面もあり、必ずしも物価の低下圧力となる訳ではない」と反論しているが、どうだろう。「長期的な所得見通しの改善」は個人的には実感が乏しく、なかなか同調しにくい。
 
by bank.of.japan | 2006-01-25 21:10 | 日銀 | Comments(11)
Commented by ??? at 2006-01-26 10:20 x
雇用情勢が改善していて、設備の稼働率も上がっているのであれば、需給ギャップは縮小しています。その場合には、成長率は潜在成長率を上回っているということでしょう。潜在成長率が何%かなんて、数字遊びに過ぎない気がしますが。
Commented by 経済オンチ at 2006-01-26 12:46 x
潜在成長率は展望レポートの中で公式見解として1%となっており、それを前提に日銀は先行きの物価の見通しを論じているので、単なる数字遊びでは済まされません。
需給ギャップが縮小していることに異論はありませんが、潜在成長率の水準により、縮小ペースと物価へのインプリケーションは異なります。私自身は本石町日記さんご指摘の、ある委員の見方にシンパシーを感じます。
日本の場合、資本ストック統計がまったく当てにならないので、潜在成長率の計測結果については、日銀が言う通りかなりの幅をもってみる必要があるのでしょうが、2~3%近い成長が3年間続いているのに、物価がこれだけ安定しているということは、潜在成長率はもしかしたら3%近くあるのではないかと、展望レポートの図表11を見ながら考え込んでしまいます。
Commented by walrus at 2006-01-26 13:50 x
理想はバブルを生じさせない範囲内での生産性上昇の果実(成長+ディスインフレ)の最大限享受。ただ、その境界は不明瞭であり、可変です。
Commented by at 2006-01-26 17:03 x
もっとも重視すべき尺度は失業率でしょう。これが低下しているならば需給ギャップは縮小している。NAIRU付近を保つ成長率が潜在成長率。ただし遅行性が大きい指標なので、政策判断に用いるのは難しいですが。少なくとも現時点で失業率はまだまだ高止まりしていますね。
Commented by 経済オンチ at 2006-01-26 18:11 x
米国では、かつてNAIRUは5%と言われてましたが、今は失業率が5%を若干切ってもインフレは加速してません。背景として、①グローバル化による生産性上昇、②遊休労働力の増加による賃金上昇圧力の後退、等が考えられます。いずれにせよ、NAIRUは5%より低くなっている可能性があります。
日本の場合、直感的にNAIRUは3%程度とみていますが、これも過去のフィリップス曲線から経験的に言えることであって、実際は生産性上昇に伴いフィリップス曲線がシフトするため、NAIRUはもっと低くなっている可能性があります。持続的な物価上昇への道のりはまだまだ遠そうですよね。
Commented by 数字遊び at 2006-01-26 23:41 x
皆さんの話だと、もしかしたら、潜在成長率の議論(潜在成長率だけを対象とした議論)は建設的ではないかも知れません。NAIRU(インフレ率を加速させない減速もさせない失業率ないし需給ギャップ)は、日本には当てはまっていないかも知れないからです。展望レポートの図表11は、需給ギャップとインフレ率の関係であって、需給ギャップとインフレ率の変化の関係ではありません。期待項のシフトがほとんど起きないということを前提としています。インフレ率を議論するのであれば、わが国のフィリップス曲線がどういう性格を持っているかという議論とセットでなくてはいけないでしょう。もしくは、需給ギャップが縮小しているとして、それが自然失業率とどのような関係にあるとかを議論するんでしょうか。
Commented by bank.of.japan at 2006-01-26 23:47 x
みなさん、議論多謝です。私がなぜ「需給ギャップ」に拘るのかは、2000年のゼロ金利解除前後に盛んに議論されたためです。当時の日銀の言い分はしっくりこない面があり、特に国会での山口泰副総裁と鈴木淑夫議員の白熱したやりとりは、後者に理があった記憶があります。(続)
 
Commented by bank.of.japan at 2006-01-26 23:49 x
参考までに平成十二年二月二十三日の大蔵委員会での山口副総裁の答弁を紹介したい。
 「需給ギャップというものを正確にとらまえることが随分難しくなってきております。一つの理由は、技術の進歩が非常に速いものですから、設備の生産性がどれぐらいかはっきりわからなくなってきていることもあろうかと存じます。
 日銀の中でも需給ギャップというのを、これは大変気になるものでございますから、いろいろな方法論、アプローチによりましてできるだけ正確にこれをつかまえたいというようなことで、かねてから勉強をし、かつ試算もしてきておりますが、ただいま谷口先生御指摘のとおり、どういう方法論を使うかによって得られる結果が変わって出てきてしまいます。しかも、その方法論によって生まれてくる差というのが、小さい差ではなくて非常に大きな差になってきてしまうものですから、余りそれだけでもって物価の動きを判断するというわけにもまいらないというふうに考えております」
Commented by bank.of.japan at 2006-01-27 00:07 x
補足 もちろん、当時と今を単純比較して、日銀の読みは甘いと断言するつもりはない。それは日銀にとってもフェアではないと思う。ただ、需給ギャップが日銀の想定以上に大きい場合、ギャップは縮小しても物価は日銀が見込むほど上昇しない可能性は否定できない。できることなら二度目の失敗を犯さないためにも慎重に解除して欲しいがゆえに、需給ギャップ縮小論に寄りかかり過ぎない方がいいと思う次第である。
Commented by s at 2006-01-27 00:57 x
この辺はどうなんでしょうか「オークンの法則」
http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/Readings/krugokun.html
Commented by bank.of.japan at 2006-01-27 20:04 x
sさん、どうもです。興味深いですね。ありがとうございます。潜在成長率がもしかしたら3%近い可能性はあるかもしれません。今後ともよろしくお願いします。
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