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“マネポ”に非ずんば人に非ず
 というのは最近では死語に近くなった感があるが、量的緩和の解除に向かって理論武装する日銀を眺めていると、やっぱりこの言葉はなお健在かもしれないと改めて思う次第だ。マネポとは、企画を中心とする金融政策関連部局が「マネタリーポリシーウィング」と呼ばれたことに由来する。日銀法改正とほぼ同時だった組織改正で、日銀組織は二つのウィングに分かれた。もう一つは考査・信用機構のプルーデンシャルポリシーウィング。表題のフレーズは、マネポ優位な状況への皮肉な言い方が日銀内で浸透した後に、かの「BOJウォッチャー」に登場(私は抜かれた格好である)した。
 信用機構局の消滅などで最近はウィング意識は低下しているが、展望リポートなどでの量的緩和解除に向けた理屈のつけ方などは、金融政策至上主義を感じさせる。「金融不安の強い時期に効果があった」というのは、実際に不安が発生してプルーデンス部局が警鐘を鳴らしたのではなく、「不安があったことにした」というのが実態ではないかと推察される。プルーデンス発ボトムアップの政策ではなく、金融政策運営上のトップダウンで決められ、理由は後から付けられたわけだ。踊る大捜査線ではないが、「事件は会議室で起きた」わけだ。もちろん、現場に発言権は最初からなかったことを思えば、金融政策運営において、プルーデンス現場は人ではなかった。
 ここで私が5年以上前に書いた記事を紹介したい。ロンバート導入前の雰囲気を伝えたもの。

◎日銀金融政策至上主義=危機対策が招くモラルハザード@
 「流動性への過剰配慮は資金繰りのモラルハザードを招きかねない」-。日銀の資金供給方法の改善検討は「危機対策」(速水優総裁)と位置づけられるが、市場の強い要望がないのに危機対策をアピールするのはサービス過剰の面がある。金融機関の流動性リスク管理が甘くなる恐れが指摘され、リスク管理強化を促す日銀プルーデンス部局の努力は水の泡となりかねない。金融政策至上主義の下で日銀ウィング体制の実質片翼飛行が続いているように見える。
 日銀の組織は、金融政策担当部局(マネタリーポリシーウィング)と金融システム担当部局(プルーデンシャルポリシーウィング)に大きく分かれる。いわゆるウィング体制と言われるものだが、両ウィングの比重は同じかと言われるとそうでもない。マネタリーポリシーウィングの優位性を揶揄する「“マネポ”に非ずんば人に非ず」とのジョークについて、プルーデンス側の何人かは「その通りじゃないの」と感想を漏らす。
 このたび日銀執行部は政策委員会から流動性供給方法の改善検討を命じられたが、既に多数の供給手段を抱えているうえに、LLR(レンダー・オブ・ラスト・リゾート)機能として33条(有担保貸し出し)、37条(システム障害時などの特融)、38条(特融)も備えているため、現場レベルでは「流動性供給能力は十分」との声が多い。
 実は市場関係者もそう思っており、日銀が何を打ち出すのか首をひねる向きが多い。むしろ、市場が意識しない“危機”を強調して供給方法検討をアピールする日銀を眺め、「それほど真剣に金を取らなくていいんだな」(資金関係者)との声も聞かれ、日銀のシグナルが資金繰りのモラルハザードを招くている面もないわけではない。
 マネタリーポリシーマターについて「われわれは無関係」とプルーデンス部局のスタッフは表面上クールな姿勢だが、内心はおかしいと思っているようだ。資金供給の至れり尽くせりのアピールは流動性リスク管理の面で好ましくないのではないか、これでいいのか、“マネポ”に忠告しないのか、とたたみかけると「われわれは金融政策を所与として行動しないといけないんだ」と苛立たしい口調の答えが返ってきた。(了)

金融政策を所与として行動する事情は変化がないようである。この間、プルーデンスのある人に「金融政策運営上、あなたは人か?」と聞いたら、「僕は通りすがり」と苦笑していた…。
 
by bank.of.japan | 2005-11-04 22:27 | 日銀 | Comments(3)
Commented at 2005-11-07 08:06 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Baatarism at 2005-11-07 13:14 x
素朴な疑問ですが、プルーデンシャルポリシーウィングは、やはりプルポと呼ばれるんでしょうか?w
Commented by bank.of.japan at 2005-11-07 14:37 x
Baatarismさん、どうもです。単に「プルーデンス」と呼ばれていたと思います。マネポに対抗するとプルポですが、響きがいまいち。それで普及しなかったのではないかと(笑)。最近はウィング意識は低下し、「企画」と「その他部局」という感じでしょうか。企画に非ずんば人に非ず、かも。
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