「金融政策は経済学的というよりむしろ法律的に運営されているのではないか」というネタを考えていた。どうやって論旨をまとめようかなあと、つらつら考えていたところ、海外在住で当ブログの読者である方が明快な考えを示されているので紹介したい。私のネタは日を改めてエントリーにしたいと思う。
注) 読者の考え方を紹介する際、私が誤解してほぼそのままの形で掲載してしまいました。長文紹介が読みにくいとの指摘も頂き、“趣旨”を紹介する形に修正したいと思います。すみませんでした。斜体も普通に直しました。 「米大学のある教授はUnderstanding Central Banksという授業を持っており、彼は日銀の金融政策に詳しい。友人がその講義を受けたところ、教授は冒頭でゼロ金利とか量的緩和などには一言も触れず、日銀の政策委員の履歴を紹介し、大学卒ばかりだ。PhDどころか修士すら殆どいない」とけなし、歴代総裁の学歴も紹介し、『殆どが法学部卒。経済学なんてまともに勉強したことないんだ』とこき下ろしていた。教授によれば、日銀の金融政策は義務教育すら出ていない子供達が運転している自動車のようなものらしい。 授業を聞いた私の友人は、少し心配そうに「日本の金融政策って大丈夫なの?」と私に尋ねたが、私の結論は『大丈夫。教授は金融政策はeconomicsであるべきとの意見だけど、日本のはpoliticsだから…』というもの。 金融政策をpoliticsとしてみれば、全てすっきり。場当たり的といわれる金融政策も、時の政治状況の応じた結果と見ればすっきりし、PhDはいないけど、産業界への目配りは効いている政策委員会もpoliticsで解釈すればわかりやすい。 東大の経済学部ではなくて法学部が重用されてきた歴史も、官界との関係で解釈すれば十分で、日銀の「市場への対話」は本石町日記や他のマスコミからも「拙い」とよく批判されるけれど、『対話』ではなく『市場への根回し』として見てみれば、なるほどこういうやり方にならざるを得ないことが納得できる」 「対話」ではなく“根回し”であるとの指摘はうなずけます。対話しているつもりが結果として根回しになっている面もあるだろうが、結果は同じ。「市場との対話」の観点からまじめに論じても多分すれ違うことになるのだろう。私としては、それでもめげずに論じていきたいとは思っているが =本石町日記
by bank.of.japan
| 2005-10-24 21:15
| 日銀
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Comments(14)
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
長年感じていたモヤモヤが一気に晴れる思いで読ませていただきました。確かに、金研や調統出身の方が理事に昇格されたりすると「ほぉー、(金融)政策も出来るんだ」と驚きをもって話題にされたりしますよね。一方、若い頃営業局で名をなした方は当然のように偉くなっていらっしゃる。事例を上げればキリがないほどです。いやぁ、今日は良いコメントに出会いました。
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古狸さん、そう言っていただくと紹介した甲斐があります。私自身はあまり学部は意識しないのですが、日銀マンに言えることは、中堅レベル(年次で区切るのは難しい)より若い世代の方が話は通じやすいです。
As for a postive analysis, I totally understand that the current monetary policy by BOJ is made by lawyers or political bureacrats who never had a formal training as an economist. Well, I guess that's the status quo of the BOJ that many of the economists world-wide (of course, including prof. Kayshyap) are already aware of. However, the point that Prof. Kashyap trying to raise is, I guess, more on the normative side. In other words, can this consensus-based monetary policy (or compromising monetary policy) be justified as the best monetary poilcy practice that contributes to the welfare of Japanese people? That's the key issue.
At least, we should always discern positive issue from normative issue. Otherwise, your analysis gets really confusing. ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
おもしろい見方だとは思います。ただ、100%のアグリーは出来ないですねえ。議論をすると日本の教育制度とかにも行き着きそうなので(笑)、詳細には立ち入りません。
システム5.1さん、それはちょっと格好よすぎます。日銀とMOFのポリティカルな部分を最も重視してる方じゃないですか。
Texas Long Hornさんのご意見にコメントです。
日本ではそもそもconsensus baseの金融政策すら難しいのではないでしょうか。この教授が突いているのは、日本にはconsensusを作るだけの共通言語(経済学)がないという点かと思います。 また仮にconsensusが出来たとしてもそれでもまだ危ういと思います。consensusがあることをいいことに、理論や、とりわけ政策効果の実証がないがしろにされてしまう恐れがあります。これは、ここ数年の金融政策につきまとう問題だと思います。日銀の「市場の対話」には、政策効果の理論や実証等をスキップして、先にとりあえずconsensusを作ってしまおうという色気が見え透きます。
私も常々日本にはeconomicsはなくてpoliticsしかないと思ってトレーディングしてきました。
現在はバブル崩壊で失墜した大蔵省の権力が復活していく過程。増税による財政再建を考えている大蔵省は日銀に対して量的緩和解除は許してもゼロ金利解除はなかなかなんでしょうね。 そしてこれと同様、都銀が復活して外資系証券会社は弱まっていくんでしょう。
Texas Long Hornさんの、consensus baseの金融政策がわが国にとって最良の手法かどうか、という問いかけですが、私もcall meさんのご指摘に同調する部分があります。ただ、日銀(この場合は執行部)としては、理論や効果実証の裏付けをしようとする努力はしていると思います。問題は、残念ながら政策運営に十分反映されておらず、解除の理由付けなど私から見ても無理筋に見えるわけです。個人的にはなるべくpoliticsを排除する方向にいくべきだと考えていますが、かなり道のりは遠いのでしょう。それでも旧法時代に比べると、随分と近代化されたと感じています。
call meさんの共通言語という表現に同感です。
economicsで語らないといけない相手であれば、economicsで語り、 market operationで語らないといけない相手であれば、market operationで語り、誰にでも分かる言葉で語らないといけないのであれば教えて日銀!で語る。 大事なのはどういう言葉を使うにせよロジックが通っているかどうかだと思うので、eonomicsかpoliticsかという切り口で観るのは、ちょっと違和感を感じます。なんかpoliticsはロジカルじゃないみたい(T T)
うおさん、久しぶりですね。なんか、うまい具合いにまとめて頂いた感じです。日銀の何人かとこのエントリーについて議論してみたのですが、みんな概ねうおさんと同じような感想を漏らしておりました。本当は私が語るより、彼らが直に語るほうがいいのですが。以前、私の同僚が、日銀幹部が政治家につるし上げられる場面(金融政策とは別件で)に遭遇したのですが、それはもう凄まじかったようです。霞ヶ関の官僚には慣れっこなのかもしれませんが、罵声怒声うずまく中での対話は…。難しいだろうなあ…。
古狸さん、まあまあ(笑)。
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