人気ブログランキング | 話題のタグを見る
金融政策の『流刑地』=渡辺淳一的解釈 (訂正入りました)
 というものを考えてみた。このテーマは、マネーマーケットの一部からの強い要望を受けたものだが、テーマがテーマだけにちょっとためらっていた。ところが、日銀中枢の一人に概略を話したところ、普段の感じとは違って意外と面白がってくれたので、書いてみようかなと思った次第だ。「失楽園」から始まるので、この話がビビッドに分かる方は10年以上マーケットにいた方々が中心になると思う。

 私が頼りにしている古参の市場関係者は、日銀が利上げを画策していた10年近く前。日銀筋のヒアリングに対し、当時人気を博していた『失楽園』を例に出し、「利上げは不倫といっしょだ。やりたいだろうが、大変なことになる利上げは不倫と一緒。やってみたいけど、ちょっと怖い。やってみたら、もっと怖い」と警告したことがあるそうだ。それが効いたのか不明だが、日銀は利上げを見送り、未遂に終わった。ただ、水面下での利上げ警報(いわゆる“天の声”)によって、銀行ALMの『集団自殺』(注1)が発生する余波は防げなかった。
 そして今、『愛の流刑地』である。古参の市場関係者や若干名の日銀マンらとの解釈によると、日銀は既に5年前に解除(不倫)を実行。相手(経済)は重態(失速)に陥り(注2)、日銀は『CPIペッグ』という禁固刑に服すことになった。この場合、「解除条件」はどういう意味になるのか。日銀は同意しないであろうが、古参の市場関係者らとの間では「解除条件の達成は保釈になったに過ぎない。釈放を決めるのは市場ではないのか」と理解されている。
 「出口は市場が連れて行ってくれる」ことを願う向きにとって、現在の日銀は保釈を出所と勘違いし、勝手に刑を終えようとしているように見える。「解除」の後、経済がどんどん良くなり、物価も上がっていけばいいが、そうでなければ「脱獄、再犯」という重罪によって遥かに重い刑に服する恐れがある。そういう日銀の姿を見るのは私はつらい。日銀の愛に応えるほど経済が強靭であるようには思えないからだ。

注1 話せば長くなるので、ここでは詳細は割愛
注2 私はゼロ金利解除が景気を失速させたとは思っていないが、日銀マンならお分かりであるように、政策は結果がすべて。解除のマクロインパクトはほとんどないものの、景気が下降すれば再び日銀のせいにされる公算が大きい。「濡れ衣だ」と徹底抗戦する姿勢は、憧れるものがあるが…。
by bank.of.japan | 2005-10-18 19:05 | 日銀 | Comments(4)
Commented at 2005-10-18 19:06 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by bank.of.japan at 2005-10-18 23:08
誤字指摘、多謝です。慌しい中で書いたもので…。
Commented at 2005-10-19 22:46 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by bank.of.japan at 2005-10-20 00:06
訂正、多謝です。
<< 「大型景気の始まり」or「地価... お知らせ=表サイトに西村委員の... >>


無料アクセス解析