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日銀と「ガンダム」、そして「カタパルト効果」
 一年以上も前、政策委員会では量的緩和の解除条件の第一原則である消費者物価の「ゼロ%以上」を、例えば「1%以上」に引き上げる案が浮上していた。解除観測の台頭に伴って市場期待が不安定化することを避けるのが狙いだったと記憶する。私は当時、こうした解除条件の強化が有効なのは一つのシナリオに限られ、むしろ市場期待の不安定化を加速させる恐れがあるのではないか、との主張を試みた。このとき「不安定化の加速」をイメージして「カタパルト効果」という表現を使った。
 簡単に説明すると、解除がイールドカーブにどのようなインパクトをもたらすかは、物価上の解除水準ではなく、解除時の物価・経済の動き方が大きく影響する。物価が解除水準をゆっくり通過する形で上昇すれば解除作業もゆっくりとなり、カーブへの影響は限定的だが、そうなるかは不明。デフレ的基調が強い経済で物価が1%を超える事態は、相当に景気回復の力が強いとも考えられ、この場合は解除水準を1%に引き上げたことが債券市場のインフレ懸念を高め、カーブのスティープ化を加速することになるのではないか。従って、解除ポイントをずらすのは必ずしも市場期待の安定化につながるとは限らず、場合によっては期待の不安定化を加速しかねない。これが「カタパルト効果」だ。解除水準を引き上げた後、景気が失速した場合にはフラット化が加速するなどカタパルト効果は逆方向にも働く可能性もあるわけだ。
 ちょっと長くなったが、カタパルト効果がこのエントリーの主題ではない。何がポイントかというと、「カタパルト」という言葉が、日銀マンの何人かには通じなかったことだ。私が何気に使った造語だが、かなり特殊な金融用語だと思って、調べた向きがいたようだ。また、「カタパルトは何語?、英語なのか」という質問も受けた。これは驚きであった。最初は冗談を言われていると思ったのだが、本当に知らなかったのである。
 「カタパルト」という言葉を私がいつ覚えたかは定かではないが、多分プラモデルに熱中していた子どものころではないかと思われる。知り合いの日銀マンは「カタパルト」を知っていたが、彼の場合は「機動戦士ガンダム」のおかげであった。中高年の私はプラモデル、若い人はガンダムでカタパルトを学ぶ。そういう理解でいいのだろう。多分。
 なぜこんなことを書いたかというと、替え歌名人の「…みたいな。」さんから「機動戦士ガンダム」バージョンを頂いて思い出したからだ。
 みなさんはその替え歌の方が楽しみであろうが、明日の決定会合が予想通り現状維持であったら、さっそく公開する予定だ。しばし待たれよ。
by bank.of.japan | 2005-06-14 18:54 | 日銀 | Comments(0)
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