日銀が企図する金融技術の高度化。その理想とする銀行の姿は不明だが、財政諮問会議で伊藤金融担当大臣が世界一の金融システムを目指すと勢い込んでいる(2004年12月21日のエントリー参照)こともあり、モデルは欧米トップクラスのインベストメントバンクなのだろう。理想は高くあるべきだし、大手銀行が欧米トップをしのぐ存在にならないと、わが国金融システムは世界一にはならない。だが、ニッポン放送をめぐるフジテレビとライブドアの争い、そしてソフトバンクの登場などを眺めるにつけ、背後で演じられたであろう様々なプレーヤーによる「ライアーズ・ポーカー」を勝ち抜くには、高度な金融技術はもちろんだが、それより収益確保のためには手段を選ばない非情性・獰猛性が不可欠だと思われる。
7-8年前、ある日銀幹部は「日本人は優秀だから、本気を出せば米系投資銀行なんか簡単に勝てる」と言っていた。日本の銀行員は一人一人は確かに優秀だ。勉強熱心だし、高度な金融技術・理論も理解するだろう。だが、コマーシャルバンクという組織は、基本的には上意下達であり、銀行員は没個性的にならざるを得ない。それに銀行は公共性を強く求められる風土にあるため、収益至上主義に徹するのは難しい。SBIの北尾氏のようなアクの強い人材はコマーシャルバンクでは育たないし、そもそも採用段階ではじかれるかもしれない。世界に飛び出す優秀で野心旺盛な人材は少しずつ増えていくだろうが、現在のコマーシャルバンカーの金融技術をいくら高度化しても、インベストメントバンカーにはなり得ない。 十数年前、ある興銀幹部に「JPモルガンを目指すのか」と聞いたことがある。そうしたら、ちょっとムッとした表情で「何であんなもんに。我々は世界一の興銀になるんだ」と豪語。そして「我々はね、夢に投資するんだよ」とオランダ村の壮大なプロジェクトの素晴らしさを語り始めた。当時、無知であった私は「ほう」、「ほう」と感心して聞いたのである。「そうかあ、世界一になるには夢に投資する気概が必要なんだあ」。金融高度化センターを創る日銀。どんな夢を見ているのか。十数年後の金融システムがどうなっているのか。ちょっと怖い気もする。
by bank.of.japan
| 2005-03-25 17:57
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Comments(5)
個人的な経験から言うと、エクイティーで大損するリスクを被ったことがある人、資金関係益ではない純粋な手数料商売をしたことがある人でないとインベストメントバンク業務って難しいです。となるとコマーシャルバンカーには無理ってことですね(笑)農民と狩人の違いですわ。
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優秀な人材が官僚などを目指す安定志向が根強い限り、金融立国は無理でしょうかね。元官僚の村上ファンドの村上氏のような方が増えた方がいいのかも。東大法学部卒の知り合いの日銀マンは「僕の仕事、多分誰でもできるよ」と言いながら、日銀に入った意味を問い直したりおります。
日経のWebサイトで3大邦銀が世界ランクでトップ100に入ったと報じられています。ご丁寧に「日本の金融システムに対する信頼が回復していることを裏付けた」とコメント付きです。
でもここで紹介されているフォーブス誌のランキングは、「規模」で並べているだけなんですよね。 金融業界もそうですが、これを囲むマスコミのレベルも悲しいものがあります。
正直言いましてマスコミのレベルを問われると返す言葉もない次第で…。
競争原理が導入されていない邦銀は勝てないですよ。首になる可能性があるかどうか、外資並みの給料が払えるか、転職者・生え抜きを差別しないカルチャーが作れるか、それにかかってます
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