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中国の不可解な利上げ(焦点は為替政策)=日銀市場機能物語
 今回のメルマガは以下がテーマである。
・中国の不可解な利上げ 
 今年の金融政策ウォッチは日米欧についてはもはや終わりであるが、中国は年の瀬を迎えた今もなお利上げを行っている。先般、共産党が金融政策を引き締めにするとの方針を示したのはご案内の通りだが、為替のペッグを維持したままの利上げはマクロ政策としての引き締めにはなっていない。
 中国は「為替を固定化すれば、金融政策や資本移動の自由度を失う」という国際金融のトリレンマにあるが、現状では為替はなおペッグしており、その下で利上げすること自体は矛盾が生じる。資本移動は完全封鎖でもないので、金利を高くすれば徐々に外貨が流入圧力が高まる。通貨高の圧力を減じるために介入(人民元売り・ドル買い)を実施すれば、マネーがまたインタバンクに放出される。
 もとより、そのマネーが投機に向かわないように「窓口指導」や「預金準備率の引き上げ」などを駆使しているのだが、これらはいずれも小手先な手法であり、全然マクロの引き締めにはなっていない。CPIの上昇が顕著である、つまりインフレが加速している状況では「本当の引き締め」をやらなければならない状況にあるわけだ。

・日銀総裁会見、かくして長期金利への配慮は功を奏した
 ツイッターでは「ベースマネーの定義」を取り上げる旨をお知らせしたのだが、これは急ぐテーマではないので後回しとし、21日の決定会合&総裁会見の解説を。同会合は金融政策は現状維持が見込まれており、焦点は総裁会見であった。白川総裁が長期金利についてどういう見解を示すかが注目されていた。
 マーケットでは、長期金利の上昇を容認するのではないか、という見方(or懸念)もあったが、結果はノープロブレムであった。執行部としては「最大限の配慮」が至上命題となっており、総裁も気を使った発言を行っていた。マスコミ的な観点で発言を検証してみたい。
 ヘッドライン作成の手口を踏まえると、引っ掛け質問を回避できるようになる。マーケットにノイズにしかならないエサを撒いても不毛である。片言節句で市場が振れるのはバカらしいし、個人的にはそんなヘッドラインはつまらん、と思うので。ヘッドラインの傾向と対策編もかねてみたい。
 会見は非常にうまく行った。さらにうまく行くための処方箋である。

関連のブログとしては厭債害債さんの「年末相場(続・リスク管理相場)」は必読であります。

・市場機能物語
 ポイント解説は、日銀の市場機能物語である。この市場機能なるもの、いつごろから形を成し、前面に出るようになったのか。そもそも市場機能論って何なのか。速水体制、福井体制、白川体制における変遷である。よく聞かれる市場機能論だが、それにしては日銀全体で共有されているわけでもない不思議な議論である。私自身は気持ちは分かるが、TPOを考えよう、という立場である。
by bank.of.japan | 2010-12-26 15:59 | マーケット | Comments(2)
Commented by yuskay at 2010-12-26 22:11 x
日銀が02年頃行った当座預金残高の引き上げはデフレ脱却を目的にした量的緩和の一環だったと思いますが、中国が近年行っている預金準備比率の引き上げはインフレ抑制を目的にしています。逆の目的で同じ金融政策なのはなぜなんでしょうか?
Commented by bank.of.japan at 2011-01-02 13:41
簡単に言うと、ベースマネー(のうちの準備預金)の構成が異なるため、です。日銀はブタ積み(要らない金を強制的に持たせる)させた。中国は、銀行が必要とする金を強制的にリザーブで吸収した、となります。リザーブが増えるのは、見た目は同じですが、手法が違う、となります。メルマガで取り上げる予定です。
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