円高が進み、お決まりのパターンで日銀が緩和圧力にさらされている。これで介入が始まると、なぜか知らないが、不胎化したのか、しないのか、という不毛の論争になるのだろう。個人的には、「スタンス」or「演技」の類いで介入&緩和はありと思うが、毎度繰り返される円高騒動なので、いっそのこと一定水準に円高が進めば自動的にカレンシーボート(orドルペッグ)に移行した方がいいのではないだろうか。自ら「為替操作国」であると宣言し、その間はG7には出ない、ということである。大国だから介入しない、という姿勢は立派だが、円高が地獄の苦しみをもたらすと受け止める風潮が強いならば仕方がない。
で、円高を招いたのはFRBの買い入れ資産内でMBS→国債という入れ替え。これは日銀の中曽理事言うところの「量的中立化」、ツィッターでも紹介したが、CalculatedRiskの"Quantitative Neutrality"であろうか。緩和措置と言うかは微妙で、MBS買い入れが信用緩和なら、その縮小分を普通の量的緩和にスライドさせる感じだ。信用緩和がより強力な緩和なら、引き締め的な面もあり、実態としては買い入れポートが減らない、つまり出口が遠のく緩和措置なのだろう。 この措置で為替は円高に振れ、日銀無策との批判があったのだが、動いたFRBはクルーグマン教授から「無策じゃないか」とばかりの辛らつに批判されている。“Paralysis at the Fed”というエントリーである。バーナンキ議長の昔の日銀批判を蒸し返し、今のFRBが昔の日銀のようにやる気なしじゃないのか、というかなりきつい書き方だ。かいつまむと以下の通り。 ・Ten years ago, one of America’s leading economists delivered a stinging critique of the Bank of Japan, Japan’s equivalent of the Federal Reserve, titled “Japanese Monetary Policy: A Case of Self-Induced Paralysis?” With only a few changes in wording, the critique applies to the Fed today. →10年前、有力なエコノミストの一人が日銀を強く批判した。「日本の金融政策=自ら招いた麻痺」というタイトルだったが、ちょっと言葉を入れ替えるとこの批判は今のFRBに当てはまる。 ・Who was that tough-talking economist? Ben Bernanke, now the chairman of the Federal Reserve. So why is the Bernanke Fed being just as passive now as the Bank of Japan was a decade ago? →この強面のエコノミストは誰であろうか。そう、FRBの議長であるベン・バーナンキだ。で、このバーナンキ率いるFRBはかつての日銀と同様になぜやる気がないのだろう。 ・What’s going on here? Has Mr. Bernanke been intellectually assimilated by the Fed Borg? I prefer to believe that he’s being political, unwilling to engage in open confrontation with other Fed officials — especially those regional Fed presidents who fear inflation… →一体どうしちゃったのか。バーナンキ氏はFEDに知的同化したのか(Borg→スタートレックのやつ?)。むしろ、インフレを恐れる他の連銀幹部と衝突しないように政治的になっているのだと信じたい。 ・But whatever the reasons, the fact is that the Fed — which is required by statute to promote “maximum employment” — isn’t doing its job. →いずれにせよ、FRBが雇用の最大化という任務を果たしていないのは確かだ。 全篇、批判の嵐である。クルーグマン教授にはFRBも日銀も目くそ鼻くそなのだろう。バーナンキ議長のかつての日銀批判を「目くそ鼻くそを笑う」という感じにしての批判でありました。目くそ鼻くその違いで生じた円高の巻でありました。 私はリフレ派ではないので、バーナンキFRBはまあよくやっていると思う。日銀はまじめなので、緩和演技という面で自らの選択肢を狭めている感がある。演技と割り切って量的緩和も検討した方がいいように思う。
by bank.of.japan
| 2010-08-14 22:52
| FRB&others
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Comments(2)
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
まーようやく国家として経済が空洞化していく危機感を、為政者が感じ始めたので、ドル安政策です。だって国内産業維持はできるし、インフレ期待はできるわけだし、やはり「究極の国内向け経済政策」ですか。まー国民国家主権の庇護者として、なりふりかまわない国内経済防衛の、通貨戦争を各国がやっている中で、この国は政策当局と政治家が評論家でやっていては、勝てるわけがないですね。それをあおるマスコミもあほですが。遅きに失したとはいえ断固たるサプライズな政策発動とるべきです。ある意味での「為替操作国」宣言もしかり、米国国債を直接買い上げるオペレーションだの(ちょっと無理ありますが例えです)。国内企業が、ガンガン海外資産を買い捲りたくなる制度導入などということですかね。
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