クルーグマン教授がこちらのエントリーの最後で、表題のことを言っている。米経済がデフレ色を強める中、バーナンキFRB議長に対する当てこすりである。日本語にするところが二重の皮肉でありましょうか。ご丁寧に「デフレは米国では起きない」とするバーナンキ議長の講演を持ちだし、“it” is happening hereじゃないか、と。それで「(デフレにしてくれて)ドモ、アリガト、バーナンキサン」と相成った。
クルーグマン教授は、綿密にはフォローしていないが、もっぱら(金融政策より)財政出動すべきという主張を展開している。どこかのエントリーで、サムナーの主張(だったと思うが)を借りてFRBはB/Sをさらに兆ドル単位で膨らませろ、と言っていたような記憶もあるが、少なくとも現在のFRBの緩和は銀行のブタ積みを増やしているだけで効かない、だから財政出動である、という発想だ(と私は理解している)。 で、現実問題として、FRBが兆ドル規模でB/Sを炸裂させることはあるのだろうか。まあ、ないんであろう。FRBのボードでは利上げ論があるくらいなので。この点については、連銀ウォッチャーとして有名なTim Duyのこれが参考になる。エントリー内容より、最後にTimが言っている部分である。 「Realistically, to generate significant impacts at the zero bound, the Fed is going to have to commit to policies that look a lot like debt monetization. We are nowhere near that stage. Indeed, after two decades, the Bank of Japan is not there. Sure, maybe the Fed commits to a long term ZIRP (pretty much there already), buys mortgage backed assets to offset maturing securities, or, as a temporary response to a fresh crisis, expands the balance sheet a bit. But commit to a higher inflation target? Target long bond rates? Those actions likely require sustained, massive purchases of US Treasuries - a bridge too far to cross for policymakers who view central bank credibility as a one sided game. The only real policy error is inflation. Anything else is interesting, but not important」 雑ですが要約→ゼロ金利状態でインパクトを強める策をやるには、債券(国債やMBSなど)の巨額の買い切りが必要。FRB はその状態には程遠い。日銀だって過去そうだった。 FRBはゼロ金利の時間軸強めたり、乗り換えでMBS買ったり、またちょっと金融が危機になれば、少しは B/S膨らませるだろうが、より目標の高いインタゲやるかって? それとも長期金利ターゲットとか? そうした策って、巨額の国債買い入れを継続にやらなくてはならず、中央銀行は信頼性の維持しかないとみなす政策当局者らには「遠すぎる橋」(=不可能)だ。現実的かつ唯一の政策ミスはインフレだ。それ以外の事は興味深い事象だが、重要ではない。 まあ、フェアな見方ではないかと思う。(補足・himaginaryさんよりこの部分は臆病なFRBへの強力な皮肉である、とのこと。ということで、この皮肉な内容が、私にはフェアでありました)。 それと、クルーグマン教授。一年前のアラン・メルツァー教授の主張(FRBの金融緩和でインフレになる。インフレ抑止のためにFRBの独立性が重要)を持ち出して、全然そうなっていない、こんな主張をするメルツァーをWSJは経済のエキスパートとして使っているんだぞ、みたいなことも言っている。メルツァー教授は大御所の学者だが、こんな絡みをするのは、何か過去に因縁でもあるのですかね。 それはともかくクルーグマン教授が評価するのは、超過激なリフレ派か、リチャード・クー氏といったところか。私はTim Duy(の皮肉内容に賛同)派ですが…
by bank.of.japan
| 2010-07-12 22:11
| FRB&others
|
Comments(3)
ええと、全文を通して読むとお分かりになると思うのですが、最後の段落はTim DuyのFRBの臆病さないし無策に対する痛烈な皮肉です。
Duy自身の意見はたとえば次のエントリ「Ahead of a Busy Week」の最初の二つの段落で表明されています。
0
しかし長期金利が1%ちょっとで誰も借りない日本国民ってやっぱおかしいですよね。おとなりだったら、借りて運用だけど。運用余力もないのが日本経済の大半だという現実を考えれば、あらゆる追加的金融政策は直接的には全く無効だということでしょうか。マー間接的にはいくらでもあるのですが。マスコミが足引っ張るしー。今日だっけ日経の記事も最悪ですね。公的年金の運用額が減ると、国債運用残高が減るって意味わからん記事一面トップだもんな。
himajinaryさん、ご指摘ありがとうございます。すいません、リフレ派ではないバイアスからか「皮肉」とは受け取らずに、額面通り受け取りました。FRBの臆病さは分かるところごありますので。
|
ライフログ
検索
最新のコメント
カテゴリ
全体 リンク 連絡先について メルマガ 日銀 経済 マーケット FRB&others 金融システム 替え歌 欧州便り ユーロ マスコミ ブログ紹介・お知らせなど ALM 大機小機 その他 議事録 一万田総裁 未分類 以前の記事
最新のトラックバック
ブログパーツ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
| ||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||