久々の日銀文学シリーズ。金融経済月報の表現で気になるのは以下のところ。
まず「つつある」が目立つ。 ・(景気は)緩やかに回復しつつある。 ・設備投資は持ち直しに転じつつある。 ・金融環境は、厳しさを残しつつも 「つつある」というのを何度も使っていると、「つつある」のは実は違うんじゃないの、と思いたくなる。本当はもっと強気の判断をしたいのだけれどもヘッジしておこうかな、とのためらいが感じられ、おいおいどっちなのか、と言いたくなる。日銀文学の歯切れの悪さを象徴する表現の一つ。 次に何を言いたいのか分からない表現。 「国内民間需要は、持ち直しを続けるものの、設備・雇用の過剰感が強いことなどから、当面、緩やかな持ち直しにとどまる可能性が高い」 一つの文章に「持ち直し」という言葉が二度出てくる。「持ち直しを続ける」と「緩やかな持ち直しにとどまる」のどちらに軸足があるのかよく分からない。悪文ですね。 あと「輸出や生産は、増加ペースが次第に緩やかになっていくとみられるが、海外経済の改善が続くもとで、増加基調を続けるとみられる」も、増加のどちらを言いたいのだろう。後ろの方だと推測されるが、推測が必要な文章もファジーである。 おまけ 「雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる」 これは「雇用・所得環境の厳しい状況は幾分和らいでいる」とする方がすっきりすると思う。 景気判断が改善方向に傾き「つつある」中で、一パラが長いのはポジションを取り「つつある」ものの、一方でヘッジも重ね「つつあり」、日銀の文学はやはり難解な状態から抜け出し「つつある」も、抜け出すペースは緩やかである、ということでしょうか。
by bank.of.japan
| 2010-06-17 01:36
| 日銀
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Comments(5)
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at 2010-06-17 01:59
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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飛車
at 2010-06-17 14:28
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無駄に言い訳めかしかったり、両含みのぼかした文章を長々と書くようになったという事は、判断に対して自信を喪失しているのか、書きたくない事を書いているのか、どちらかですよね。
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at 2010-06-18 20:10
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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デイトレーダー
at 2010-06-19 15:55
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需要項目別の「方向」の変化(角度)と「水準」を両方表現しようとしているから「つつある」となるのではないでしょうか。
足元の統計にバラつきがあることも苦しい表現の要因では。 しかし、こうやって取り上げていただくと面白いですね。
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かる
at 2010-06-21 23:39
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まさにガラパゴス化した金融政策やってますね。日本のいわゆる国材的な企業の関心事は、BOJのマニアックな金融政策より、中国人民銀行ウオッチングですね。ハイ。
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