26日、バーナンキ議長と仲良さそうに並んでスピーチした白川総裁。ツィッターでいくつか紹介した内容をこちらでもまとめておきたい。この間のニューヨークでの講演もそうだったが、気合いの入った内容でありました。まあ、言いたいことを全て詰め込んだという意味では、栄養過多(いい意味)な内容であり、消化するのに時間がかかりそうです。
・今回の危機発生以前は、ゼロ金利制約を回避するための糊代(safety margin)が、しばしば若干プラスの物価上昇率を目標とすることを根拠づける理由の1つとして指摘されていました。しかしながら、今次金融危機では、主要国はいずれも事実上ゼロ金利制約に直面するに至っています。リーマンブラザーズ破綻以降の厳しい経済活動の落ち込みを振り返ると、より高い目標インフレ率によって可能となったであろう、あと数パーセントポイントの金利低下によって、経済の回復軌道が大きく変わったと考える人はほとんどいないでしょう。このことは、金融システムの不安定化がマクロ経済に対していかに甚大な経済的影響をもたらすかを示しています。 ・1990 年代以降、日本銀行は、証券会社に対する資金供給を含め、最後の貸し手として積極的に行動してきました。また、金融機関保有株式の買入れ、ABCP、ABS の買入れ等、様々な異例の措置を講じました。日本銀行の政策対応面でのこうした革新性が、必ずしも十分に認識されていないことは、残念なことです。実際、主要国の中央銀行は、今回の金融危機において、日本銀行の政策対応と同様に、異例の措置を講じています。 ・純粋な金融政策と準財政政策の境界線は、時として曖昧なものとなりえます。1990 年代以降の各国の経験を振り返ると、準財政政策に近い政策措置の発動を可能にする条項が中央銀行法に規定されている場合、中央銀行はぎりぎりの判断として、そうした政策措置の実行を決断してきました。そうした中央銀行の非伝統的政策措置の効果もあって、ひとたび経済が危機から脱すると、中央銀行は、その行動が民主主義社会におけるルールを逸脱しているとの批判に曝されました。そうなると、中央銀行への信認が損なわれ、政策遂行能力にも悪影響が及ぶことになります。 ・結局のところ、通貨の太宗を占める預金通貨は、民間金融機関における期間ミスマッチとレバレッジの結果として生み出されるものです。 ・管理通貨制度は人智によって通貨のコントロールを図るという仕組みです。それだけに、組織文化と、そうした文化のもとでの人的資本蓄積は、中央銀行にとって極めて重要なものです。 ・マクロ経済学の入門書に描写されているマネーは、信用乗数とマネタリーベースの掛け算で生み出される無機的な概念です。このようなマネーの理解の仕方では、その果たしている重要な役割を見落としてしまいます。 ・中央銀行は、金融政策部署とプルーデンス政策部署における文化の違いを乗り越え、両者のシナジー効果を引き出すため、常に努力を怠ってはなりません。 最後のはマニアな観点で興味深い一文なのだが、まあそれにしてもいずれも入魂の文章であります。「管理通貨制度は人智によって通貨のコントロールを図るという仕組み」という表現は普通は思いつかない。この部分だけでもスピーチが成立するほどのテーマのように思われるが、今後に期待したい。
by bank.of.japan
| 2010-05-28 01:15
| 日銀
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Comments(1)
日本でのバーナンキ議長の講演について、「日銀への援護射撃だった」と言う人もいるし、逆に、露出系リフレ派の人達は「いやいやよく読むと日銀を批判している」と言ったり色々で面白いですね。どっちにしても、日本人にとってバーナンキ議長はそんなに「黄門様のご印籠」なのだろうかというのが感想です。
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