日本では政策金利の「公定歩合」は2001年2月に消滅した。言葉がなくなったので、マスコミは使いたくてうずうずしても使えなくなり、強いて使うなら「補完貸付金利(旧公定歩合)」といった程度。でも、これだと迫力も何もないので、そのうち寂れてきた(と記憶している)。で、残った「公定歩合」が米FRBのやつである。この辺、ツィッターでも多少触れたのだが、discount window(連銀貸出)に適用する金利=discount rateの翻訳が「公定歩合」なのである。
もちろん、FRBのdiscount rateも日銀の公定歩合と同様にとっくにロンバート化(政策金利の市場金利より高い水準で受動的に貸す際の金利)しており、公定歩合とは言っても昔とは意味は全然違うのだが、discount windowのdiscount rateと言語はそのままなので、翻訳も「公定歩合」のままとなっている状態だ。で、そういう言葉をマスコミ的にはどう報じれば良いのかは難しい。 「公定歩合」はかつては政策金利の“水戸黄門”だったので、言葉としては今なお(少なくとも私の世代は)インパクトがある。水戸黄門的なイメージをはらむところを強調した記事に仕立てるなら、本日の日経夕刊のように堂々の一面トップのデカ見出しとなる。ただ、実際には非常事態に対応した超流動性供給の修正の一歩に過ぎず、世間が騒ぐことではないと達観すれば、 FOMCでは「The modifications are not expected to lead to tighter financial conditions for households and businesses and do not signal any change in the outlook for the economy or for monetary policy」と強調しているので、あくまでもテクニカルな修正といった位置付けだ。実務的には淡々とこの声明に沿って書き、利上げ(引き締め)時期は市場関係者の予想を取りまとめるというのが普通の書き方のように思われる。 将来の引き締めという意味での利上げを予見させるアクションであるが、(全然タカ派ではないと思われる)バーナンキ議長の心中を察するならば、公定歩合引き上げを水戸黄門的に報じるのは少し可哀想でもあるかな、とは個人的に思ったりする。翻訳の方で「公定歩合」が残ってしまったから仕方がないのだが…。 公定歩合の引き上げで上限金利は0.75%となった。一方、政策金利のFF誘導目標は0-0.25%のまま。もっと上限を上げてからFFを上げるのかどうかは分からない。金利の絶対水準は超低いので、上限0.75%のままでもFFの引き上げは可能。どうするのでしょうか。まあ、当分は今の状態を放置して金融経済情勢の好転で米インタバンクが強く利上げを織り込んでからゆっくり動けばいいのじゃないか、とは思うが。 気になるのは、FRBの流動性供給が銀行救済とみなされ、それなりに世間的な批判が強い、と言われていること。衆愚的にタカ派ポーズを取らざるを得ず、出口政策をやや無理して進めることにならなければいいが、と思っている。バーナンキ議長も大変である。
by bank.of.japan
| 2010-02-19 21:20
| FRB&others
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Comments(4)
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すいません。改めてチェックしてみます。
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コメントありがとうございます。
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