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「キャリートレード」と金融政策の再考=日銀レビューの考察
 日銀レビューで「新興国の国際資金フローと資産価格の変動」というのが出た。こちらである。詳しい内容は直接ご覧頂くとして、ここではこのレビューに引っかけてキャリートレードと金融政策の関係を簡単に考察してみたい。キャリートレードは過去何度が取り上げたが、私はあまりこのトレードを重視する立場にない。簡単に言えば、マスコミも取り上げるし、相場ネタとして過大にはやされている面があって、金融政策運営上は極論すれば無視して良いんじゃないか、と思っている。
 同レビューもこのタイトルからしてキャリートレードは外すわけにはいかず、一応は項目を作っている。その中ではやっぱり「キャリートレード全体の市場規模を把握することは難しい」とし、一例として「通貨先物を利用したキャリートレード」を紹介している。お馴染みのシカゴIMMのポジションである。キャリートレードという用語はあちらこちらで盛んに踊るが、実態はよく分からないもので、シカゴのIMMなどただのシャドーかもしれない。レビューではこの後に、この為替のキャリーの話が続くが、まあそこに限れば参加者の自己責任で勝手にやれば良いので、儲けるなり、損するなり、どうぞ、という世界であろう。
 為替の部分はこんな感じ→「キャリートレードの超過収益を自己実現化させ、新たな投資家を更に呼び込むという循環が発生しているようにみられる。この過程では、UIP から乖離し続けたポジション構築を永久に続けることはできないにもかかわらず、ポジション巻き戻しに伴う投資通貨の減価リスク(調達通貨の増価リスク)に対する投資家の認識が低下していく傾向がある」 逃げ遅れた者がババを引く、という自己責任。
 重要なのはこの部分。「金融緩和が、どういった経済主体のリスクテイクを後押しし、経済に影響を与えるかという点については、バランスシート問題の有無が重要なポイントとなる。米国の家計はバランスシート問題を抱えているため、過去に比べると、金融緩和が米国内の家計支出や不動産価格を通して、景気を刺激する効果は弱まっているとみられる。一方、米国など先進国の金融緩和は、新興国自身の金融緩和と相俟って、バランスシート問題を抱えていないグローバル投資家のリスクテイク(新興国への投資など)を促し、同じくバランスシート問題を抱えていない新興国経済に対する景気刺激効果を強めているように窺われる」
①キャリートレードは本物だ。金融政策で重視すべし、という場合
 米国はバランスシート問題で緩和効果がさほどないにしても、低金利を止めるわけにはいかない。キャリー重視論では、その結果が問題のない新興国のバブルにつながることになるのだが、じゃあ、米国はどうれば良いのか。FRBは米国の中銀で、自分の国のために低金利をやっているのだが、新興国のバブルになるからと言ってそれを止めるのか。止めてもいいけど、米国の中銀とは言えなくなる。つまり、キャリー、キャリーと言い過ぎると、各国中銀の金融政策は独自性を薄めて、世界の金利は一本という方向にいってしまう。
②キャリートレードの実態は分からん。考えてもしようがないのでまあ忘れろ、と言う場合
 この方が各国は国内経済に専念して金融政策を運営できる。新興国のバブルは、当該新興国になんとか対処してもらう、というのが筋。キャリーを脇に置いておけば、バブルの原因は拡張財政or為替ペッグor未成熟な金融市場とか色々あるはずで、まあそれらを修正してそれでもバブっていたらキャリーを考えるか、という順番であろう。
 ということで、結論は「今後、新興国経済が、こうした(バブって失敗した)国々と同様の問題に直面することを回避するには、プルーデンス政策や規制で補完しつつも、拡張的なマクロ経済政策を適切なタイミングで修正していく必要があると考えられる」であります。→中国のことですね、これは。
 少しツィッターのノリが入った文体であるのはお許しください。
 
by bank.of.japan | 2010-01-21 21:19 | マーケット | Comments(2)
Commented by Cru at 2010-01-21 23:46
で、今後、中国がバブって失敗すると、巻き戻し効果を予測した投機資金でドルと円が吊るしあがっちゃうわけですね。
キャリートレードが本物か否かにかかわらず。
Commented by 素人 at 2010-01-23 14:12
今度の日銀の金融市場レポートそろそろですかね。待ち遠しいです。
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