一応、こうなるとは予想していたのだが、何だもう終わったのか、とややあっけない印象であります。何せ最悪は国家破たんという財政赤字がテーマなので、もっと本腰入れたショートが打ち込まれ、せめて1.5%は突破するだろうな、と思っておりました。しかし、実際はその手前から怒濤の買い戻しが入り、やっぱりみんな買いたかったのね、と改めてわがJGB市場の劣情を思い知ったのでありました。
この間の海外メディアの取り上げ方をEconomics, Technology & Mediaが紹介されている。plateausさんはツィッターの方で活発に呟かれており、これも参考になります。ご関心ある方はフォローを。で、今回は海外メディアの報道が目立った財政赤字相場である。結果的には宝くじに当たったようなもんだが、初期的にショートで入った向きが、少しでも今回のシナリオを描いていたとしたらナイスであった。 民主党政権が発足直後、財政赤字が膨らむ可能性は十分に予見されていたのだが、市場はまあその影響を過小評価していた状況であった。当然、そうした状況ではオプションプレミアムは安くなっているので、仕込みとしては良い時期ではある。問題は、実際に相場が財政赤字をネタにするかどうか。基本的には、日本の機関投資家軍団は、強力なホームバイアスによって負債に金が集まり、「債券食っても腹が減っている」という状態で、ちょっと金利が上がると押し目食いが入るので、そう簡単には金利は上がらない。 不確定要素は、新政権の無様さである。まあ、うまくは政権運営できないのは分かっていたが、「実際、公債残高がGDPの200%に近づくという水準にもかかわらず、民主党政権の財政赤字や国債に関するメッセージはメチャクチャで見るに耐えないという気がします」と海外にいらっしゃるplateausさんがおっしゃるほど無様になってしまった。当然、これは一つの相場テーマとしておいしいし、そうこうするうちに海外メディアが騒ぎ、外資系マクロファンドが参入。気の利いた本邦トレーディング勢は売りに回って提灯を付けたという感じであろうか。 勘違いかもしれないが、この間のマーケット取材で、本当なら金利高を嫌がる向きがそうでもない感じがあり、ある種の劣情行動が垣間見えた気がしなくもなかった。機関投資家は押し目買い出来て良かったのではなかろうか(もっと安く買いたかった?)。ただ、このテーマはずっと続くので、また第二波、第三波があるであろう。レンジ内の波か、レンジがきり上がる波かは、ホームバイアスによる腹の減り具合いと新政権の腕次第。事業仕分けに忙殺されるシーンとか、まともに考えたらバカっぽいので、金利安定上はマイナスでしょう。 また押し目が来たらよいですね。happy investing. 機会があれば、なぜ財政破裂の臨界点がどこかで到来するのに怒濤の買い戻しが入る構図について解説してみたい。後、最高の債券投資家が無能的買いを続ける日銀であることについて。
by bank.of.japan
| 2009-11-12 20:11
| マーケット
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Comments(10)
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walrus
at 2009-11-12 20:54
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サイトー大次官PKOとのうわさも。今のところ買う金があるようです。
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bank.of.japan at 2009-11-12 21:21
そういう観測もあったようですね。日銀ブタ積み取り崩した、とか?
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karu
at 2009-11-12 23:30
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簡単にいえば民主とうリスクプレミアムですね。まーあの事業仕分けの異様な光景は我々にとっても奇妙だし、海外投資家にとっても「何故体育かんなのか、官僚を座敷桟敷にように待機させることが、財政再建になる意味もねーし。」ましてや仕分けやがどこのだれかもわからん、で一日で結論をこのわけのわからん奴の多数決で決定するのを見た人はJGBを売りたくなります。ひでーな。
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bank.of.japan at 2009-11-13 00:20
あの事業仕分けは、パフォーマンスとは言え、暗澹たる気分となりました。
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karu
at 2009-11-13 00:34
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そうですね。まーマスコミ受けするような、トウヤマの金さんとそれを見ていた江戸の町人と廻船問屋と結託する、あく代官みないなことを狙ったのでしょうが。あまりににも貧乏くさい芝居で、舞台がやりすぎましたね。金のないのを強調して体育かんですが、海外から見るとまだ日本人は汚い木造住宅に住んでいる異様な国民に見えたでしょうね。
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39歳無職
at 2009-11-13 08:51
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私はあの事業仕分け、結構評価してます。
なんであの人が?とか、なんでこんな短い時間で?とか、なんでこんな場所で?とか、いろいろ問題は山ほどあるでしょうけど、 その辺はおいおい改善してもらうとして、 ネットで公開してるところなど、評価出来るポイントもあるのでは? 大衆迎合狙いと言われればそうなんでしょうけど、 密室でやってたよりは良いのではないでしょうか? 自分達の税金の使い道に国民の関心も集まりますしね。
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くま
at 2009-11-13 10:00
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そんなに買わんでもという気がしますが、「やめられない、止まらない」(古い)のが国債の魔性の魅力・・・なんでしょうか
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tatsu
at 2009-11-13 14:54
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いつも拝見しています。
「JGB市場の劣情」という言葉が、あまりにもぴったり過ぎてウケました。 私見ですが、私は臨界点は当面来ないと思ってます。 日本の機関投資家は、リスク限度の縛りのなかで行動を最適化し収益の極大化を図っていくわけですが、そのリスク限度つまりは自己資本が、ご存知の通り金融規制強化(銀行だと自己資本比率の強化改正、保険会社でもソルベンシー比率計算の改定とソルベンシーⅡの導入などなど)や、国際会計の議論の行方などで、今後かなり制約されることが予想されるからです。つまりリスクをとりたくても、取れるリスクがないということ。で、結局国債を買う以外の行動は難しいと、結構本気で思ってます。(もちろん景気回復の水準によって金利のレベルは変わるかもしれませんが、、) 皆さんは、如何ですか?
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dell
at 2009-11-13 16:46
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bank.of.japan at 2009-11-13 21:20
劣情、ウケて多謝です。私も臨界点は当面こないと思っております。ただ、無限の膨脹は無理なので、どこか分からないどこかで臨界点、という感じです。リスク管理の制約で国債を買う、というのは私もその立場で、当面はかなり頑強なホームバイアスでしょうか。
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