亀井大臣は引き続きモラトリアム論を展開しているが、公的保証によって貸出市場はいかに歪められているかについて、日銀「金融システムリポート」(FSR)より抜粋して紹介。市場関係者やアナリスト向け参考まで。場所はこちら。
本文19ページあたり。 「(信用リスクと金利設定) 公的保証付き貸出の増加といった企業金融に対する公的支援の強まりは、借り手企業の信用力を銀行の貸出金利に反映させにくくする効果をもつと考えられる。こうした点を検証するため、以下では、より中長期的視点から、借り手企業の信用力と銀行の貸出金利との関係を分析する。 過去の長期的な信用コスト率と貸出金利との関係を、銀行のクロスセクションデータから確認すると、両者の間には有意な相関はみられない(図表2-25)。また、企業の債務返済力を債務償還年数で測り、これと借入金利子率との関係をみると、債務償還年数にはばらつきが観察される一方、借入金利にはほとんどばらつきがない(図表2-26)。2000 年代入り後、中小企業においてはこの傾向が顕著になっていることが窺われる。これらの分析結果は、金融機関が企業の信用リスクに応じた金利設定を、全体として行ってこなかったことを示していると考えられる。 その背景の1 つとして考えられるのが、1990 年代末以降、中小企業向け貸出を活性化する目的で導入された各種の金融対策である。この影響を考察するため、中小企業向け貸出に占める公的保証付き貸出の占める比率を業種別に確認すると、債務償還年数が長い業種やデフォルト率の高い業種では、公的保証比率が高い傾向がある(図表2-27、2-28)。 公的保証は民間金融機関の金融仲介機能を補完し、特に企業倒産を抑制する効果がある。反面、銀行が借り手の本来のリスクに見合った貸出金利を設定できない状態を長期化させ、銀行の基礎的な収益力を低下させ、経済全体の資源配分の効率性に歪みをもたらす可能性がある。 今回の分析結果が示唆するように、わが国の銀行貸出市場は、価格メカニズムを通じた効率的な資源配分という点で、機能面に大きな課題を抱えているといえる」 太字は私によるもの。 個人的には、これに加えるに、構造的な側面として、オーバーバンキングや小うるさい金融行政、銀行を公益法人とみなす風潮、報道等なども貸出市場を圧迫しており、日本の貸出利ザヤが世界的に異常に低い、つまり銀行はNPO化状態にあると思われる。だからノンバンクが叩き潰されたのである。
by bank.of.japan
| 2009-09-21 12:20
| 金融システム
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Comments(21)
私のような一般の素人が考えても、
亀井モラトリアムは弊害だらけで信じられない構想なんですが、 マスコミからそれほど批判の声が上がっていないようですし、 経済学者からの意見も目にしませんし、 政治家サイドからは藤井財務相が疑問を呈した程度で沈黙されているようです。 このままこんな政策が実施されるのでしょうか? 正直、日本の程度に呆れ始めています。
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日本の場合これくらい誰か言わないとだめなんじゃないんですか?
自由市場とかいってますが、根こそぎになるとどうしようもないから。 ただ本気でやるかどうかです。 で実際やっちゃってる中国。こちらはもうスケールが違いすぎて・・・l。 国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)が外資系金融機関6社に対して国有企業はデリバティブ契約のデフォルトの権利を留保しているとか。 で実際に行われた来年からのITの情報開示です。軍用に限定されてますが。 まぁこういうのがえんえんえんえんと続くのでしょう。 日本とは桁が違いすぎて話になりません。
まったくもって御意にございます。ただ、全体として見ても世界的に金融緩和が続いている中では「お金の価値」(金利)は必然的に下がってしまったのだと思います。貸出市場の価格メカニズムが働かない原因はもっと大きなところにありそうな気がしています。
メガバンクはどうしようもない。消費者金融で儲かると一斉に参入したが、貸し出しリスク管理ができない。法的リスクの管理もできなかった。中央のメガバンクは、放っておけばよい。オリックスや日航、アイフルの救済に、モラトリアムを使うことは阻止すべきだが。
モラトリアム・公的資金保証は、ひたすら地域金融機関に絞って実行する。 その際、預金者が、おらが村、おらが町の中小企業を支えようという気持ちを喚起する必要がある。 モラトリアム・公的保証を受ける「地域金融機関」が、その趣旨を宣言し、預金者・地域代表が、第三者委員会で、当該地域金融機関の行動を支援する。今の庶民は、その程度には動く。 それ位しないと、金融の原点を忘れマネーゲームに浸ってきた「マネーフロー」は改革できないと思う次第なのだが。
言いたい事はわかるけど、そんな事いったら日銀と金融機関の間で行ってる「金融機関が確実に儲かる仕組み」だっておかしいでしょ。加盟すれさえすれば、はずれのない莫大な収益。
中小企業への貸出が実際問題ワークしてないところの問題も。 構造カイカクが必須とあれだけ日銀様は言っておいて、いざ自分達の領域になるとNGですか。 色々と回ってない金の事考えましょうよ。そろそろ。
39歳無職さん、どうもです。投資行動を取る際、この貸出市場の歪みをどうとらえるかは重要ではないかと思います。デットが公的に歪められた場合、いろいろ論点はありそうです。
まるさん、どうもです。マネーに関しては、自由市場とは言い難い面があります。さすがに中国ほどではないですが。 害債さん、どうもです。間接金融が正常でない場合、他の投資をどう捉えるのかは興味深いです。公的マネーのチープ化が進展すると…。 通行人さん、どうもです。どういう形であるにせよ、地方救済となるなら、わざわざモラトリアムを使うより交付税の方が簡単かもしれません。 通りすがりさん、どうもです。儲かる仕組みは、特別オペですか。
ゆうちょ銀行といい、モラトリアムといい、なんか政治が巨大な遊び場になりつつあるような。やってる人たちは目立ったもの勝ちというスタンスなんでしょう。マスコミはあまりにアバンギャルドな民主党政権に対し、視聴者がどういう反応するのかいまいちつかめずに様子見。経済学者も、その多くはリクルート活動との兼ね合いもありみたいな。
民主党突っ走ってますね(爆笑
亀井大臣のモラトリアム法案名は「返し渋り合法化法」がぴったりです。
亀井大臣のモラトリアム政策を熱望する人、「亀井は馬鹿か」と思っている人、色々な立場で色々な思惑があります。某金融機関では融資稟議を作成している段階で、完済が困難と思われるものを融資ではなく贈与と呼ぶそうです。今後、債務免除法とかも成立するのかも知れません。棄捐令・徳政令を笑っている場合ではありません。貸出金利を限りなく低くし、貸し渋りを糾弾し最後は返済免除を迫る融資詐欺ですか。亀井大臣のモラトリアム政策は銀行の返済に苦しんでいる人を救うためだけではなく、最終ターゲットは国債・地方債の償還免除と思われます。【間違って「ゆうちょ銀行の今後についての考察」にコメントしてしまいましたが削除方法が判りません。申し訳ありません。】
そもそも我が国の間接金融が真に機能していたかといえば、大きな疑問です。
大手銀行にしても融資部門の能力には「はぁ?」という経験が多くあります。 査定能力が低いからこそバブルが起こり、その後の失われた10年?でも日本経済が停滞しつづける原因となっています。 以前、破綻した某長期銀行を退職したエリートさんと仕事をしましたが、畑違いというせいもありますが、本屋にいけば関連図書が多数あるにもかかわらず、自分で何も調べられない人でした・・・ 高度成長期はテッパンの上場企業に機械的に融資していれば大もうけできたようですが、低成長で貸付環境がシビアになってくると全く機能していないようですね。
でもまあしかし、根本は日本で起業するときには借入金に頼るのが当たり前という風潮があるのもどうかと思います。
順調に商売が推移してもどっぷり借入金に頼りまくり、返済と納税で常に資金が厳しい会社ばかりです。 なぜ自己資本を厚くするまで起業や拡張を我慢できないのでしょうか。 ヤフー知恵袋なんかに「自己資本がたまりません。どうしたらよいでしょうか?」「借金返済で苦しいのになぜ税金を払わなければならないのですか?」的な質問が結構あります。 そんなこともわからずによく経営者をやっていられるな~と唖然となります。 国民の会計教育をおろそかにしてきたツケです。 こんなバックボーンでは自力での経済成長など夢のまた夢でしょう。 あ、亀井案ですが、まず論外です。 多すぎる銀行を整理してから何か言え!という感じです。 (蛇足ですが、同一法人で複数の異なる口座名の把握もできず、ペイオフ発動時に名寄せもロクにできそうもない某銀行さんには脱帽でした)
>>348tsさん
融資審査能力なんてどうでも良いと思うよ。直接金融でも金をくれてやるようなものなわけで、銀行員より遥かに審査能力に劣る田舎の親父が、ちょっとした詐欺師並みの証券会社の営業に載せられて、新株買っていたりするんだから。 金融機関なんてのは、無茶やりすぎて破綻しなきゃ、後は四の五の言わずに右から左に資金を融通してればいいのよ。規模に応じて、適当に真剣に審査してれば良いのよ。地方の信金なんかが真面目に審査していたら仕事にならんし、そういうところは年に数件破綻するくらいでかまわん。メガクラスがそれじゃ困るけどね。 あと、某長期銀行は例として考えたら最悪の極端なケースだ。あれを一般化しないほうが良い。 >なぜ自己資本を厚くするまで起業や拡張を我慢できないのでしょうか。 簡単に自己資金を厚くできるくらい所得があるんなら、起業なんてせずに、そのまま働いていたほうが得だからでは?w
どうも太字で書かれた部分の趣旨が理解できないのですが。
昔の実務経験からしても、保証協会つきであれば信用リスクが国なり、自治体に転化できているので低いレートで貸すのは当然ですが、だからといって保証のない、プロパーで貸し出す場合の金利水準がそれにひきずられて低くなる、ということはないですよ。 公的制度が市場をゆがめている、というならかつての中小公庫の貸出攻勢で、民間銀行が本来の水準より低い水準で貸さざるを得ない、というほうがまだ実感にあうのですが。
みなさん、引き続きコメント頂き多謝です。とりあえずモラトリアム論の行方を見守りたいと思います。
モラトリアム法案の導入が予想された時点で(つまり導入以前から)、中小企業向け貸し渋りは加速するだろうし、借りられたとしても万が一のため(かなり蓋然性が高い万が一だけど)3年分の余計な金利を銀行が取りはじめるような気がしてなりません。
少額(60万円以下)の金銭の支払に関しては、民事訴訟法に条文あり。
(判決による支払の猶予) 第三百七十五条 裁判所は、請求を認容する判決をする場合において、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から三年を超えない範囲内において、認容する請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをすることができる。 2 前項の分割払の定めをするときは、被告が支払を怠った場合における期限の利益の喪失についての定めをしなければならない。 3 前二項の規定による定めに関する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。 「3年」 を 見っけ! ちなみに銀行貸し出しは商事債権はだから、遅延損害金の法定利率は年6分(=6%)。 商法514条
ちょっと追加で
阪大の池田新介教授が日経の「やさしい経済学」で金額効果における割引率(金利)の解説で日米比較をやっておられました。 今日受け取り予定のお金を1年間待ってくれといわれたときの要求金利 シカゴ大学セイラー教授の学生では 15ドル(139%) 250ドル(34%) 3000ドル(29%) 中央値 阪大の学生を対象にした2005年のアンケートでは 1万円(6.7%) 100万円(1.16%) 平均値 ナニワの商人(あきんど)の地でも低金利なれし過ぎでしょ。 ちなみに、貸し出しは持参債務でもあり、取立て債権でもある。 1万円を返してもらうのに、電話代や電車賃(千円)がかかれば、あれ~~?
飛車さん、どうもです。多分、ご指摘のような事も起こり得るのではないかと懸念されるところです。
モンテカルロ・モナコさん、どうもです。参考にさせてもらいます。その条文に「3年」があるのですね。物価の優等生の時代が長かったこともあり、インフレ期待が低い(金利観も低い)のでしょう。
モラトリアムを発動してなおかつ貸し渋りがないようにする・・・。
ごっとり法案もってきて、通したとしても、地方の信用金庫(とくにやばいプロパー保有)、一番零細企業を助けていたところから破綻し、第二地銀もふっとび、結局一番貸しはがす都銀しか残らないと思いますが。 しかし、借りたものを返さないで、更にお金かしてって。。 じゃあ、反対にアメリカも基盤きついからデフォルトしますって言われたらどうするんでしょうか?最終的には銀行も預金デフォルト(ペイオフ関係なしに)するよって感じになりませんかね? 要するになんでもありって事になっていきそうで怖いです。
unnkoさん、どうもです。文字通りの「モラトリアム」ではなくて、既存の仕組みを少し強化する程度のような感じで、まあこの程度で収まって良かったというところでしょうか。
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