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本日の大機小機は同感=祝・FRB議長再任
 まずはバーナンキFRB議長の再任。マーケット的には議長再任をめぐる不透明感が払しょくされてめでたし、という結果となった。サマーズ議長はちょっとね、という感じもありましたしね。まあ、危機対応の過程をよく知る議長がこのまま難航するであろう出口政策も手がけるのが一番良いと思う。

 で、本題の大機小機。下のとは打って変わって本日の内容はうなずくところが多く、自己資本規制の在り方としてはまあ正論ではないかと受け止めた。筆者は、無垢氏。実態を良く知る当局者(or金融実務家)という印象を受けたのだが、どうなんでしょう。取り合えず内容をつまみながら簡単に感想・解説など・
・金融危機はまだ収束していない。自己資本規制を強化して信用収縮に拍車をかけては元も子もない。
→その通り。危機直後はバブル(=金融)憎しの大衆的感情の高ぶりから規制強化となりがちだが、得てして羹に懲りて膾をふくことになる。
・BIS規制はもともとプロシクリカリティが懸念された。金融有事のもとで規制強化に走れば信用収縮の増幅効果はさらに高まる。
→その通り。実際、90年代後半の日本の金融危機では自己資本を維持しようとして資産圧縮(貸しはがし)が勃発し、マクロ的打撃が大きくなった。この点は無垢氏も指摘している。
・金融有事ではむしろ自己資本規制を緩めて信用収縮を防ぎ、平時に戻ってから資本強化すればよい。可変的な自己資本規制が必要。
→妥当である。一般論として金融セクターが打撃を受けたときは、むしろ傷を癒す措置が必要であり、リスクテーク能力の維持を図る方がマクロ安定に資する。
・バーゼル銀行委は専門化の集まりだが、銀行の健全性という金融の庭先でなく、グローバル経済の回復という広い視野が求められる。それは日本の金融危機の教訓でもある。
→おっしゃる通り。資本規制というものは健康な人が病気にならないための健康法の目安のようなもので、病気になった人には害が大きい。規制強化で銀行を元気にしようという発想は、ショック療法でしかなく、むしろ経済が不安定化し、それが金融セクターをさらに悪化させるという悪循環を招きかねない。規制強化は議論してもよいが、まあマクロ経済の安定化が相当に確実になった段階から実施に移せばよいのではないか。それぐらいのマクロ観がないと規制強化はうまくいかない。
 なかなか会心のコラムであった。こういうのが続くと良いですね。
by bank.of.japan | 2009-08-26 00:26 | 大機小機 | Comments(6)
Commented by asd at 2009-08-26 09:48 x
全く同感です。本当にこのコラムは玉石混淆ですね。
まあ、玉というか、いい意味で普通の内容とも言えますけど。
実態をよく知らない私のような単なる金融ウォッチャーでも書けそう(書けるかはともかく、同意見)なので、単なるその辺のライターかもしれませんよ(笑) ま、そんなことはないでしょうけど。
Commented by 通行人 at 2009-08-26 11:36 x
公の文章でプロシクリカルって単語を見たのは初めてな気がする。
業界誌みたいなのでは普通に使ってるのかな。
Commented by bank.of.japan at 2009-08-26 21:29
asdさん、どうもです。金融関係の方々が普通に思うことが書かれていたという意味ではど真ん中を突いたコラムでありました。国際基準教条主義的でないところが良かったと思います。

通行人さん、どうもです。一応、「増幅効果」という注釈は付いておりました。マスコミ的にはさすがにカタカナだけでは使えないと思います。
Commented by a-kun at 2009-08-26 22:56 x
そろそろ夏休みから復帰しようとしております(汗)
まあ、総論賛成では有るのですが、気になるのはこの1点。
>・金融有事ではむしろ自己資本規制を緩めて信用収縮を防ぎ、平時に戻ってから資本強化すればよい。可変的な自己資本規制が必要。
「金融有事」ということは普通ならリスクが高い状況のはず。そこで自己資本比率規制を緩めるということは、そのリスクへの備えを減らすということだと考えます。ということは積み残しのリスクを金融当局に背負わせるか、平常時の規制量を大きく積み上げておくか、という選択となるでしょう。前者は国民合意が得られるか、後者は通常時の規制量が半端なくあがりそうで、どうなのかなあ、と思ってしまいます。個人的には前者でやむなしなのですが、それって金融機関はフリーライドかよ、ということで、金融関係者こそ、それに見合った対応を打ち出すことが大切に思える今日このごろです。
Commented by 預金者の利益第一 at 2009-08-27 11:18 x
a-kunさん
「積み残しのリスクを金融当局に背負わせるか、平常時の規制量を大きく積み上げておくか、という選択となるでしょう。前者は国民合意が得られるか、後者は通常時の規制量が半端なくあがりそうで、どうなのかなあ、と思ってしまいます。」
おっしゃるとおりです。少し前に三菱東京の永易氏がまさに前者の議論をWSJ紙で展開して顰蹙を買っていました。そもそも今は多くの銀行で株式保有(日本)やデリバティブ(欧米)により自己資本が毀損しています。つまり銀行の本業である貸出業務以外で資本をたくさん使ってしまっている、という経営上の問題に起因しています。中小企業向けの不良債権が原因で自己資本が枯渇して公的資金・・・ということなら納税者は納得するかもしれないが、今のような環境で「景気が悪い時は自己資本が少なくて良いだろう」という議論は、本業以外のリスクテークを温存することにつながりかねません。それと、国際的な規制を考えるときは、世界には政府に金融機関を守る力のない国が多いことも考慮する必要があります。

Commented by bank.of.japan at 2009-08-29 12:46 x
a-kunさん、どうもです。復活されましたか。まあ、無理せずにボチボチとやるのが一番でありましょう。貸し剥がしが起きるのを規制の緩急で対応するのか、財政的に対応するのか、これはまあ選択の問題かもしれません。
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