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あるメディアが記者クラブを除名されたら…=逆説的だが、超強力なメディアになるかも
 ツィッターで「記者クラブを楯にして新聞を有料化しようと企てる人たち」というエントリーを知った。まあ、そういう考えもあるのだろうなあ、との感想を抱きつつ、ちょっと別なこと考えてみた。談合に参加せず、記者クラブを除名されたメディアの行方である。
 エントリーでは「新聞社お家芸の『記者クラブからの締め出し』をすれば、その社には情報が入らなくなる」とあったが、この情報が公的機関のものなら、別に記者クラブにいなくても不便はない。各機関のホームページで開示されているからだ。この点は日銀も同様で対外発表において記者クラブも一般向けも差はないと思う(詳細な照合は行っておりません)。
 一般的に記者クラブだけに重要事項が発表されることはまずないのではないかと思う。重要なことであるほど一般向けにも発表するはずで、調べたことはないが、多少タイムラグが生じ得る程度ではないだろうか。日銀もほぼ同時のタイミングで発表している(アクセス度合いで差はあるかもしれないが)。
 で、除名されたメディアのしのぎ方である。ここでは公的中心&金融経済に焦点を絞りたいが、記者クラブを除名された会社は目先は困りはしないだろうと思う。除名と同時に公的組織への出入りが禁止になるとは思いにくいからだ。除名されても、メディアとしてのプレゼンスがあるなら、相手も取材には応じるだろう。
 このとき、当該メディアが思い知るのは「人とのコンタクト」の重要性ではないかと思う。「記者クラブ」は記者を短期間でぐるぐる回すメディアには便利なシステムで、取材が容易になるインフラという側面が強い。従って、除名されたメディアは既存のつながりを一層大事にし、その後の人的ネットワークも非常に大事にする取材体制にすると考えられる。
 必然的に記者を短期で回すことは避け、ある程度分野を絞った長期ローテーションにならざるを得ない。この点、私が一番脅威に思う存在はやはり日経新聞である。産業分野も含めた人的配分は圧倒的であり、除名されても単独でクラブに匹敵するプレゼンスがある。長期ローテーションやられたら圧勝でしょう。
 個人的な印象だが、日経新聞は過去10数年、部数を伸ばそうとしてか、結果的に一般紙化する方向が強まってきたと感じる。ターゲットとするリテール水準をどの辺に置いているのか分からないが、現場記者はオン・オフ含めてかなりの情報量を持っているはずで、マスリテールに合わせた紙面化によって膨大な情報量が切り捨てられているのではないか、と感じる。そうだとすると、もったいないことである。
 記者クラブはなんだかユーロのように思えてきたなあ…。
by bank.of.japan | 2009-08-17 22:31 | マスコミ | Comments(8)
Commented by 害債 at 2009-08-17 23:43 x
>日経新聞は過去10数年、部数を伸ばそうとしてか、結果的に一般紙化する方向が強まってきたと感じる。

同感です。というか、経済記事より文化欄とかスポーツ欄のほうに特色があって、なんだかなあ、というのが実感ですが、個人的にはウォールストリートジャーナルみたいな特化した記事の新聞になることを望みます。
Commented by よっしー at 2009-08-18 08:35 x
害債さんのコメントに賛成です。
エロイ小説も個人的には嫌いではありませんが、なんで日経に必要なのかと思います。
小6の子供が、授業の一環で新聞記事紹介なんてやってますが、もしアレを取り上げたと思うと、、、先生に呼び出されそうで恐いです。
下世話な話ですみません。でも、日経にはしっかりして欲しい!
Commented by 壱万円札 at 2009-08-18 11:44 x
お久しぶりです。民主党政権になれば記者クラブは廃止される方向だそうです。早くツルム、ぬるま湯体質のマス「ゴミ」も目を覚まして欲しい。
Commented by PK at 2009-08-18 12:12 x
初めての平民首相という原敬は、実は、初のマスゴミ出身首相なんですね。それ以来、マスゴミは政界に通じるルートになってしまった。
だから、批判的思考のプロセスを担える人材を押しのけて、政治的野心のある人間がマスゴミに入るようになってしまった。
マスゴミは、本来はスパイです。忍者ですね。マスゴミからCIAや分析官というのが本当だと思います。
こんなマスゴミ体制では、日本は進路を間違えます。
Commented by なみすと at 2009-08-18 15:04 x
最後の段落の記述ですが、似たようなことを学生団体にも感じます。
当初はニッチだが確実に需要がある分野に新鮮なアイディアの学生団体が立ち上がりますが、知名度の上昇とともに拡大路線を取とってしまい(周りから取らされ)、当初の軸が守れないのです。
学生団体ですらそうなのですから、利益を出さなければならない民間はこの傾向に走ってしまうのも分かります。
Commented by 椿ライン at 2009-08-18 19:52 x
 毎度、興味深いエントリーご苦労様です~。
 「一番脅威に思う存在はやはり日経新聞である」とのご指摘は、個人的にいささか疑問です。確かに多くの会見場や場所に人員を配置していますが、個々の記者の専門分野への造詣・内部のデスクの専門性が他のメディアと比べて高いかといえば、疑問符が付きます。海外メディアで既報済みの話をスクープのごとく報じたり、最近は手抜きも目に付きますし~。

 本題に戻って、「政治を変える情報戦略」(水上慎士・著)で書かれていた通り、記者クラブ発表モノでは情報を体系的に捉えられません。脱記者クラブで脅威となるメディアは、本石町日記さんや、ぐっちーさんのような専門性の高い解説ができる新しいメディア媒体なのではないでしょうか?(^^
 日銀や各省庁が経済指標などをRSSやXBRLで出すようにしてくれれば、金融ベンダーだって必要なくなるでしょうし・・・。
Commented by bank.of.japan at 2009-08-18 20:55
害債さん、どうもです。恐らく専門化すると部数が落ちるリスクを強く感じているのかもしれません。値上げで補える環境でもないとの判断もあるように思います。難しいですね。

よっしーさん、どうもです。現在の連載小説もちょっとね、という印象はあります。

壱万円札さん、どうもです。ぬるま湯が水になり、凍えつつある状況であります。民主党が記者クラブを廃止できるか、ある意味、ショック療法として期待したいです。

PKさん、どうもです。スパイ的というのはある意味当たっています。

なみすとさん、どうもです。質と量は逆相関かもしれません。専門性(ニッチ)とマスは両立しないように思われます。

椿ラインさん、どうもです。まあ、ブログのビジネス化も全然見当がつかない状況であります(苦笑)。
Commented by PK at 2009-08-21 07:40 x
バブル崩壊で長期不況に陥ったときに、輸出が救いになるのは、外国が心理を共有しない他者であって独立に存在しているという点に理由のひとつがある。流動性選好が非常に高まったときには、こういう独立の動きをする主体は、やり直し考え直しをするための原点になりうるのだ。
今回の金融危機で、日本の麻生はそういう役割をした。中国が日本に負けまいと力んで追随した点も大きいが。
はっきり言って、今の時点で日本や世界が落ち着きを取り戻していることに対して、麻生(と日本官僚)の「過去の経験に基づいた、確信を持った行動」の貢献は大きい。これが世界に考え直しやり直しの機会を与えた。
国内においても、日銀と麻生政権は、うまくタイミングよく火消しをした。
もう3~4年彼の政権が続けば、日本はもっと良くなっただろう。

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