アトランタ連銀ブログがベースマネー激増によるインフレ懸念の払しょくで奮闘を続けている。政策がうまく理解されない対話障害を解消するために頑張っているのだが、お疲れなことです。新しいエントリーは「物価安定とベースマネー」というそのものズバリ。改めて思うに、日銀がかつて直面した議論がひっくり返った格好で、懐かしさを覚える論争である(日銀諸氏&BOJウォッチャーは必見)。最近、連銀が日銀に見えて仕方がないこのごろである。この手の議論、日銀マン&ウーマンは慣れているので、連銀にスポークスマン(orウーマン)を派遣したらどうであろう。えっ、もううんざり?(苦笑)。その気持ち、よく分かる。
さて、今回のエントリーである。まず、米WSJ紙でARTHUR B. LAFFER氏が「インフレと金利高に備えよ」との懸念を表明している。要約すると、①財政悪化とパニック的な金融緩和でこれから物価は急速に上がり、金利もどんどん上昇し、経済は酷い状態になる②バーナンキFRBは昨年秋、突然回れ右してベースマネーを激増させた③FRBはマネタリーベースを100%コントロールできるのだが、(この激増という)過激な方法でインフレ抑制から180度方向転換してデフレ抑制に転じる、というシグナルを送った-という主張である。まあ、マネタリズム的にはこういう発想になるのだが、日銀の時とは違って「やり過ぎじゃねえか」というシロモノである。 つまり、LAFFER氏はベースマネー激増というリフレ政策を真っ正直に心配しているのですね。日銀は真逆の批判をくらってしまったわけで、なんと言うか、ところ変われば議論が変わるというか、不条理感を伴うデジャブな指摘であります。 で、連銀ブログのDavid Altig氏は、最近の一連のエントリーを紹介しつつ、反論であります。 ・反インフレから反デフレに転じた、って言うのは、家の温度調節が6月にヒーターとエアコンが作動する矛盾した設定になっているようなものだ。 ・(ベースマネー増大に対して銀行与信が伸びていない図を掲げた上で)激増したリザーブには金利が付与されており、これはリザーブ需要が強まっていることを意味する。 以上は何度か紹介した議論の繰り返しでもあるのだが、以下の出口政策に関する部分はLAFFER氏の指摘がうなずける面がある。つまり、「FRBがきちんとインフレ抑制できるか疑わしい。ベースマネー100兆円減らすには債券を100兆円売らないといけない。国債を増発する財務省と相反する。国債価格は需給悪化が崩れるのではないか」というもの。これに対して、Altig氏は連銀総裁のインフレはきちんと安定させる、というスピーチで答えているのだが…。 まあ、FRBの出口政策は相当に困難を伴うだろうと思うのが普通ですね。 ps Altig氏はそのうちFRBが債券発行(=日銀の売手)を検討していることを踏まえ、「俺たちには売手というスーパーな手段があるんだぞ」と言い出して出口政策の不安を取り除こうとするのではないかと予想するのだが。どうですかね。
by bank.of.japan
| 2009-06-12 21:56
| FRB&others
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Comments(15)
>FRBが債券発行(=日銀の売手)を検討している
日銀に買い取らせるということですね。 しかし100兆円とかありうるのでしょうか? 3月時点で日銀資産の外国債券は約5兆円ですが・・・ とまあ、考えていると、外貨貸付金5.7兆円というのが昨年はなかったのに突然計上されていますね。 明細では「米ドル資金供給オペレーション基本要領に基づく」とあります。 これなんですか? 2008/9に緊急で決めた内容みたいですが・・・ 単なる為替介入ですかね
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ブログへのコメント、ありがとうございます!こちらこそ、よろしくお願いします。
>>パニック的な金融緩和でこれから物価は急速に上がり 少なくとも、ベースマネーを増加させただけでは、物価は急速には上昇しないはずです。日本で過去に実験済みです。論文「CIRJE-F-336(Oda, Nobuyuki and Kazuo Ueda)」の28枚目、Figure 1の (i) CPI と (iii) Monetary Base を照らし合わせると、それがわかります。(この論文は検索すればひっかかります。)ただし、他の要因がからめば話は別になるかもしれませんが。 なんて、マニアックな情報なんだ、、。それとも、widely knownな情報なのかな?
見える! 私の脳裏にはこの夏、逆イールドが出現するのが見えている!
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
軽量級経済の高度成長
オイルショック時の陽炎でめまいがするようなインフレ バブル期の図体がでかくなった経済の5%成長 を肌で知っている経験では、土日に限ってみると、3~4%ぐらいの成長をしているような気がする 間違っているのだろうか? 麻生政権が続いてくれたらなあ しばらく気分のいい経済状態が続くように思えてならないのに。 それでも、電機関係は賃金を下げて本格的に構造調整しないとだめだろうな
あと、預金課税の準備はしといたほうが良いと思います。
米ドルを買い支えるのは日本の勝手ですが、放置するのも米国の勝手ですから。
>FRBが債券発行(=日銀の売手)を検討している
日銀で言う所の「売り手」にあたる債権をFRBが発行検討してるって事であって、「日銀に買い取らせるということですね」ということではないですよ。 ...ネタニマジレスカコワルイ...
全然関係ありませんが、外貨準備最大の中国はじめ上位国(除くJAPAN)が通貨構成を変えるという議論がある中で、アメリカの国内政策の意味は世界経済にとってその意味は低下しつつある。なんてね。
で米国債の代替はIMFのSDR債なんて記事が出てましたが、私の記憶が正しければ、SDRはいまだに通貨バスケット方式のはず、その構成通貨をみれば余り意味がないことをわかってほしいのすが。欧州がうらぎらなければ。
次の国際通貨体制は、江戸時代の三貨制度と両替の有り様に近いものになると思います。
大名貸しを行うような両替商は掛屋と呼ばれたそうですが、IMFとかアジア開銀とか各ブロックの開銀が規模拡大して。 それに民間の巨大銀行がグローバル化した決済業務をし、各国中央銀行と関係を持つ 中央銀行間の連絡組織と、巨大銀行を監督する国際的な監視組織 世界中央銀行は現実的ではないです。 あと忘れてました。食料やエネルギーの先物市場です
348tsさん、どうもです。FRBの債券発行は、ドルインタバンクの余剰資金を吸収するための手段で、現在、米国会で検討中のようです。日銀とは無関係です。ドル供給は国際的な流動性危機への対応で日欧中銀が協調してやっております。
grasppmacro2008さん、どうもです。どう致しまして。今後ともよろしくお願いします。ベースマネー急増と物価の相関の乏しさは、まさよく知られたことではないかと思います。 べん・ぼるなんきさん、どうもです。大幅な利上げでの逆イールドはないように思いますが…。 非公開さん、どうもです。まあ、私もそうかな、と思います。
かるさん、どうもです。SDRとかにしても、ドルの基軸が薄まった形になるので、完全な代替は難しいように思います。緩やかなドル安による調整が現実的かもしれません。
本石町さま。返答ありがとうございます。
>日銀とは無関係です。 とのことですが、文中の「=日銀の売り手」とはどう解釈すればしいのでしょうか? FRBの債券発行は紙幣以外の債券発行を模索しているものと理解していますが、日銀が無関係とすれば日銀と絡ます意図がわかりません。 なお、みなれない協調資金供給を為替介入とか書いてしまってかなり稚拙でした。介入は政府特会ですものね。
舌足らずでした。FRBの債券発行=日銀の売手(売出手形)に相当する手段、という意味です。
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
↑さん、どうもです。基本的に日銀の売出手形といっしょで、FRBはまだ機動的な吸収手段を持っていないので、導入を検討中です。大分前に報道されておりました。議会の承認が必要なのは、現状の連銀法では負債発行ができないからのようです。
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