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一万田総裁と白洲次郎氏を同時ヒットした件=雑感的な歴史探訪の巻
 ドラめもんさんのGDP戦後最悪ネタに触発されて、何気に終戦直後の国会議事録を検索していたら、一万田総裁と最近ブームの白洲次郎氏が同時に登場している質疑がヒットした。白洲氏関係の本は未読ながら、マスコミの印象ではやけにカッコ良い印象があったので、ネタとして横道にそれるが、少し深堀りしてみた(当ブログ読者に白洲ファンが多いかどうかは不明ですが)。

 まずは、ヒットした質疑。これは昭和26年03月31日、参院本会議における木村禧八郎議員(労働者農民党=後に社会党)の開銀設立に反対する弁論である。

○木村禧八郎君 (略)この日本開発銀行の中身を検討して見ますと、どうしても我々の承服できない点があるのであります。
 (略)この総裁及び役職員の任命ということが非常に重要であると思うのです。この総裁、役職員が適正な人物であるならば、まだ我々は了承できると思うのですけれども、従つて非常に立派な人物を総裁その他役職員にするらば、これは任命については、国会の承認を得るべきであります。(「焦り」と呼ぶ者あり)ところが国会の承認は要らない。総理大臣が任命すればいいのであります。
 而もすでに伝えるところによれば、この総裁は非常に政党色の強い小林中氏が予定されておるのです。(「そうだ、不都合だ」と呼ぶ者あり)小林中氏は周知のごとくいわゆる吉田側近の人と言われ、白洲氏と非常に昵懇の間であつて、政党色が著しく強いことはもう明らかであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)。
 伝えられるところによれば、金融界でもこれは反対であり、大蔵省の役人も反対である。そういう人を総裁にしてどうして大蔵省が公正にこの資金の運用を監督できるか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)その責任は持てないというので大蔵事務当局は反対であるのです。(「よく聞いておけ」と呼ぶ者あり)而も金融界においても反対であると言われています。
 併しながら一万田日銀総裁は、反対すると日銀総裁の椅子が危いというので、あえて反対しないので、妥協して、そうして日銀総裁の椅子に(「黙つて聞け」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)居据るのに成功したのではないかと伝えられておるのですが、そういう疑惑が起るだけでも私は非常に不明朗だ。(「勝手なことを言うなよ」「勝手じやない、事実だぞ」「独断だ」と呼ぶ者あり)。
 私は銀行局長に聞いたのですが、こういう非常に重要な(「そんなことはわかりやしないよ」と呼ぶ者あり)この銀行の総裁を任命する場合、政党色があつていいかどうか。銀行局長は原則論としてそれはよろしくないと、こう言つております。併しこの開発銀行については、総理大臣が総裁を任命するのであるから、意見は述べられないと言つておるのです。
 このように非常に政党色が強い人が予定されておるのです、すでに。これは非常に不明朗だと思います。これは第二の復金になる公算が大きい。まあそういう疑惑を持たれても仕方がない。或いは又これは自由党の私設機関になる危險もある。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そういうようにも疑われても仕方がない。(「その通りだ」「嘘を言うな」「事実だ」と呼ぶ者あり)。
 若しそういう疑いを持たれることがいやであるならば、この総裁の任命についてはもつと公正な方淡によるべきで、国会の承認を得るようにしたならば、そういう疑惑を封ずることができると思うのです。なぜ国会の承認を得ることがいやなのか。(木村守江君「労農党の批判は要らんよ」と述ぶ)なぜ国会の承認を得て公正にそういう人の人選をすることに反対なのか了解に苦しむのであります。(「労農党の批判は要らん」「ノートを取つて筆記しろ」「覚えておけよ」「何を言つてる」と呼ぶ者あり)
 実はこの法案の中身を検討して見ますと、(木村守江君「労農党の口出しは要らん」と述ぶ)不明朗極まるのであります。(「勉強しろ」「少し教えてやらんと…頭が悪いから」と呼ぶ者あり)木村さんはこの法案の内容を御存じないのです。ないから、そういうことを言われておるのであります。よく御検討になれば、そう木村さんが、がみがみ言われるようなことはないのです。(笑声)こういう非常に重要な法案であります。非常に重大な法案でありますので、こういう法案、而もこれの総裁をきめることは最も公正な方法においてやるべきです。(「勝手なことを一人できめて言うなよ」と呼ぶ者あり)
 このようないろいろな点は仮に譲るとしましても、最後のこの人事の問題に関してはどうしても我々は譲ることはできない。(「そうだ」と呼ぶ者あり)こういう意味において、甚だ遺憾でありますが、(「木村はもつと勉強しろ」と呼ぶ者あり)労働者農民党としてはどうしてもこの予算案に賛成することができないのであります。(拍手)

ヤジが飛び交い、盛り上がっている感じですね(笑)。白洲氏は吉田側近筋として有名であったようで、それだけ野党などからの批判を受けやすい存在であったようだ。いろいろな委員会で名前が登場している。こんなのもあった。

昭和26年03月08日、衆院法務委員会
○世耕弘一委員 (略)特に注意を喚起したいのは、派閥よりも今日の政界を毒しているものは何かといえば、閨閥なのです。一、二私はここに例をあげましよう。たとえば吉田内閣における電力人事の問題――人の名前を申し上げては何ですけれども、これも事実だから申し上げましよう。電力人事に対する麻生、白洲某、これは派閥でなくて、むしろ閨閥だと世間では論ぜられております。せつかくあなたが派閥の端まで苦労して公正を期そうというやさきに、こういうことが新聞に麗々しく載つて今問題になつております。たまたま今度は検察庁の人事にやはりかような空気が漂うておつたとするならば、非常な国家の損失であります。

麻生、小林、白洲の三氏はセット的な感じでよく出てくる印象である。

最後に、白洲次郎氏は電源開発絡みで参考人として(恐らく)1回だけ国会に登場している。昭和27年04月12日、衆議院通商産業委員会である。興味ある方はご閲覧を。

歴史探訪の巻でありました。別なネタも幾つか見つけたので、そのうち取り上げます。議事録、久々に検索したが、やっぱ宝の山でありますね。
by bank.of.japan | 2009-05-21 21:33 | 一万田総裁 | Comments(7)
Commented by モンテカルロ・モナコ at 2009-05-21 23:58
>昭和26年03月08日、衆院法務委員会
○世耕弘一委員 (略)特に注意を喚起したいのは、・・・・・・(以下略)

この方の孫が「世耕弘成」さんですか。
カメラアングルやネクタイの色などのテクニシャンかな?

門閥 VS 学閥   言い換えると   政治家 VS 官僚 

さて、日本人のメンタリティはいかに?(どっち?)

ところで、ここは金融関係者が多いはずであるが、祝日の増加(逆に有給休暇の未消化増)で営業日数の減少はどのように考えているのでしょうか?
製造業でも組み立て型は祝日の増加は生産面ではあまり関係ないと思うのですが?
さてどう?
Commented by マッカラン at 2009-05-23 03:33
白洲次郎周辺の人間関係を知るなら、夫人の『白洲正子自伝』がよいかと思います。
ただ、彼に関しては吉田茂とともに、いまだに大英帝国のエージェントだったのではないかという噂が絶えませんね。世間的には強者に厳しく、弱者に優しいダンディなおじさんとして有名ですが、実際は世間には知られていない部分(多分、正子夫人も知らない)を内に多く抱えた人なのは間違いないみたいです。
Commented by bank.of.japan at 2009-05-23 18:58
マッカランさん、どうもです。謎が多いところが魅力なのかもしれません。ご紹介の本、機会があれば読んでみます。

モンテカルロ・モナコさん、どうもです。祝日の件、私は意識しておりませんでした。増加だったのですか。
Commented by モンテカルロ・モナコ at 2009-05-23 22:14
2~3W以内だっとと思うけど、日経の経済教室の左側の「ゼミナール」で先進国の中で一番週休2日制(土日休み)以外の休みが多いのが日本だったと思うけど?!
「万世一系」とかに遠慮したとか色々ありそうですが、いつのまにかでしょう。
集中と分散。企業単位か個人か。めりはりがなさすぎってことでしょう。
中小企業に制約を課してやれば?
貧乏たらしいフランス人のそれなりの長期旅行の例でも説明しましょうか?
Commented by bank.of.japan at 2009-05-26 00:23
モンテカルロ・モナコさん、どうもです。日本は制度上の祝日は多いですね。ただ、欧米人のように長期休暇を取る習慣はあまりないので、実質休日は少ないのかもしれません。
Commented by hsakawa at 2009-05-27 01:12
白洲次郎関連で一番包括的な書物は、北康利著『白洲次郎 占領を背負った男』という、例のNHKドラマの原作にも使われているものかと思います(次郎を「ヒーロー」として賛美する書きぶりなので、そのあたりのバイアスは考慮に入れて読まれるとなお良いかと)。なお、世耕代議士の発言-「電力人事に対する麻生、白洲某、これは派閥でなくて、むしろ閨閥だと世間では論ぜられております。」云々については、ずばりその通りで、吉田茂の妻雪子(牧野伸顕の娘)から「娘の和子に、いい亭主を探して」といわれて、それで麻生太賀吉(麻生太郎の父親)を引き合わせたのが白洲次郎。で、戦後の電気事業再編成を経てできた9電力会社のうち、東北電力の会長に白洲が、そして九州電力の会長には麻生がそれぞれ就いた、そのことを指しているかと(麻生の場合には、祖父の太吉の生みだした資力=麻生財閥の地元での影響力等々を考えれば順当とも思われますが)。
Commented by bank.of.japan at 2009-05-27 23:06
hsakawaさん、どうもです。情報、ありがとうございます。白洲氏は凄い陣部であると思いますが、ご指摘のように賛美する書物は評価がバブル化した部分を差し引き、一方で国会議事録の登場の仕方を参考にして多面的に評価するのがよいかもしれません。なかなか興味深い人物であるなあ、とは思います。今風に喩えると、黒子に徹したインベストメントバンカーかもしれません。
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