正社員と非正規雇用の格差解消のため、前者の権利を弱めるべきである、という議論がある。正社員の首を簡単に切れるようにすれば、労働のパイは広がるのかもしれない。または、会社がここぞとばかりに首を切って、雇用が一段と悪化する可能性もある。これは景気次第であろう。パイが広がっても、それは労働市場全体のワークシェアリングで、社会の不安定化をある程度軽減するだろうが、マクロ的に所得は増えるものではない。
で、ここから先は私的労働観である。 正社員・非正規雇用の格差問題では、終身雇用または長期雇用とかが正社員の特権みたく言われるが、この特権を享受できるかどうかは、労働者それぞれの価値観と会社の社風や労働の中味次第であって、中小零細企業を転々とした私自身は長期(or終身)雇用という概念は念頭になかった。 食うための仕事についてちょっと書いたこちらのエントリーにも通じるのだが、長く働くことはむしろ絶望感を深めるケースもあり、精神的臨界点を覚えると自ら辞めることになる。労働そのものより精神的束縛がきつかった。社運のために「名前を変えろ」とかマジ顔で言われたりしたこともあった。 必ずしも正社員=長期雇用とは限らず、少なくとも数社を渡り歩いた私の経験上、身の回りに長期(or終身)雇用を目指していた同僚はあまりいなかったように思う。実際、2年もいれば古参社員となるようなところがほとんどであった。たまたま私の経験した会社が入れ替わりの激しい職場だったのかもしれないが…。 仕事はまず「食うため」にあり、形態として正社員が有利だからそちらを選ぶ。ただ、正社員になった後、その仕事に長期に従事するかどうかは別で、いろいろな事情で辞めるケースが多く、雇用はもとから流動的になっている、というのが私の印象である。 企業規模によって雇用の流動化状態はかなり違うような気がする。終身雇用が前提になるのは、あくまでも公務員か大企業に限った話で、労働人口の大半を占める中小・零細企業はかなり労働は流動化しているのではなかろうか。この辺をうまく捉えた労働統計とかないですかね。 追記 新卒のみなさん、職場はいかがですか。仕事がつまらない、理想と違った、としても、長期安定職場であれば、とりあえず居た方が良いです。大抵の仕事は最初はつまらない、またはつまらなく見えるものです。ある程度大きな会社はいろいろな仕事があるもので、その中からもしかしたら面白い仕事が見つかるかもしれません。そんなものです。変な先輩・上司がいても、大きな組織であれば定期異動でどっかいっちゃいます。我慢しましょう。強烈にやりたいことが見つかった、向上心に燃えている、という状況であるなら辞めるのも手かもしれません。
by bank.of.japan
| 2009-05-20 23:05
| 経済
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Comments(18)
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
非公開さん、どうもです。終身働いていける職場は、基本的には居心地が良いと思います。で、会社もそれで十分成立するなら、無理に流動化はする必要がないわけです。私の場合、たまたま正社員で長く働ける職場ではなかっただけかもしれません。
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終身雇用の利点とは、相手からの雇用停止が容易であるか否かという点にあるのではないでしょうか。
修身の雇用が保証されている、という面で考えるべきではないのではないかと思うのですが。
さきほど深夜3時頃だったか「CBSなんとか」(放送はTBS)って番組でバーナンキと
FDICのおえらいさん(昨年フォーブス誌で世界のなんとか女性ってランキングで 独メルケルにつづき2位だったおかた)をけっこうおおきくとりあげてた。FRB議長が ここまでとりあげられるって事自体異例だったんですと。 (グリンスパンも積極的にメディアにご出演される様になったのも引退後) ただ、俺個人は全体的な印象としてはCBSのなんかオバマ支持の必死さの様な感じした。 TV朝→CNN、日テレ→NBC、NHK→ABC、TBS→CBS...大企業も中小零細も続かぬ所は 続かぬ、続く所は続く、そんだけでは?深夜仕事し(TVみ)そう思った。だって、 「金融機関の規模縮小考えてる(有得る?)」なんてベンもFDICの人も口を揃え言ってたんだもん。 速水氏お悔やみ申し上げます...
中小企業というよりベンチャー企業(設立2年以内)のところを転々としていた身から話しますと雇用は流動化しています。そもそも会社が5年ぐらい存続することすら期待できません。半分自営業みたいな社員もいたような気がします(副業でヤフーオークションとか)。ハローワークでそういう会社の求人票を見ると再雇用制度利用なしとか書いてありますが、定年退職した社員が今までいないだろうとつっこんでおりました。
ご指摘の点は、労働経済学や経営学の組織論などではかねてから指摘されていることで、基本的にその通りかと思います。
うろ覚えですが、終身雇用制の恩恵を受けているのはサラリーパーソンの2割か3割程度ではなかったかと。
これは、昔から言われていることで「終身雇用は日本に根付いた雇用習慣」などというのは全くの大嘘で、比較的最近,しかも大企業にのみ根付いている習慣でしかないということですね。中小企業においては「終身雇用」などは常に幻想だったということのようです。
加えて大企業でなぜそれが重要かというと、年功序列賃金で、長い間居残りさえすれば、たとえ技能が全く向上しなくてもどれだけ右脳でも、一定レベルの賃金上昇が保証される。そしてそれを元に人生設計が可能になり、自動車も買えるし20年以上もの長期の住宅ローンが組める、(さらにはそれが建設業界を潤し、政治献金の原資になる)という仕組みができていたわけです。 今ではその大企業で住宅ローンを組んでいた人達の給料がヤバクなってきた。そこで派遣社員や契約社員を使ってコストダウンだ。アレこんどは若者が貧乏になった。車が売れない。家も売れないし銀行から住宅ローンも借りてくれない。少子化も進んだ。政治家としては経済が崩壊して政治献金が無くなるのはヒジョーに困る。さあどうしよう、という所でしょうね。
>どれだけ右脳でも
ここは「無能」の間違いでした。
20年くらい前だって、証券会社の営業を30代まで続ける奴は稀、銀行員は支店長レースに敗れたら退職するので、残るのは1/3以下とか言われていたんですがね。多分、もっと前から。
60年代高度成長→金の卵、70年代オイルショック→週1昇給、80年代バブル→猫の手も借りたい+福利厚生と、労働者側が有利な経済環境にありましたので、企業側が労働者を引き止めるために色々工夫をしていたのは確かだと思いますが、終身雇用・年功序列と言われるようになってそれを無邪気に信じ込んで転職せずに居座る事が有利になった最初の世代も、結局90年代にはバブル崩壊でリストラという名の下で解雇されてますので、最初から最後まで「幻想」の存在でしかなかったのかなと思います。
けさ投稿した深夜のCBSなんとかって番組、金融機関縮小考えてる(有得る?)」と
いってたのはFDICベアー総裁だけでバーナンキ(ベン)は言ってなかったかもしれない。 なにしろうつろだったもので(汗)...ただし、そのバーナンキもウォール街の破格ボーナスには こみあげる怒りを抑えられなかった(だったかな)とか、職場の長いソファーは何日も徹夜続きの ときわたしバーナンキも寝るのにつかってた、とかCBSのキャスターにこたえてたのには いささか食傷気味って感じもしちゃったんですが...オバマ評価たてなおしに必死って事かとりわけ CBSなど特に??外人さんからヤフオクの海外向け公開サイト頼まれ難航中。FRBにあるって 長ソファー俺もほしぃ(涙)。先日ちょっと載せさせて頂いた楽天の奴もマルチリンガル化 してみました。(メルケルにちなんで独語とかw)
日本の企業社会では、最初に入社した会社を辞めると、「人が辞めた職」を求職するしかないです。だから、とてつもなく条件が悪い。
周りの人間も、前職が辞めた経緯を知っているので、危ないものには近づけない。だから、精神的にも非常にキツイことになります。 中小企業というのは、負担の押し付け合いですから、最初の仕事は 前職が被り続けた負担を少しでも減らすことです。相当な抵抗にあいますが、強引に押しのけて、身に掛かる負担を減らすことです。 それから現状をよく分析して、自分の砦を築くことです。 自分の砦を築いて余裕ができたら、会社のために業務改善をしていくわけです。 中小企業は無駄だらけですが、負担の押し付け合いでどうにもならなくなっている場合が多いので、良いと思ったら強引にやらないとダメですね。 文句が減ったなら、業務改善は成功したということです。
無駄だらけの中小企業なんて存在できないだろうな。
1人4役くらいこなさないと駄目だから。
>>A-さん
それでも、個人事業主や農家と比較したら役割はずっと分業されていますよ。所詮は一人全役から一人1役の間の直線状の位置の問題です。また、個人事業主や中小でも金払って外部委託するケースもあります(例、税理士や会計士に経理事務を委託)。これは分業が成立している例ですね。 というか、こういう話は、内部の人の実感ですら微妙な時がありますので、特に現場で見た事も無い人が語るあまり特殊な事例に拘泥しない方が良いかと思います。特に、自己主張したい事がある人が、例として取り上げる場合は、自己都合で綺麗に切り取られたり、見た事も統計も無いのに「無駄だらけ」とか断言しちゃったりしますので。
TKさん、どうもです。正社員の解雇は簡単でない=終身雇用とは限らず、それ以前に会社が終身存続するほど安定であることがまず重要かもしれません。
小野さん、どうもです。ご指摘の番組、見逃しておりました。すいません。 miharasi_mamiyaさん、どうもです。同感です。私が勤めた会社はいずれも定年退職した方はいなかったように記憶します。 アングラさん、どうもです。補足、ありがとうございます。長期雇用者は3割程度のようですね。
とおりすがりさん、どうもです。ご指摘の件で、金融的に興味深いのは、長期or終身雇用が崩れた場合、銀行が例えば住宅ローンの審査をどうするのか。勤続年数が無意味化すると、審査厳格化or金利の引き上げ、など予想されます。
通行人さん、どうもです。大企業の場合、本社に残れなくても出向とかで代替される面もあるでしょうが、終身雇用に安住できる状況でもないような気がします。 PKさん、どうもです。転職は玉突きの感じはあります。ただ、私の場合は1人で色々やるケースが多く、あまり無駄はなかったような。
うつで休んで通院なんてしょせん大企業ぐらいのもんだ。もっとも流用でマッサージチェアなんてのも
「お役人の世界」にゃあるが。基金(各省庁にゆだねられる国会で今とりあげられてる基金)だのなんだの全く 御苦労さんなこって(汗)。中小が負担の押し付け合いとか無駄だらけ??、なんと夢がなく絶望的な響きか? たとえ無駄だろうがなかろうがきられるときゃチョンそれがほんとの中小零細では?(笑)。俺自身実家も 周囲もずっと中小零細だったから言ってもいいと思って書いた。A-氏の話尤もだ。でも、それでも うつで長期休暇の民間やさまざまな流用の官よりゃ ”よっぽど自由” って気もするが...「延命装置状態」 じゃないかまるで。 先日も書いたが、自分の工場サッパリでバイトしてる経営者なんて例の方がよほど自由な選択の様に感じられるが? 俺には。しかも、コレ役人や大企業の話だけでもどうもないようだ。 「転用期待」 って言葉。多分きっと今後注目される筈。補助金までもらいコレで、その上地元の議員や役所勤め等、て世界。他にも 医療とかetc...色々あるが。でも、おしなべていえるのは、「皆 ”とてつもなく” 不自由」そうだってこと何故か。
管理人さんの実家の話時々でますが、別に自分の土地転用しようが期待しようがそりゃ自由、ただそれが耕作放棄の
大きな原因てのが問題...俺の知人(元不動産屋)はバブル期には都内だけじゃなく全国の農山村とびまわってたそうだ。 元農水省(技官)の俺のおじは帰郷した際荒廃嘆いてた。前回の参院選小沢はこの辺に訴え勝利し、安倍は負けたと 言ってもまぁ、過言じゃない。 ( そのへんの、”節操のなさ(?)”、の様なのも、俺個人は大変関心があるが...まぁ、やめとこw ) グリンスパンは昔「ものほん」のジャズのサックスふきで確かレコードまで出した。 バーナンキはハーバード入学きまった時両親から「着て行けそな服無い(だったかナ?)」と 心配されたとか。バイトでバーテンダーもやってたと思う。 絶対真正面から要求できぬからこそ(今国会でとりざたされてる)基金や流用あげくのはては ”全く体のいい自分らの都合だけの”「増税」論議だろ・・・それが、”絶対的に不幸”、だと言ってるんです。
バーテンダーではなくウェイターでした、バーナンキは。おおっぴらに出来ない流用や
基金で「はした金」「びた銭」あつめるだけで楽しいんだろうか。一体何が生きがいなんだろうか? うつで長期休暇通院してる大企業社員もだが。傾いた工場支える為”夫婦で”バイト している姿のほうがよっぽど生き生きしてるようにしかみえないんだがオレにはどうしても。 負担のおしつけあいとか「無駄」とかいってる人は本当の人生知らない人なんじゃないか? 「無駄じゃない人生なんて無い(無駄な人生も無い。アンビバレンツゃぁっぅぅぅ...)」し、 「かわいそうじゃ無い人」なんてのも、「この世に存在しない」。
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