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The world according to ZIRP(追記あり)
 最近、ぼんやりと思っていることです。ZIRPはご存知かと思いますが、「Zero Interest Rate Policy」のこと。ゼロ金利政策ですね。先進国の金利はゼロに収れんしていくのではないか。あくまでもドルの信認は維持されるとの前提です。「ザープの世界」にはなって欲しくはないですが。
 簡単ながら備忘録として。
 追記として、ゼロ金利に収れんする理由。簡単に言えば、資産バブル崩壊の進行&金融システム不安(信用収縮)&実体経済の悪化などの負の相乗効果がどんどん強まり、先進各国はとことんまで金利の引き下げを余儀なくされる、というものです。

 そう言えば、10年ほど前、確か99年10月だったと記憶するが、ボストン連銀主催のセミナーがあった。テーマは「低インフレ下の金融政策」で、これはインフレとの戦いに勝っても、別な敵であるデフレとの戦いは大変じゃないのか、という問題意識が強まっていたため。もちろん、念頭にあったのが、ゼロ金利に陥った日銀という哀れな存在である。
 セミナーでは、ゼロ金利に追い込まれた場合の策がいろいろ提案されたのだが、まあ一番の策は「don't go threre」、つまりゼロに行っちゃう前にあらゆる手を打つ、であった。でも、バブルがど派手に壊れたら、行っちゃうんじゃないかと思う。

「みなさん、ゼロ金利の世界へようこそ」とBISで白川総裁が挨拶したら…。どんな反応が返ってくるんでしょうね、雨宮企画局長。
 
 明日は短観ですね。大企業・製造業DI、マイナス転換でしょうか。プラス維持でもいずれマイナスにはなると思いますが。
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by bank.of.japan | 2008-09-30 20:45 | 経済 | Comments(16)
スワップ協定を拡充です=10中銀でドル供給強化
 日銀も深夜に緊急会合を開催。スワップ協定を拡充しました。枠を倍増(1200億ドルへ)、期限も延長(4月末まで)。供給頻度は変えず。
 背景 ドルインタバンクの流動性がほぼ枯渇したため。カウンターパーティリスクの高まりからラインカットが強まっている模様。この余波で邦銀の円投ルートの外貨ファンディングもさらにひっ迫。つまり、マーケットがますます機能低下しているわけです。
 当局の対応が後手後手の感じでスケールアップしていく。これは極めてまずい展開でありますね。
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by bank.of.japan | 2008-09-30 00:16 | 日銀 | Comments(19)
人間の欲がある限り…=投資銀行(のような金融)はいつか復活
 モルスタやゴールドマンが銀行化してから、投資銀行の終焉とか言われている。じゃあ、二度と投資銀行(のような金融)は出てこないのか、といえばそうではないだろう。今回の金融危機を経て人々が「儲けたい」という欲を捨てたなら別だが、「儲けたい(orリターンを得たい)」という欲がある限り、いつかまた利益を極大化を目指す金融業は復活する。それが現在の「投資銀行」という形を取っているかどうかは別だが、似たような金融業が台頭してくるものであろう。
 もともと「投資銀行」の収益は市場連動しており、収益の振れはかなり激しい。儲かるときはメチャ儲かり、その一方でメチャ損する。今回はメチャ儲けからメチャ損への変動が激しく、落ち方があまりに激しかったため、リーマンとか(当局のハンドリングミス?もあり)ショック死した。モルスタやゴールドマンはそのあおりでマーケットから危ないと思われ、仕方がないので銀行化というシェルターを必要とした。
 市場経済にはバブルが付き物。古くはチューリップ相場があった。近年ではわが国でアセットバブルが発生した。最近ではテックバブルがあり、そして今回のサブプライムである。バブルが起きる本質は「儲けたい」という人間の欲望があるからではなかろうか。預金は投資とは言わないけれども、元本は維持し、ちょっぴり利息も欲しい、という預金者らの「欲」がある。銀行はこの「欲」を満たす以上のリターンを稼ぐ必要があり、その行動が行き過ぎるとバブルが起きる。
 バブルが起き始める、ないしは起きているとき、「おかしい」とは思っても、現に価格がどんどん上がってみんなが儲かった儲かったと喜び、消費もブームが起きてマクロ的に好調な状態が続けば、「おかしい」という警鐘は正論であっても、かき消されやすい。世の中の目の色が変わった状態では、色の変わらない少数派は異端であり、人は一般的になるべく稼ぐことが義務付けられる以上、目の色の変わった流れに乗らざるを得ない。こういうときの最善の策は、流れに乗り、流れが止まる寸前に飛び降りる(バブルピークでの利食い)ことだが、まあ、そんな芸当は難しいものである。
 欧米金融危機の終息は見えないが、いつかは底を打ち、回復局面に向かうだろう。そのとき、人々が「儲けたい」という気持ちを取り戻し、高いリターンを求めてマネーを動かしていけば、それに応えようする金融ビジネスが活況となり、それを投資銀行というかどうかは別にして、活況が行き過ぎればまたバブルが起きる。そういうものであろう。
 二度とバブルは御免だと思うなら、金銭欲を捨てる必要がある。これは無理でしょうね。いつになっても金融詐欺が横行するのは、ある意味、人々の儲け欲が健在だから。がんじがらめの規制でリターン極大化に歯止めをかけたら…。その時は資産効果による消費拡大は見込めないので、全般に低成長が続くことになる。
 逆説的だが、投資銀行(orそのようなもの)の復活しない世界は経済がパッとしないことを意味する。これを歓迎するのは中央銀行だけかもしれない(苦笑)。
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by bank.of.japan | 2008-09-29 22:17 | 金融システム | Comments(14)
丹羽会長のビューに概ね賛同=小泉元総理に一言
 本日の日経新聞に伊藤忠商事・丹羽会長のインタビューが出ていた。会長のビューに概ね賛同であります。主なポイントは以下の通り。
・米政府は不良資産を買い取るというが、値段の付かないものをいくらで買うのか。資本不足の銀行をどう救済するのか。依然課題含みで、一朝一夕には解決しない。
・ドルの信認が揺らいでいる。ドルが急落すると世界中が貧乏になる。
・短期的にはともかく中期的なドル安は避けられない。
・欧州金融機関への影響はこれからであろう。
・(輸出依存だった)新興国経済は底が浅い。唯一、懐が深い中国も混乱が長期化すると厳しい。
・地方金融機関で再編に追い込まれるケースもあろう。
・足元金融再編が進むが、実体経済への影響が広がれば、早晩産業再編に波及する。

小泉元総理が政界を引退することになった。一言申し上げたい。
「クールビズをありがとう。本当にありがとう」-改革の最大かつ唯一の成果であろうと思う。

その他の改革の意味は、今でも改革、改革と言われるけれど、この改革が具体的に何を意味するのか、いまひとつ良く分からんです。

民主党にはクールビズが小泉総理のやったことだとして反対する輩がいるが、子供っぽい反抗である。勘弁して欲しい。


 
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by bank.of.japan | 2008-09-26 19:13 | マーケット | Comments(23)
黒い金でも赤い金でも黄色い金でも…=助けるお金が良いお金
 バブル崩壊で窮地に陥った米投資銀行に邦銀が出資する事態となった。今後も同様の動きが予想される。出資を受ける側にとってはやや居心地が悪いかもしれない。まあ何というか、邦銀は投資銀行とは超対極のカルチャーにありますのでね。たまたまアントニー・ビーヴァーの「ベルリン陥落」を読んでいるところなのだが、赤軍に解放されるワルシャワ市民(&ポーランド国内軍)を思い出した。
 邦銀の出資が純投(と私は思うが)にとどまるか、もっと関与するかは、米金融システムの今後のやられ具合いにも依存し、(邦銀が)純投にとどめようと思っても、相手がもっと資本を必要とする事態になってそれに応じたら経営に深く関与することになる。いったんそれなりに多額の出資を行い、途中で増資に応じずに相手が倒れたら全損ですので、突っ込むなら突っ込むなりの覚悟が必要でありましょう。
 邦銀出資がうまくいくかどうかは80年代後半の失敗例も含めて別途論じたいが、マクロ的な観点からは、率直に言って歓迎すべき事態である。バブルが崩壊し、金融システムが打撃を受け、世界市場で信用収縮が起きているとき、これを癒すのは「お金」である。去年から色々なお金が入った。原油で潤った中東のお金、中国のお金、そして日本のお金。金が入る時期の早い遅いはあるが、入ること自体は安定化に寄与する意味では良いことである。
 金がなければ倒れるだけである。倒れると、さらに事態は悪化し、経済は広範囲に打撃を受ける。金融システムと実体経済の負の連鎖が強まっていく。金を出す方、受ける方、いろいろな思いはあるだろう。それはそれとして、黒い金でも赤い金でも黄色い金でも、助ける金が良い金である。
 今は米民間に金を出す局面で、この段階で底打ちして欲しい。そうならないと、最悪は米政府に金を出す事態にもなるかもしれない。まあ日本は円高(ドル安)を恐れるので、機械的に外為特会を通じて金が出る(つまり介入)のでありましょう。出ないと日本も大変なことになるので、この金も良い金である。
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by bank.of.japan | 2008-09-25 22:27 | 金融システム | Comments(11)
米財務省の(FRBの)代理吸収としての国債発行(追記あり)
 下の下のエントリーで日之出さんから「もしかして米財務省がFRBの代わりにドルを吸収することは可能なのでしょうか?」とのコメントを頂いた件について、簡単に解説します。AIGへの巨額融資が決定された前後に米財務省は「Treasury Announces Supplementary Financing Program」と題する決定を行った。場所はこちら
 米FRBの要請を受けて国債(短期物)を臨時で追加発行するというもの。これは市場への流動性供給やら、AIGへの融資など大量の金を出さないといけないFRBの調節上の困難を緩和するため。これは突き詰めると、FRBが機動的な吸収手段を持たないことに起因する。このことは過去何度か触れたが、ポイントを簡単に整理すると以下の通り。
・AIGに融資するにしても、FRB(NY連銀)は資金を調達(市場から吸収)する手段がない
・大量に供給しても市場から機動的に資金を吸収できない(もっぱら保有国債の売り切り)
・財務省が代わりに国債を発行する(これは財政による吸収→日本でも国債発行日は資金不足要因)
・国債発行で調達した資金はFRBの政府預金口座に入れる(多分)。これは融資の財源にもなる。

技術的問題点
・国債発行はマクロ的な資金吸収に貢献するが、即時発行とかまでの機動性がないため、ざっくり吸収になる
・金融ひっ迫が薄らぎ、積み上がった超過準備が市場に流れるとき、うまく吸収できずに金利が下がりやすい(今もこの傾向が出ている)。場合によってはゼロ金利になる場面も。量的緩和に見えるかもしれない(金融政策がゼロ金利なれば問題ない・余剰な金は放置プレイ)
・国債発行(コストを払った調達)した金をFRBに預金しても金利が付かないので逆ザヤになる

今後想定される対応
・準備預金(or超過準備)への付利(この金利がインタバンクのフロアになる)。いくらでも超過準備積める。金利付き量的緩和に見えるかも。

凄い点
・FRBの苦境に財務省がすかさず協力する連携プレーの良さ(これは日本では考えにくい)
・日銀の「売手」は凄い(ダサいとの見方もあるが)。

追記 「融資の財源になる」部分は不正確な可能性もあるので、横線しておきます。正確なところが分かれば改めて記したいと思います。この点を指摘していただき、ありがとうございます。
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by bank.of.japan | 2008-09-22 23:22 | マーケット | Comments(17)
大久保先生が金融市場の英雄になる質問=外準活用と決済の話
 本日は日銀総裁が出る、というので久しぶりに国会をモニター。参院財政金融委員会でありました。ながらモニターだったので、すべてをつぶさに聞いてはいなかったが、興味深い質問(二つ)は民主党・大久保先生からのものであった。
 一つは、リーマン破たんに伴って「証券決済が大混乱している」と追及したこと。これは非常に良い質問でありました。多くの市場関係者の共感を呼んだのではなかろうか。惜しかったのは、金融庁幹部の答弁に対して追い討ちをかけなかったこと。
 モルガン・スタンレーにいらっしゃった先生には釈迦に説法かもしれないが、金融は実務の集積であり、この実務が円滑に流れないと世の中の金のめぐり(血流)は滞る。金融実務で最重要のパーツは「決済」であり、ここが止まるのは前線部隊への補給ラインを断ち切るに等しい。
 リーマン・ブラザーズはレポなど国債系取引ではそれなりにプレゼンスが大きく、インタバンク毛細血管網のハブを形成していた。ところが、法的処理によってハブ機能は停止。周辺毛細血管に血が流れず、壊死しそうな状態をもたらした。大手の金融機関は多かれ少なかれハブ機能を果たしており、金融市場全体の流動性が低下したのは血流停止によるショック状態と言えるだろう。
 破たんするにしても、いかに決済機能を生かすか。リーマンの事例は世界の金融当局に大きな課題を与えたといえる。この点を先生が追求していったら、かなり玄人受けすると思う。

 もう一つは外準運用の話。健全性・透明性に着眼した質問はまあ正論であります。ただ、世界的に流動性がひっ迫する中、莫大な外貨(大半はドル)を抱える日本が金融安定に寄与する外準運用を模索してもいいのではないか、と個人的には思っている。しばらく前の東短リサーチ・加藤さんのリポートで知ったのだが、外準運用は預金比率が低下し、債券運用が増大しているとのこと。これはこれで現行範囲での効率運用だが、以下の選択もあり得よう。
 まず背景として、米金融システムへの信用不安から米債などに資金シフトしやすい状況にある。質への逃避から国債(米債)ニーズが高まっているわけです。その上でのアイデア。
・市中ニーズが強い米債を放出してキャッシュ化する。
・キャッシュを預金として市中に散布する。
・ドル預金の増えた金融機関は調達が劇的に好転。
・ドル金利は低下する。
 外準運用をヘッジファンド化させる前に、やれることはたくさんある。MOF預託の戦略的活用。日銀ドル供給よりこっちの方が手っ取り早いと思うのだが…。少なくともこの案を実現させた国会の先生がいたら、世界のインタバンクの英雄になるのは確定。米政府も感謝状送るかも。MOF国金は動きそうにないけど。
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by bank.of.japan | 2008-09-19 22:09 | マーケット | Comments(16)
通貨スワップ協定を締結!=ポイントやら雑感やら
・日銀に抜かれた。悔しい…。そろそろかと思って構えに入った瞬間であった。
・本日の日銀は挙動不審。総裁挨拶が代理になる、いろいろ電話してもなぜか席にいない人が多い、人の出入りがせわしない。まあ、こういうときは要注意でありますね。
・記者レクは坂本&高口企画役(企画二課長と調節課長、前任・後任のコンビ)。両氏とも課長としてのデビュー戦。高口氏、なぜかスタッフ席に座ろうとしたのには苦笑した。

協定に至る背景
・リーマンの法的破たんで各種金融市場の流動性が一気に低下。
・為替スワップ市場も流動性が落ちる。
・邦銀は外貨融資が増大中で、その調達は円投が中心。
・為替スワップの機能低下で円投ルートの外貨調達がひっ迫。
・この影響でドルキャッシュのターム物金利がぶっ飛び始めた。
・FRBも困った。日銀も困った。で、協定に至る。
・決定会合に間に合わず、臨時会合を開いたのは状況がそれだけ切迫したため。

協定の補足
・ドル供給のためのスワップ協定であり、為替介入とは無関係
→為替介入(米国のドル防衛)するときの協定はどうするのか?

今後の関心事項
・ドルはいずれじゃぶじゃぶになる。
・FRBは吸収手段がない
・金利ゼロの容認? 量的緩和に移行。
・妄想だが、日銀のドル建て売手? 代理吸収?

教訓 世界の各金融センターにそれなりの拠点を持つグローバル金融機関を(ファジーな基準で)法的に破たんさせてはいけない。決済機能が部分的に麻痺し、デフォルトリスクを高め、世界中の市場参加者の疑心暗鬼を強め、流動性低下に拍車がかかる。


ps 忘れないうちに。あまり目立たなかったが、今週の日銀の対応はナイス。リーマン破たんでフェイル多発を見越したのか、国債貸し出しの条件を緩和したのはワザあり。スワップ協定もすばやい(FRBの泣きが入ったのかもしれないが)。
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by bank.of.japan | 2008-09-18 21:50 | 日銀 | Comments(17)
決定会合とかAIGの公的支援とか=本日の雑感
 全員一致で現状維持。白川総裁の言いっぷりはあまり変わらなかったが、ステートメントでの景気判断は第二の柱を中心にややダウサイドリスクへの警戒を強めている印象である。日米欧とも潤沢供給がメディアの見出しを飾っているが、いずれはそういった調節テクニック上の対応ではなく、政策的な緩和(利下げです)が必要になるのではないか、と個人的には予想する。

 AIGは公的支援ですか、そうですか。構築した投機ポジションが超でか過ぎて、一方で庶民がたくさん加盟する生命保険があり、政治的に支援せざるを得なかったというわけであろうか。リーマンとの違いが分からん。あれだけの金を出すなら、リーマンにも出しても大して変わらない気がする。リーマンは法的処理される意味があったのか。リテールがない? 投機ポジションが中途半端だった(経済を人質に取るほどでかくなかった)? 嫌われていた?

 いずれにせよ、リーマンの法的処理によって取引のあった各金融機関のバックオフィスは膨大な決済業務が降りかかって「戦場と化した」(大手証券)ようであり、担当している方々、くれぐれも健康だけは害さないようにお気をつけください。こんなことで健康を損なうのはバカらしいですから。それから案の定、マーケットの流動性は極度に低下し、レポマーケットはフェイルが多発して死んだようです。米政府の公的支援の出方はファジーなので、いずれまた市場の標的になるところがあるであろう。これは良くない形である。

 AIGはいずれ公的管理下で解体されていくのだろう。融資金利が異常に高いのは迅速処理を狙ったと思われる。日本の生損保のみなさん、千載一遇のチャンスである。うざい競争相手が勝手にズッコケルという事態は数十年に一回あるかないか。東邦生命、千代田生命を食った相手を食い返すチャンスでありましょう。米政府の足元を見つつ、絶妙なオファーを入れましょう。期待しています。
 
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by bank.of.japan | 2008-09-17 21:46 | マーケット | Comments(11)
これから先は未体験ゾーンですね=市場に委ねた破たん処理の行方
 下のエントリーに関連するが、これから世界の金融システムで起きることは未体験ゾーンであり、欧米バブル崩壊がいつ、どのような形で終息に向かうかは分からない。リーマンという世界的にそれなりにプレゼンスのある大手金融機関が何のセーフティネットもなく倒れてしまった。振り返ると、こんなにでかい金融機関が市場に委ねた破たん処理になるのは初めてのケースだ。無慈悲に時には暴力的に金融機関を淘汰させる市場が荒れ狂うことがないように祈りたい。
 米金融当局が覚悟してリーマンを破たんさせたのかどうかは定かではない。公的資金投入に際し、ベアとリーマンで対応が違った理由に合理性があったのかどうか。仮に何らかの理由があったにせよ、結果として破たんを処理させられる世界中の金融機関にとっては目の前で爆弾が炸裂した格好であり、網の目のように超複雑に絡まった各種金融取引の決済をほぐしていかないといけない。恐らくはロスが生じるであろう決済を経て、金融機関はリスク回避的になり、与信枠を絞り込み、全般的に信用収縮が強まっていくと予想される。
 日本の不良債権処理では、多くの金融機関が破たんしたが、法的処理は三洋証券だけだった。金融機関は規模が大きいほど各種金融取引が複雑に絡み合い、法的処理の下、混乱を招かずに決済をほぐすのは難しい。というか混乱を招くもので、だからこそ日本政府は「インタバンク債権は全面的に保護する」と談話を出し、マーケットへのストレスを最小化して不良債権を処理した。
 まあ、日本のやり方は①公的負担がどこまで達するのか検討が付かない②時間がかかる-のだが、システミックリスクは抑制できる。これに対し、今回の米国は①公的資金は使わない②短期間で処理は終わる-のだけれども、システミックリスクは高く、信用収縮が強まる恐れがある。
 米国の対応に楽観的な見方をすれば、今回のショックを吸収すれば金融市場は破たん慣れし、次のショックが起きても冷静に対応。「なーんだ、意外とあっさり片付いたじゃん」といった形になること。でも、グローバルに活動する金融機関の法的処理は他国に迷惑になるから、止めて欲しい。休日出勤した当局&民間金融機関&マスコミの方々、ご苦労さんです。

ところでAIGは生保なのにどうして何兆円も金が必要なの? もしかしてもはや「生保」ではなくなったの? 生保業務は一部で全体としては大型投資銀行(orスーパーヘッジファンド)になってしまったの? バブル発生過程で異常進化したみたいですね。
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by bank.of.japan | 2008-09-16 22:32 | マーケット | Comments(17)


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