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超人水兵、超人オペ=現場が優秀だから経営がダメ?(お知らせを追加)
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 ドラめもんさん(11月29日の日報)が取り上げた「金融専門人材に関する研究会」は、ぐっちーさんのところで、現場は優秀だが、経営がダメ、という議論に発展した。この議論、個人的に思うところがあり、ちょっと付き合ってみたい。
 「現場は優秀だが、経営はダメ」-。これは「現場が優秀だから経営がダメな面もあるかもしれない」と思ったりする。しばらく前、あるコラムに旧海軍の超能力(超人)水兵のエピソードが出ていた。ホントかどうかは知らないが、一発必中の猛訓練に明け暮れた旧海軍、(人力の)測定能力を高めるため、視力の強烈な兵を選りすぐり、日夜ヤツメウナギを食わせて視力3.5まで伸ばしたらしい(マジ?)。この超能力遠視兵、第一次ソロモン海戦で大活躍。日本の巡洋艦隊はほぼ同規模の米巡洋艦隊を撃破した。一方の米軍はその後、電探技術の開発を急ぎ、レーダーを実戦に持ち込んだ。超人水兵、仮に夜目が異常に効いてもレーダーには敵わない。
 生身の人間(兵隊)が超人的能力&精神力&持久力を発揮しちゃうと、指揮官は楽である。艦隊決戦が人力測定能力に委ねられるなら、早く敵を発見し、月月火水木金金の猛訓練に耐えた方が勝つ公算が大きいからだ。これに対し、米軍は「人は常人(=普通)である」との前提だろうから、超人化という個人の能力に勝敗を委ねるのではなく、装備(電子戦)で対応するという方法を取ったのだろう。
 話は現在に飛ぶ。日米金融調節技術の比較である。先日、コーンFRB副議長が金融調節面に触れた。東短リサーチの加藤さんのリポートからお借りすると、①1 日の早い時間帯に見られる、ドル資金調達市場における外国銀行の強いビッドが、我々の金利マネージメントを複雑にしている②Fed がフェデラルファンド金利を狭いバンドに納める能力は限られる-という。
 量的緩和を解除した際、実は日銀も①のような事態に直面した。どうしたのか。朝方は金利が上がるからドカッと供給。そして午後に吸収(売手オペ)したのである。また、絶対金利水準は違うので単純比較はできないが、日銀はきめ細かなオペを打ち続けて無担保コール翌日物金利を異常に狭いレンジで誘導してきた。
 日銀のオペレーションはわれわれには普通に見えるが、世界的な基準からすると、超人的なのである。オペにかける実務労力は並外れており、例えば売手が打てる限界的な時間(あまり遅いと事務が終わらない)をオペ先の負担まで考慮して算出したりする(と聞いた)。コーン副議長は、職員は常人であると思っているだろうし、まあインタバンクの現状を指摘したに過ぎず、午後に売手を打つなど、(FEDから見て)超人のようなオペをやらせる気もないのだろう。でも、日銀はオペの超人なので、日中の金利変動をならすなど、簡単に対処できるだろ、と思ったりするのですね。
 戦時中の超人水兵から現在の日銀の超人オペレーターまで、まあ一般的に日本の現場は世界平均からすると優秀である。現場が優秀だと経営的には楽な面がある。尻を叩いて「気合いだあー」と精神論をぶち、超人的に働かせれば済むケースが多いからだ。一方、現場はあくまでも常人であり、超能力は発揮しないと思えば、経営陣は真剣に「経営」を考えないといけない。労働者が普通でも競争に勝つためにはどうしたらいいか。そのための人事管理とか組織運営とか、いろいろと発達するんじゃないんですかね。逆説的だが、経営が良くなるには、現場がダメになればいいと考えられる。、ただし、これは移行過程に時間がかかり、しかも社会的な混乱や経済的苦境がかなり続くかもしれないので、まあ取りえない方法でしょう。
 今回は超人性の一般論となったが、次は「金融」に触れてみたい。

ps このテーマに関連して「マーケットの馬車馬」さんが興味深いエントリーをシリーズ化しているので、そちらもご参照ください。
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by bank.of.japan | 2007-11-30 22:55 | その他 | Comments(23)
もう一年粘れば英雄だった…=ローチ氏の米ドーピング経済論を振り返る
 これに関係するネタは昨年夏ごろに取り上げた(こちら)のだが、本業で書いた記事(orメモ)を検索していたら偶然にローチ氏関係のものが目に止まった。面白かったので改めて取り上げてみたい。2004年秋ごろものです。
当時、ローチ氏が言っていたこと。
・「米国の景気回復は本物とは言い難い。財政・金融両面からの過剰な刺激策という『ステロイド剤』に強く影響されたもの」(つまりドーピング経済論ですね)
 こんなこと言ったのは、シュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事が共和党大会でのスピーチで、(ローチ氏に代表される)景気悲観派を「女々しい経済論者」と批判したのがきっかけ。ローチ氏、以下のように切り返している。
・「(共和党系の)『雄雄しい経済論者』の考えでは、ドルが強いのは米国が強いため。双子の赤字も市場金利をすぐに押し上げない限り、心配ない。そして、(雄雄しい経済論者は)米金利上昇にブレーキをかけている日本や中国に感謝すべきであるという事実を知らない」
 まあ、中国や当時の日本の介入は対米ステロイド投入といった感じであろうか。例えは良くないのだが、米国がドーピングしていると、ドルペッグないしそれに近い為替安定を図る国は介入ジャンキーに見えるのだろう。サブプライム問題はドーピングの副作用と位置づけられ、今でもローチ氏が悲観論唱えていれば、それみたことか、と吼えていたはず。惜しかったです。ちなみに、それみたことか、と中銀関係者で吼えているのがBISのビル・ホワイト局長らしい(強力なるバブル予防論者)。

 ローチ氏にように、「双子の赤字」という不均衡問題を重視すると、米国はそれを是正するために過剰消費を抑制しないといけない。この場合、世界的に不況になり、まあそんなこと、みんな耐え難いのですね(日銀も当然これに含まれる)。中国は体制移行に弾みを付けないといけないし、日本は資産デフレの病魔に見舞われていたので、米国のドーピングはむしろ望まれたものなのだろう。米国がサブプライムでどの程度ヤラレているのか不明だが、とりあえず禁断症状の緩和に役立つのが中東マネー、そしてFRBの金融緩和である(さらに、場合によっては日本の介入?)。ローチ氏がなお悲観論だったら「禁断症状(バブル崩壊・不況)に耐えて完全に毒を抜け!」とら説教をするんだろうなあ(笑)。
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by bank.of.japan | 2007-11-28 19:04 | マーケット | Comments(11)
中東マネーの打診買い?=ちょっと早い感じ(印象論ですが)
 アブダビ投資庁のシティグループへの出資。この報道、ちょうど昼時に飛び込み、株急落・債券急騰となっていた前場の動きを一気にひっくり返した。私も驚きました。ただ、周囲の感想は「ちょっと早いんじゃないの」であった。どうせ金出すなら、相手がもっとヘタってからの方が買い叩けるからである。投資庁に投資余力がどの程度あるのか分からないが、8000億円程度は小口に過ぎず、軽く打診買いしてみた、ということだろうか。それとも「何か裏にある」のですかね。この辺は良く分からない。
 金融取引がライアーズポーカーであるとした場合、欧米金融機関は持ち札なし、リッチな中東諸国はあらゆる持ち札あり、という構図で、まあ勝負もなにもあったものではない。全面降伏を待てばよいだけである。めちゃくちゃ安く経営権を握れるかもしれないしね。一方、リッチな中東諸国にとって、早めに金を入れるメリットは何かあるのだろうか。裏取引がない、とした場合、このままほっておくと金融危機が深刻化し、米国(ドル)の信任が揺らぎ、手持ち外貨資産(ドル建て)が目減りしてしまう、ということだろうか。
 ドルを大量に持つ国家は、そう簡単にはドルを他通貨にシフトできない。その動き自体が波紋を広げ、ドル売りを加速してしまい、自らもロスを蒙るリスクが高いため(典型的なのが日本の外為特会)。自ら流動性リスクにはまります。インタバンク&国債市場における「郵貯」みたいなもの。中東諸国は全体としてリッチだと思われており、実際にそうだろうから簡単にはドルを動かせないと思う。だとすると、米国が完全にヘタルのはよろしくない。恩を売りながら、静かに事態の進展を見守り、また恩を売る局面があれば金を入れる、という循環であろうか。お金持ちしかできないゲームですね。
 借金がある国、その借金を資産に持つ国、世界経済を循環するマネーは官民いずれも債権・債務関係でみんなつながっているので、この環が不用意に乱れると、全員が困る事態になる。どの国家も地球からの離脱は困難。資源国にとってせっかく消費国が資源に高い金払ってくれるのだから、適当に金を突っ込んでソフトランディングさせるのがいい。もっとも、そんなうまいぐあいにゲームが進むのかどうかは良く分からない。「神の見えざる手」がうまく機能すればいいが…、もしかして手などない? 最悪はドルを基軸とする世界的な管理通貨制度のリブートなのだが、これは考えたくないシナリオ。
 まあ、印象論ですが、ざっとこんなことを思ったまでです。
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by bank.of.japan | 2007-11-27 22:55 | マーケット | Comments(8)
原油高に焦点を当てた円高歓迎論は…=やっぱりおかしい
 原油高の観点では為替は円高の方が好ましい、みたいな声を聞く。日銀支店長会議の会見でもそういう感じの見解が聞かれることがある。部分的にみれば、円高になれば原油価格(ドル建て)は下がるのだが、一方で輸出採算は悪化するので、外需主導の景気回復(していないように思えるが)は抑圧される。従って、経済全体としてはマイナス。これは原油面でのコストプッシュインフレを抑えるために円高というデフレ圧力を全身(経済全体)に浴びるようなもの。部分的火傷を治すために全身に氷を浴びるイメージであろうか。
 似た議論として、首都圏バブルを抑制するために利上げする、というものがある。もとより、政策金利は一つであり、地域を選ばない。都市部の地価高騰を抑制する利上げを断続的に行えば、全国に効いてしまう。部分的な病気を治すために全身的な副作用の大きい薬をどんどん飲むようなもので、部分は直っても全身疲弊して倒れてしまう。
 利上げして預金利息が増えれば(利息分の)消費が増えて景気良くなる、という主張も同じ。利上げするほど景気が良くなれば、将来の景気過熱を心配して早目に利上げしたい、という日銀の政策ロジックは根本的に間違えている。将来の景気過熱が心配なら利息を減らすために利下げして、また量的緩和に戻ればいい。時間軸効果を強化して長期金利ゼロをめざし、全ての定期預金の利息がゼロになることを促せば消費は悪化し、景気過熱が防げる。
 ところで、円安はバブルだから利上げだ!、という議論はどうなってしまったのか。円安が行き過ぎるといずれ破裂して急激な円高になるから利上げが必要だ、というものだったと思う。つまり、円安バブル論者は円高を恐れていたわけで、円高(実体はドル安ですが)が進むと「利下げだ!」と主張しないといけないのではないか。為替の動きに合わせた金融政策論議はあれですね、やっぱり固定相場制への回帰願望ないし為替変動への恐怖があるのだろうか。よく分からない。
 為替は相手がある話なので、円サイド(日本要因)とドルサイド(米国要因)の両方が材料になる。ドル・円は歴史的にはドルサイドが材料になることが多く、円要因(例えば低金利)はあまり大きな材料にはならない(なっても一過性)。というか、美人・不美人投票の結果が移ろいやすいので、「デフレ色の強い日本は当面は円安基調が望ましい」という基本路線さえ押さえていればいいのだろう。国民的(&マスコミ的)には円高も円安も恐れるので、管理フロート制(人民円)が似合うのかもしれない。
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by bank.of.japan | 2007-11-26 22:41 | マーケット | Comments(11)
米国版「赤い(黄色い)ダイヤ」の行方=NHKスペシャル
 NHKスペシャル「ファンドマネーが食を操る」(再放送)を見た。バイオエタノール原料のコーン(トウモロコシ)の高騰に関する番組であった。これに先立ち、Tori Boxさんのこのエントリーを読んでいたので、ある程度予備知識をもって視聴できた。Toriさん、多謝。感想を箇条書きに。
・生産工場の急増でエタノール価格が低迷している件は触れられなかった(と思う=全編きっちりとは見てません)。従って、相場高騰は一時的じゃないかな?、というのが全般の感想。
・生産農家はウハウハでしたね。各農家は最新サイロを設置し、備蓄量の調整によって「これからは売り手が価格を支配する」との声もあったが、どうだろう。エタノールバブルが弾けると、結果的に各農家はカルテル形成など無理なので一斉放出するような気がするが…。
・米商品ファンドのオジサンが登場。こちらの人。どっかの投資家(顧客)への売り込みで、「私はホームランしか狙わない。コツコツ稼ぐようなことはしない」と豪語しておりましたよ。手口はまさに超短期筋。米国版「赤いダイヤ」、まあコーンなので「黄色いダイヤ」ですが…、究極のアルファ狙い?または一発屋かな。こういう売り口上でお金預ける機関投資家はいるんでしょうか。まあ、短い会話でしたので、これだけがセールストークとは思えないのですが。
・コーンを輸入する商社の方、ご苦労さんです。米農務省穀物生産予想の発表に際し、豊作で寄り付きから下落するとの予想は外れましたが、お客さんの肥料会社(?)は買わなくて良かったじゃないですか。それからしばらくしたら急落しておりましたから。
・ところで、商社の方、価格の低い日本向け作付けを渋る米農家に「消費者が困っておりますので」というトークはまあ気持ちは分かりますが、あまり説得力はなかったです。市場原理を力説する相手には、市況が崩れたときに「安く買い叩く」という市場原理で対抗するしかないでしょう。

 「赤い(黄色い)ダイヤ」の行方は、エタノール需要、原油動向、(食料としての)実需、天候、サブプライム問題など複雑な要因が絡んで読みにくいが、エタノール工場の閉鎖が起きているようだと上値は限られる(むしろ低迷?)ように思う。ただし、私は長期的には世界人口は増大しているほか、穀倉地帯の水不足の懸念、温暖化による気候変動などもあってブルである。どうでしょうかね。

ps 20年近く前(今の職業に就いたころ)、海外市況(コモディティ)の翻訳に明け暮れていた。米農務省の穀物生産予想はビッグイベントで、ロイターの電文(当時は紙に打ち出されていた・モニターではなかったですよ)を懸命に千切っていた。農家の人、商社の人、ファンドの人、肥料会社の人、みんなが発表を見守るシーンは懐かしかったです。NHKさん、この場面は個人的に気に入りました。ありがとうございます。私、今でもコモディティは密かに興味があるんです。
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by bank.of.japan | 2007-11-22 23:04 | マーケット | Comments(7)
「フレディマックがドシン…時間差で株急落」に見えた=やはり円高のTSUNAMIかな
 前日のニューヨーク株式市場はプラスであったが、フレディマック株が赤字計上で急落した。民間ながらも政府の暗黙の保証があると思われるフレディの急落は、サブプライムローン問題という火災が一気に広がるリスクをはらんだ深刻な事態である。本当は、NY株全体が落ちてもおかしくはない事態で、私の周囲では「なんでNY株プラスなの?」という声が多かった。従って、本日の午後に株が急落したのは、フレディがドシンと落ちた衝撃が時間差を置いてアジアに到達したように見えた。
 フレディマックがいかに延焼してはいけない重要な存在かは、害債さんのこちらのエントリーを改めて参考にしてもらうとして、投資家が暗黙の政府保証を当て込んでいる存在は、政府から何らかの救済措置を受けざるを得ない、と思われる。
 政府が資本注入して国有化するのが直接的な救済だが、これがすんなりいくかは分からない。まあ、どういう決着が付くかは分からないが、紆余曲折をたどるのは間違いない。問題は、マーケットはそんなことは構わずににどんどん動いていくこと。金融市場の混乱が収まらない場合、出番が期待されるのはやはりFRBであろうか。金融緩和の打ち止め感を出しているが、いざとなればFFを下げ行くしかないだろう。
 日本への影響だが、米国のサブプライム地震の衝撃(P波)、やっぱり円高(ドル安)のTSUNAMIという形になりそうな気がする。原油高だから円高はいいじゃないか、という声もあるが、どっちも交易条件の悪化なのでマクロ的にはマイナス要因が強まる。TSUNAMIの衝撃に対して防波堤を構築するなら介入(ドル買い)ですね。外為特会のFB発行枠がいくらあるのかちょっと度忘れしたが、広げた方がいいかもしれない。まあ、間に合わなかったら日銀がバックファイナンス(経験済み)するでしょう。
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by bank.of.japan | 2007-11-21 22:49 | マーケット | Comments(12)
防衛省・山田洋行関連の雑感=リスク管理面での感想ですが…
 防衛省元次官と山田洋行の接待関係の報道、あまり関心はない(もちろん接待・癒着はいかんです)。強いて感想があるとすれば、①山田洋行という会社をこの事件で初めて知った②大蔵省(含む日銀)などが接待汚職事件で地検特捜からガシガシやられたのに、ゴルフ接待を受け続けた元次官のセンスのなさに驚いた③山田洋行から調達した装備はまともなものかどうか(使えない装備を高額で買わされたのなら税金の無駄使い→有事に使えないと困る)-であろうか。
 前置きはこの辺にして、この関連で気になった報道が一つある。
「GPS嫌なら防衛省去れ=石破防衛相怒る」という記事である。
 これは幹部の夜間・休日の行動を把握するためにGPS対応の携帯電話を支給する、というもの。一般的には「防衛省幹部は子供か」という失笑を買う記事なのだが、私はリスク管理の面で重要なセキュリティ情報を明かしていいのかな、という感想を持った。日本は人道的見地とは言え、イラクに自衛隊を派遣したりしており、テロの標的なる可能性はある。防衛省幹部がテロの標的(拉致とか)になる可能性はまあ高くはないが、「幹部にGPS携帯を今後配布する=今は配布されていない」という情報は、対外的には言わないほうがいいと思った。
 防衛省としては業者との癒着を防ぐために幹部の接待監視をきちんとやってますよ、というアピールかもしれないが、対テロの面では重要な治安情報を明かした気がする。防衛省幹部がどの程度の重要情報を持っているのか知らないが、例えばテロリストが米軍動向に詳しい幹部を拉致したら、GPS携帯を取り上げ、誰かに持たせて適当に移動させるかく乱工作を行うだろう(映画でそういう場面があったような)。
 それを見越して携帯電話に何らかの工夫がなされているならいいですが…。リスク管理という面では何だかお粗末な対応であると感じた。
 
 そういえば、リスク管理でお粗末な例は日銀でもあった。2千円札が発行されたとき、その普及を促すため、日銀職員の給料(当時は現金支給=今は振込み)の一部を2千円札にする、と発表したのだ。このとき、誰か知らないが、ある幹部が一部マスコミに給料日を漏らしてしまったのである。これは防犯上は非常に危険な行為であると私は思った。今時、給料を現金でもらう会社はないですから。毎月ある日、日銀職員は総裁も含めてまとまった現金を持っている可能性が高い、という情報はまずいでしょ。日銀の努力姿勢は分かるが、襲ってくれ、と言っているみたいで。改めて強調するが、数年前に振り込みに移行し、今は現金支給ではない。

 こうした治安・防犯に対する脇の甘い対応は、もしかしたら日本に対する警戒感を和らげる効果があるかもしれないが、まあ考えにくい。もしかして法相の変な発言も深遠な狙いがあったりして…。パスポートコントロールでテロ対策を強化すると言ってもなんだかなあ、である。
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by bank.of.japan | 2007-11-20 21:47 | その他 | Comments(21)
「私の履歴書」の続き=田淵語録です
 野村証券元会長の田淵節也氏の語録。連載が終わってから前回の続きをやってもいいのだが、印象に残った一文を忘れるかもしれないので、刻んでいきます。
 まずは「第13回」(11月14日)より。ここでは「岸信介首相時代にできた資本主義計画経済の金融は…」のくだりが興味深い。金融カーストの下層に甘んじた田淵氏の屈辱感が強くにじむが、つい最近まで続いた護送船団行政(今は処分行政?)によって「金融が市場原理の世界に至る道のりは遠かった」のはその通り(まだ遠いです)。でも、あれですね。興銀と山一は本当に好きじゃなかったのですね(笑)。以下、数回分より思いつつままに。
・「英語使いの国際派は国内営業とは関係なしに動いており、別会社のようだった」
→だから田淵氏は国際本部を廃止し、内外一体営業を図ったのだが、私自身はこれをひっくり返して国際営業を主軸として国内本部(営業)を廃止したらどうだったのか、と思考実験的に思う。個人的には90年代前半のどこかで野村証券がグローバルインベストメントバンクに脱皮するチャンスはあったのではないか、と思うのだが。
・「何でも米国だと思えば間違いない」
→これは正しい。SAMA訪問記は面白い。同様にボルカー訪問記も。金融のグローバルスタンダードがアングロアメリカンスタンダードでありましたし。その米国は金融が揺らいでいるが、やっぱり餅は餅屋で、金融業はリードし続けるように思う。
・「日本人には外国人を使いこなせない」
→恐らく連載全体の結論的な一言かも。金融界の重鎮でこれを率直に言える人はあまりいない。もちろん個人ベースで外人を使いこなせる人はいるが、組織体としては無理のような気がする。
 その他の感想。
・ボツワナ(中銀)までJGBを売りに行ったのはすごい。
・本人の口(筆)から「ヘトヘト証券、ノルマ証券」を聞ける(読める)とは予想外
・「狩猟民」(フロー商売=恐らく投資銀行業務含む)と「農耕民」(ストック商売=銀行)の収益比率見直し(前者の拡大)は考え方の一つだが、異民族商売を同一組織で行うのは限界があるように思う。これは文化・風土にも関わる広いテーマなので、別途エントリーで取り上げるかもしれない。
 相場については以下のくだりが言い得て妙。
 「デイトレと言って一日中部屋にこもって売ったり買ったりは勝手だが、続くわけがない。相場には魔物が住むと言うように、いつの時代にもある熱病のようなものだ」
 こうした知見は残念ながら広く共有はされない。わが国の場合、特にマスコミ(地検特捜も?)がそうだが、投機取り締まり型の論調が増える(ほっておけないのですね=市場を信じていないのでしょう=統制したがる)。困ったものだ。
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by bank.of.japan | 2007-11-19 22:35 | マーケット | Comments(6)
複数の「ハト」派?=日銀政策委の分布図
 先週、今週と金融政策決定会合の議事要旨が公表された。9月18-19日分、10月10-11分です。ざっと読んだ印象だが、「複数の委員」(複数=2人との理解です)の幾つかの発言が日銀の公式見解よりも悲観的であったのが目に付いた。金融政策の投票行動で政策委員会を色分けすると、「1人のホーク(タカ)、8人のチキンホーク」となるが、経済情勢の判断でいけば「1人のホーク、6人のチキンホーク、2人のダブ(ハト)」といったところか。
 チキンホークスは『自信のない(臆病になった)タカ派』(こちらのエントリー&コメント欄を参照)という意味で、私は決して悪いことではないと思う(ただし、言行一致させるために景気判断の下方修正、金融政策運営の書き直しが必要)。
 「複数の委員」の見解を両要旨から拾ってみたい(詳しくはホームページを参照)。
・米住宅市場の調整が長引くリスクが高まっている。過去の調整と異なり、今般は消費者物価で実質化した住宅価格の下落が全米で広範にみられる(複数のうち一人)。
・住宅価格の低下幅次第では、家計の保有資産が減少するルートや、金融機関のバランスシートが悪化し、与信基準が厳格化するルートなどを通じて、経済全体に対する影響が大きくなる恐れがある。
・(日本の)首都圏の新築マンション契約率が低下していることや、不動産ファンドからの資金流入が減少している。
・中小企業の設備投資を反映している代理店経由の機械受注が減少しているなど、中小企業の設備投資が弱めとなっており、中小企業の収益や景況感とあわせて、今後の動きには注意する必要がある(一人の発言)。最近の原油高が、価格転嫁が困難な中小企業の収益を圧迫する可能性がある(別の一人)。
・短期的には市場における過大なポジションは一旦調整されており、金融緩和の行き過ぎというアップサイドリスクは、この面では減少する方向にある(この後に正常化論を述べているが、強いものはない印象)。
 まとめると、サブプライム問題が深刻化することへの懸念が強い一方で、アップサイドリスクの後退を認めている。「複数の委員」の金融政策スタンスは積極的な現状維持、ないしは気分的には利下げしたいのかもしれない。利下げ提案に臆病ならチキンダブ、かな。複数の委員が誰なのか念頭には浮かぶが、自信がないので敢えては書きません。
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by bank.of.japan | 2007-11-16 22:21 | 日銀 | Comments(5)
「放電塔」や「BOJウォッチャー」はなくなるのかな=チト寂しい
 日経金融新聞と日経公社債情報が来年1月末で休刊となり、代わって投資金融情報誌「日経ヴェリタス」(週刊)が創刊されることになった。Capriのゆる~い日記さんによると、「日本版バロンズを目指した週刊誌で、どちらかといえば個人投資家がターゲットになりそうです。 宅配と駅売りで10万部を目指すようです。価格は500円とか」とのことであった。
 新たな金融専門メディアが、個人投資家(恐らく富裕層)をターゲットにするのは、マスコミ論との絡みで個人的に思うことがあるのだが、それは別途論じたい。ここでは、二つのメディアの休刊についての感慨を少し。まずは、10年以上も目にしてきたメディアなので、それがなくなるのは寂しさもありますね。日経金融の休刊によって、私のフィールドに重なるデーリーの紙メディアはなくなりました。孤独です(笑)。
 同紙について、私は「『BOJウォッチャー』のウォッチャー」である、という楽しみがなくなった。特に登場する「日銀幹部」が誰なのかを想像するのは愉快な作業で、特定できたときはニヤリもの。大ボケをかます「幹部」が登場するのも楽しい。同業の立場として、毎日書く作業から開放されるのは、正直良かったね、と思う。日銀ネタなど毎日書くほど転がってはいない。「何でも書いていい」なら、かなり書けるが、でも毎日は無理ですね。
 公社債情報はやっぱり「放電塔」でしょう。これはかなり“視聴率”が高かったのではなかろうか。金融市場に限定すると、日経メディアでダントツ、という感があるが…、どうでしょう。フォローが大変、という回もあったのだろうと推察する。新メディアで続けるのは、無理ですか。

ps メディア論(方向性)として、『バロンズ』ではなく、『ユーロマネー』方面に向かって欲しかったなあ。「個人富裕層」の方がやはり広告が取りやすい、ということだろうか。
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by bank.of.japan | 2007-11-15 20:56 | マーケット | Comments(21)


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