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総裁挨拶「物価変動のダイナミクスと金融政策」の論点
 福井日銀総裁が本日、一橋大学主催国際コンファレンスで行った表題の挨拶はいろいろ論点があると思った。私自身は経済学を専門に学んでいないので、挨拶内容を学術的に論じることはできないが、最近の(世界的な)金融政策の風潮と課題がコンパクトにまとまった一文であろうと思った。興味ある方はこちらへ。
順を追って紹介したい。まずは、
「(物価変動の)ダイナミクスは、経済構造の変化とともに変わりうるし、それを適時に認識することはしばしば困難です。(略)近年の最大のチャレンジは、フィリップス曲線のフラット化と不確実性の増大のもとでの金融政策運営ではないかと思います」
 「フィリップス曲線がフラットな状況では、物価が安定圏内にある場合には、多少の景気変動では物価は安定の範囲からはずれません。一方、一度その範囲をはずれると、修正はかなり難しくなります。フィリップス曲線がフラットであるほど、物価を上昇あるいは下降させようとする場合に必要となる、需給ギャップあるいはその変化幅が大きくなるためです」
 「たとえば、米国では、連邦準備制度(FRB)のミシュキン理事が、4月の講演で、『物価の安定と整合的なインフレ率に急速に戻ろうとすると、必要以上に景気を弱めることになるかもしれない。中央銀行は、物価の安定を確保することは不可欠であるが、経済を不当に害しないようなペースで行うべきだ』と述べています」
 →景気と物価の関係が薄い状況では、ミシュキン理事の指摘は正しいと思われる。金融引き締めの効果が物価に波及しくい状況では引き締め過ぎる(オーバーキル)リスクに注意を払った方がいいのだろう。
 「日本は、全く逆の方向から同種の問題を抱えています。日本経済は、このところ、潜在成長率を上回るペースで成長しています。設備や労働といった資源の稼働状況は高まっており、GDPギャップは需給のタイト化を示唆しています。一方、消費者物価の反応はとても弱く、足もとはゼロ%近傍となっています」
→潜在成長率の推計にはかなり幅があり、本当に上回っているのか疑わしいと思うのだが…。仮に、下回っているのが実態だとすると、物価の反応が弱いのは当然となる。
 「このような状況では、短期間に消費者物価を引き上げるために必要となるGDPギャップは、極めて大きく、かつ不確実です。急速にGDPギャップを拡大させようとすると、景気変動の振幅を大きくし、景気拡大の持続性を危険にさらすことになりかねません。むしろ、できるだけ振幅の小さい、息の長い成長を確保することで、緩やかな物価上昇を期待するほうがより安全な道だと思います。日本銀行が緩やかな金利調整を行っているのは、こうした考え方に基づくものです」
→もっとも大きな論点であろう。金融政策でGDPギャップを拡大させられるのか、個人的には懐疑的だが、仮に出来るなら拡大させてもう少し物価をプラスに持っていった方が安全ではないかと思うのだが。
 「歴史的に見ても、物価変動のダイナミクスは、中央銀行の政策の枠組みやその実践に大きな影響を与えてきました。例えば、80年代までの高インフレの経験は、インフレーション・ターゲティングなど、物価に焦点を当てた金融政策の枠組みを発展させる方向に作用しました。(略)フィリップス曲線がフラットなもとでは、物価面にはなかなか不均衡(imbalances)は現れません。むしろ一般物価に変調が生じる前に、実体経済や資産価格面で不均衡が現れる可能性があります。このため、インフレーション・ターゲティングを採用した中央銀行においても、物価以外の経済の動きにも柔軟に対応することで、長い目で見た物価の安定を図るという方向に変化してきています」
→時代はインフレターゲットから「第二の柱」にシフトしつつある、ということであろう。とは言うものの、日銀が「第二の柱」を使うのはまだまだ早いと思う(BISは既に使ったと見ているが・笑)。
「本コンファレンスのような研究活動を通じて、物価変動のダイナミクスについての理解が深まることに、中央銀行としても、大いに期待しています」
→この方面の学界動向は私は詳しくはわからない。かつてインフレに悩んだアングロサクソン諸国の物価が落ち着いたのは①構造変化(グローバル化・規制緩和など)②金融政策の成功-のどちらが大きいのか。日本が80年代以降、物価の優等生と言われたのは①競争が厳しい②金融政策の成功③勝手に落ち着いていた-のどれが大きいのか。こういったことが学界でどう解釈されているのか興味深い。
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by bank.of.japan | 2007-06-28 21:57 | 日銀 | Comments(26)
CP“アリバイ”オペ、打ったのね…=残高ゼロ放置プレーも限界?
 98年4月の新法導入以降で残高ゼロの期間を更新中であったCPオペだが、本日、日銀は3000億円をオファーした。これにより、5月29日から残高ゼロであった期間は1カ月弱で中断された。まあ、これ以上(残高ゼロの)放置プレー続けると、「CPオペ廃止かあ」との見方が広がるため、「まだ温存するよ」との意思を示すための「アリバイオペ」だったのだろう。
 CPオペは新法以降では今年2月23日に初めて残高ゼロとなった。このとき同月26日までゼロが続いた。次にゼロとなった期間は4月6-19日。今回は途中からゼロ期間最長を日々更新しており、いつ残高復元のオペ打つのかな、と思っていたら、今日でありました。ちょうど1カ月程度であった。本日のオペの期落ちは8月8日。次はどの程度の期間、残高ゼロの放置プレーを続けるのか興味深い。
 CPオペは日銀が昔から止めたいと思っていた調節手段で、旧法末期の97年3月から同年9月まで約半年も残高がなかった。その後、金融危機が起き、企業金融支援のオペとして積極的に活用され、量的緩和時代になったら貴重な調節手段の一つとなってしまった。量的緩和を解除したときは、悲願であったCPオペ廃止の機運が盛り上がったのだが、しばらくすると急に盛り下がってしまった。何なんでしょうね、これは。人が代わると芸風or趣味が変わりように、調節手段の在り方も風向きがガラッと変わったということであろうか。
 調節手段の在り方は、企画局の旧二課が担当で、私は一応手段整理論者なので、CPオペは早く止めるべしとの立場だ。この考えは、二課系・調節系の草の根レベルでは根強い支持があり、私は草の根の者らの意向を汲むつもりで、ときどき偉い人のところに行って「まだ止めないんすか」と軽くジャブを放つのだが、「そういう原理主義的な考えはない」とか言われちゃんだなこれが。日銀幹部に原理主義を否定されるのはやや不思議な気分でもありますね(笑)。
 原理主義的には①共通担保以外の短期供給オペは廃止②政府預金の付利廃止③対政府売り現先も廃止④交付税特会借り入れの担保不適格化⑤輪番の柔軟化(目先は増額・短期オペ減額)-などが課題となろうか。いずれも超ハードルが高く、このうちの幾つかをやろうとすると日銀は結構ボロボロになるだろう。利上げするより難しいよね。いつか着手するのを期待したい。
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by bank.of.japan | 2007-06-27 21:58 | 日銀 | Comments(3)
BISも「第二の柱」で利上げしたと解釈したのですね
 BISの年次報告は、報道によれば「円安進行に懸念」とつまらない内容だったので、すぐに忘れ去ったのだが、本日の三菱UFJ証券『債券投資デイリー』 の見出しでオヤッと思った。具体的には「BIS年次報告における2月追加利上げの奇妙な説明」という見出し。何だろうと思って原文見たら、BISも「第二の柱」で利上げしたと受け止めていた(笑)。三菱UFJ証券さん、気付かせて頂き、ありがとうございます。
 原文(65ページの下)から引用すると以下の通り。
「The subsequent policy rate move in early 2007 illustrated the importance
of the second perspective even more clearly. On this occasion, the Bank of
Japan noted that the first perspective provided little justification for additional tightening」
 この部分、ご丁寧にも左側に「The second move was based on the second perspective」という見出し付きなんですよ。日銀(企画)の説明を思いっきり否定していて、こういうのはBISという中銀サークルの中ではあまりないことなので、結構面白い。こんなにオイシイところが報道に出なかったのは、みんな「第二の柱」でやったのは当然と受け止めていた、ということだろうか…。
 ところでBISから「日銀の公式見解から大きく乖離する説明」(三菱UFJ証券)が出された経緯だが、この年次報告ではBISと日銀との間で「すり合わせはなかった」そうだ。従って、「BISのスタッフが日銀公式見解との整合性を意識せず、民間のレポートや市場参加者の意見を参考にしたもの、あるいはスタッフ自身の見解を織り交ぜた結果、という可能性が高い」という三菱UFJ証券さんの読みは正しいと思う。
 日銀内での反応だが、まさしく「日銀の公式説明からびっくりするほど乖離している」(同証券)年次報告に、(除く企画の)職員らは“びっくり”してましたね。同時にちょっと愉快そうでもあったな。トップエリートの企画(一課)が凹む場面ってあまり見られないからね。

 さて、この年次報告が浮き彫りにする真の問題は、BISが誤解するほど日銀の利上げロジックが分かりにくい、ということ。仲間であるBISが勘違いするほど分かりにくいロジックを振りかざして「市場との対話」と言っても、まあ難しいんじゃないの。来年3月に指導部(正副総裁)が替わるとき、枠組みを見直した方がいいと思うが。どうであろう。
 
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by bank.of.japan | 2007-06-26 21:53 | 日銀 | Comments(8)
金融街構想はマジなんですかね
 東京をロンドン、ニューヨーク並の国際金融街にする構想は、実はほとんど関心がなく、聞き流し(or見流し)状態でありましたが、巡回先のブログでも幾つか取り上げられ、私もメモ程度の感想は残しておこうかな、と思った。まずは参考までにブログを紹介。
Tori Boxさんの「家賃をはらうであろう人達」
Alternative Timesさんの「こりゃ駄目だな - 東京金融街」
 そもそもAlternative Timesさんも指摘されているように、街という物理的なインフラへの不満(深夜に開いている高級飲食店が少ない、オフィスが狭い、など)があるから、東京が国際金融街として不備である、というのは本筋の問題ではないだろう。箱モノ的な発想に捉われているがゆえに、外国人の箱モノ的な注文(マジな注文ではなく、雑談めいたものかも)が大きな課題(そこしか分からなかったから?)に思えた、ということであろうか。まあ、哀しいけどそうなんでしょうね。
 東京国際金融街構想はずばり箱モノ投資そのものである、とはあまり思っていなかったのだが、日経金融の「霞ヶ関・風速計」に「政府肝いりの大型プロジェクト」をめぐって日本橋や丸の内、赤坂・六本木の大家さん(大手不動産会社のこと)らが争っている、という。はっぱり、箱モノに金が落ちるプロジェクトなんですかね。記事も地域集約しないとざん新さがない、みたいなこと書いてあったが、本当に物理的な構想がシティー化と思っているのだろうか。ナゾだ。
 円安是正の利上げ論では、意見が全然違ったJPモルガンの菅野さんだが、国際金融街の構想では、規制・制度面の整備が先決であるという菅野さんの主張には賛成です。菅野さん、応援してます。

ps1 知り合いの外人は「日本は便利で、住みやすい」と言っている。少数派ですかね。深夜の高級飲食店めぐりをするほどリッチな奴ではない(国際金融街を担う外人としては貧乏?)

ps2 日本橋でも六本木でも丸の内でもどこでも地域指定したとしても、恵比寿のモルガン・スタンレーは指定地域から外れそうですね(笑)。
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by bank.of.japan | 2007-06-25 22:08 | マーケット | Comments(21)
「目安箱」が通じないのは国連だから?、それとも…=「私の苦笑い」より
 今週月曜日の日経新聞に国際電気通信連合会(ITU=国連の専門機関)の事務総局長を務めた内海善雄氏が「私の苦笑い」で以下の面白いエピソードを披露していた。
・事務総局長就任直前、全職員に電子メールを送り、「目安箱」として仕事の改善案を募った。ところが「新しいトップが密告を勧めていると労働組合が騒ぎ出し、大トラブルになりかけた。
・対話のつもりで、インド訪問時の印象(よく働き、よい通信製品を作る)をメールで全職員に送ったら、「トップが『インド人はよく働くが、ITU職員は働かない』と非難した」とまさかの曲解。
 このコラムは「国連機関では日本流の協調主義は通じず、容赦ない競争社会悟る」とのタイトルがあり、「脱お人よし」の覚悟で、したたかになる必要がある、との教訓が込められたもの。「目安箱」なるものが、海外で一般的かどうかは私には分からないが、この手の意見聴取がうまくいくかどうかは、トップ(or経営層)を信頼できるかどうかにかかっているので、日本社会でも警戒されることはあるだろうなと思った。
 率直な意見は、それが善意によるものでも場合によっては体制批判(or経営批判)となるケースもある。私なんかはややへそ曲がりなところもあるので、「目安箱」などは反体制分子をあぶりだすための仕掛けじゃないのか、と思ったりする。
 ITUの場合、トップは経営ビジョンがあるはずで、組織の改善点などはトップダウンで実行していくものとみんなが思っていたところに、いきなり目安箱が出されて驚いたのかもしれない。または、国連も官僚的な組織で、命令に従うのに慣れており、意見を言え、という誘いのメールに猜疑的な印象を持ったのかもしれない。
 内海氏の披露したエピソードが国際的な場面における普遍的な教訓であるのかどうか。国連だから通じず、他では通じた可能性があるのか。この辺は興味深いところだ。みなさんはいかが?
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by bank.of.japan | 2007-06-21 22:50 | その他 | Comments(11)
オコーナーがIBJに合流していたら…
 下のエントリーに関してちょっと昔話を。
 メガバンク市場部門の知り合いと邦銀のグローバル再展開について雑談した中で、彼は「人の問題ではなく、組織の問題。今の組織のまま海外に出て行ってもまた失敗するだろう」と言っていた。これは個人個人は能力はあるけれども、銀行はそれをうまく活用できる組織体制(マネジメント、インセンティブの与え方など)になっていない、という問題意識である。確かに、外資系金融機関の大半は日本人であり、稼いでいる人が多い。
 これで思い出したのが、シカゴのオプションハウスとして有名だった「オコーナー」という会社だ(当時の流行言葉ではロケットサイエンティスト集団)。90年代前半、SBC(スイス銀行)は通貨オプション市場で有力な存在で、国際業務が躍進中であった。その後、英投資銀行のSGウォーバーグを買収。UBSを吸収し、現在に至っている(名称として残ったのがUBS)。90年代の前半、私はロンドンにおり、SBCのプレゼンス拡大に興味を持ち、取材したことがある。このとき、国際的に無名であったSBC躍進のきっかけを作ったのが「オコーナー」という会社であることを知った。
 SBCロンドンにはオコーナー出身の米国人幹部がおり、その一人(女性=グローバルリスク管理のヘッド)に「なぜSBCといっしょになったのか」と聞いた。実はこのとき、日本興業銀行(IBJ)もオコーナー獲得に動いていたことを知っていたので、そのこともあわせて聞いたのだが、彼女曰く「相手先の候補は三つあった。SBC、ドイツ銀行、IBJ。SBCを選んだのは、オコーナーの共同経営者らをSBC本体の幹部にし、人事権を与えるとの条件があったから」。
 後日談として、みずほグループ誕生後だが、オコーナー獲得のためにシカゴに出向いたりしていた旧興銀幹部とたまたま合う機会があった。「オコーナーは本当に欲しかったんだよなあ」と振り返っていたが、人事権を与えて本体の幹部にする可能性は「あり得なかった」そうだ。IBJに合流しても(金銭的条件は相当に良かったようだ)恐らくオコーナーは子会社の一つとなり、人材も散っていったと思われる。
 出井氏の言う「目に見えないもの」も、人材の使い方によっては得意分野になるならまだ救いがある。国民性として、人材の使い方がうまくない(焼却炉行きになりやすい)なら、目に見えるもので勝負するしかない。どうなんでしょう。ぐっちーさんの「世界最強の軍隊」(ジョーク集)にならえば、アメリカ人の経営者、ドイツ人の幹部、日本人の社員が「世界最強の金融機関」なんだろうか。うーん、軍隊アリの生活が生涯続きますね(トホホ)。

ps1 ロンドンの某邦銀証券現法の現地社員(イギリス人=かなり優秀)と仲良くなり、昼飯を食っていたら「オコーナーという会社のインタビューを受けて受かったんだよね」とポツリと言った。私が「シカゴのオコーナー?」と聞くと、「そうだ」と言う。「お前、進路間違えただろ」と指摘したら「うん」と深くうなづいていた。あいつ、今どうしてるんだろ。

ps2 当時シティーではカジュアルフライデーが普及しつつあったが、SBCロンドンは「いつでもカジュアル(除くセールス)であった」のに驚いた。よく話をしたエコノミスト(オランダ系)はアロハシャツみたいなのを着ていた。みんな楽しそうだったな。

ここ7-8年の国際金融の勢力変化はよく見ていないのだが、米系投資銀行(バルジブラケットと言ってましたね、古いですが)がやっぱり上位独占ですか?
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by bank.of.japan | 2007-06-20 22:15 | 金融システム | Comments(19)
「日本人は金融など目に見えないものより(ロボットなど)目に見えるものが好きだ」
 本日の日経新聞にソニーを退任する出井氏のインタビューが出ていた。表題は発言の一部である。言い換えると、形のある「製品」での勝負は得意だが、形のない「金融」は苦手となるだろう。この指摘には私も同感するものだ。ただ、出井氏はグローバル企業になるためにも目に見えないもの(金融やネットワーク)を強化する必要があると訴えているが、私は無理してそうする必要もないのではないかと思う。
 個人ベースでは金融が向いている人は多いし、恐らくは増えているだろう(と期待したい)が、国民風土として目に見えない金融が向かないなら、無理してそうする必要はないのではなかろうか。人に得意・不得意があるように、国民性も得意・不得意がある。金融は特にアングロアメリカンが得意とし、これに対し日本は製品作りが得意であったということだろう。人間そんなに色々なことできるわけではないので、得意分野を強化するのがむしろいいと思う。
 昨年、「デイトレはけしからん」みたいな風潮が強まった。個人の自由でやっているものを経済界の偉い人たちが目くじら立て、マスコミでも「チャートばっかりみて売買するのは異常だ」との論評があった。これは私は驚いた。チャートで売買するのは一つの手法として確立されているし、難しいチャート解析ではなくても、単純に銘柄の値動きを追ってそのパターンを掴もうとするのはトレーディングとしては普通であるからだ。どこのマスコミとは書かないが、あの論評をあのメディアが載せたということにかなりがっくり来た記憶がある。
 額に汗して働き、良い製品を作り出すことが賛美される風土において、金融の発達・高度化はなかなか期待しにくい。特に銀行は公的制約が強く、利益が増えると儲け過ぎの批判を浴びやすい。預貸スプレッドが異常に低いということは、金融システム全体が企業の補完金融をやっているようにしか見えないのだが。金融でもう一度グローバルに飛躍するということをまさかメガバンクが本気で考えているとは思わないのだが。そうなんですか?
 
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by bank.of.japan | 2007-06-19 22:54 | 金融システム | Comments(13)
円&元は「東洋の神秘」コンビだったのね…
  定例で巡回しているブログの一つであるEconomics, Technology & Mediaさんが「市場のボラティリティとオリエンタリズム」という興味深いエントリーをアップされている。詳しくは、そちらをご覧頂くとして、円キャリー“世界に流動性をばら撒く”日銀と外準“分散投資本当にやるの?”人民銀が「東洋の神秘」コンビとして似たようなシロモノとして受け止められているのは面白いと思った。
 「どうも皆さん『円』とか『元』とか『中国』という『東洋の神秘』がからんだとたんに、先ほどのバイサイドの会社の例でもそうなんですが、何か別のスイッチが入っちゃうような気がします」とのご指摘は身につまされる。私自身、マスコミが円安→円キャリーと突っ走る様子に「オォ、スイッチが入りよった」と傍観者的に眺めるのだが、中国の外準運用では「共産党だしな。不気味」と思ってしまう。この辺、Economics, Technology & Mediaさんに指摘されるまで気が塚なった私はまだ修行が足りないわけで(苦笑&汗)。
 冷静に考えると、運用資産が巨大になるほど、そう簡単に分散投資できるものでもなく、自らが動くことのインパクトが大きいほど自らの首を締めてしまうリスクもあり、中国もそれぐらいは承知のはず。また、仮に小規模な投機をやるにしても、うまくいくかどうかは未知数であり、かつてバンク・ネガラ(マレーシア中銀)でしたっけ、為替投機で大損こいた(90年代半ば?)こともあり、まあ中国も慎重にやるんだろうとは思う。
 外為ディーラーの方々はご存知のように、各国の為替投機(コマーシャルオーダー=介入ではない・外準運用の一環としての取引)はかなり盛んであり、海外大手銀行のディーリングルームには「セントラルバンキングデスク」があり、いろいろな国と取引している。中銀側の担当者が民間銀行のデスクに移籍したり、人材交流もあるようである。中国だから特殊扱いするのはバイアスがかかった見方かもしれない。

ps マスコミが円安&円キャリーに走りやすいのは、これはハトマメ論の応用で考えると、「円安&円キャリー」はいったんマメだと認識してしまったので、ハト(マスコミ)はパブロフの犬のように条件反射でネタとして反芻し続けると思う(これは仕方ないです、我われはそういう動物ですので)。
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by bank.of.japan | 2007-06-18 22:25 | マーケット | Comments(6)
「マクロ経済」と「森林」と「環境」
 田舎の山林ネタの続編です。
 あれ以降、森林関係に強い興味を持つようになり、ネットなどを検索してざっと以下のような状況であろうと理解した。調べる過程(まださわり程度ですが)で特に参考になったのは、森林ジャーナリスト田中淳夫さんのブログ「森林からのニッポン再生」でありました。興味ある方はどうぞ。

山林の歴史(戦後以降)

・戦後の建築ラッシュで木材価格がバブル化。乱伐が進む。
・バブル継続を期待して全国的に杉、檜などの植林ブームが起きる(この頃、我が家では祖父が山を買ったもよう)。
・規制緩和、新建材の普及で木材価格は暴落。現在に至る。
山林内の状況
・1ヘクタールの植林数は当初3000本。間伐を経て最終的には3分の1へ。
・間伐材も商品価値があったが、価格暴落によって間伐は赤字作業へ。山林放置進む。
・間伐されない山林は暗い密集林と化し、下草、中間樹木も育たず。この結果、土壌が流れやすく(保水力も低下)、災害のリスクが増大(温暖化に伴う集中豪雨に弱い?)。
エコロジーの誤解
・私がそうだったのだが、「木を切る=環境破壊」と単純に理解していた。→間伐は森林の多様化上も必要
・割り箸を使う=環境破壊とこれまた単純に理解。間伐材のニーズをさらに落とし、山林放置→森林荒廃の悪循環を強める

 行政も含めて林業の構造的な問題はもいろいろあるようだが、それはさておきマクロ経済の観点では、①世界的には木材需要は増加②円安傾向-によって、国産材と外材の価格は並びつつある。円安については「バブルだ、利上げしてつぶせ」とか言われるが、森林ビジネス面では追い風であるのは間違いない。木材市場の詳細はまだ良く分からないが、ビジネスとしてほのかな光明が見えてきた感じはある。この円安基調は少なくとも森林面では維持された方がいいとは思う(環境的にもプラスかもしれない)。
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by bank.of.japan | 2007-06-18 00:38 | その他 | Comments(22)
凄い勢いで買い戻しが入りましたね=ヘッドラインリスク?
 総裁会見が終わってマーケット状況を見たら、凄い勢いで買い戻しが入っていて、ちょっと驚いた。会見内容を一言で言うと、今後の政策判断で「一切予断がない」に尽きるのだが、総裁は例のごとくサービス精神を発揮して色々な言い方をしたので、恐らくはどこかの報道の「ヘッドライン」が過剰反応を引き起こしたのだろう(私は他社さんのヘッドラインが見れないので、どれが効いたのか分からない。ご存知ならご指摘を)。
 私が見るところ、先行きにやや自信のなさもある日銀としては、引き続き利上げ時期を特定されてしまうことは避けたいはずで、総裁としてははぐらかさざるを得ない。一方、マスコミは少しでもヒントを得ようと引っかけ質問を繰り返し、総裁も色々な聞き方に対して色々な言い方で答えてしまうので、ヘッドラインリスクが実現してしまったのだろう。多分。
 私が良く分からないのは、米債に連動して金利の上昇が顕著になる中で、利上げのペースが速まるのではないか、との思惑が出ていたこと。短中期債が崩れ、ユーロ円金先もちょっとなびくような動きになったが、これはただのオーバーシュートではなかったのだろうか。私はモメンタム系のショートが下げを加速しているだけなのかと思っていたが、利上げペースの加速も織り込んでいた、ということだろうか。
 利上げのスピードが速まる可能性はもちろんある。今度の短観が予想外の改善を示し、そして出遅れ感のあった株価の上昇が加速。これに伴って経済成長が加速する見込みが強まるような場合である。私は、引き続きダウンサイドリスクが心配なので、どうもそういうバラ色のシナリオが描けないのだが、そういう見方が出ていたんだろうか。
 私のメーンシナリオ。短観はそこそこ。これを受け、水野委員らが利上げを提案。政策委では確信度合いになお差があり、6対3で現状維持。8月に差が埋まり、追加利上げ。
 サブシナリオ。短観そこそこ。水野委員らが利上げ提案。残る委員も8月まで見送ると「またかよ」とか、「選挙に配慮したのか」とか、「ダセえ」とか言われるので、賛成多数or全員一致で利上げ。
 サブサブシナリオ。物価がプラ転、成長加速を確認するまで利上げ見送り。
どれも外したらすいません。
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by bank.of.japan | 2007-06-15 21:42 | マーケット | Comments(15)


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