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カテゴリ:金融システム( 44 )
自然体の「アウトライヤ―」=日銀FSR
 日銀の「金融システムリポート」(FSR)が発表された。こちらである。いくつかのポイントから浮かび上がるのは、金融機関はやっぱり自然体としては「アウトライヤ―」になっていく、という姿である。
FSRより
・(じわじわとだが)貸出債権の質が低下している。
・(同時に)貸出金利の低下が続いている。
 上記は、すなわちリスクに応じたリターンに従えば、むしろ貸出金利は上昇気味に推移すべきだが、そうはなっていないということは、金融機関はクレジットリスク対比では企業・家計に対しては「持ち出し」であることを意味する。もともと邦銀は、異常に社会的な使命を負わされ、まあ、NPOがますますNPO化しているわけだ。
 このFSRには明記はされていないが、金融機関の資金調達コストはもうこれ以上は大して下がらない状態だ。その下での貸出金利低下は、国際的に異常に低いと言われる預貸スプレッドのさらなる圧迫をもたらしている。日本で唯一スプレッドが取れていたノンバンキングが制度的に叩き潰され、スプレッドは取っちゃいかん、という風潮も強まりつつあり、クレジット面でのまともなリターンを確保するのは、資金需要の低迷もあって絶望的だ。
 で、残されたリスクテークの方向が「金利リスク」であり、アウトライヤ―になっていくのは自然体でろう。生物は環境の変化に対応するもので、金融機関も変化に対応している、というわけだ。ただ、ちょっと達観し過ぎてアウトライヤ―で先鋭化した向きがロングエンドで時々、バンジージャンプするのはご愛敬であろうか。
 金融システムは、資金循環的には「単なる資金の通過点」に過ぎない。預金投入量が多ければ、通過した先のどこかに金ははまっていく。民間の資金需要が弱ければ、一方で旺盛な資金需要の公的部門に金がはまるのは当たり前である。
 マスコミは単純なので、銀行の国債保有増大→金利が上がったら大変だ→警告、警告、警告という報道になるが、バブル崩壊以降、銀行破たんはクレジットによるもの。過去、金利で死んだ銀行はあるのだろうか。私はよく知らない。財政破たんも、国(親)が死ぬのだから、その保証を受けた金融システム(子)の死を憂うのは順番が違うような気もする。
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by bank.of.japan | 2010-09-30 22:11 | 金融システム | Comments(1)
「レバレッジ規制の有効性に関する一考察」の考察=有効性に懐疑的なのが良し
 上記の日銀ペーパーが出ていたので、メモ的に内容を簡単に紹介したい。もっぱら個人用の資料としてこちらにアップしておきます。レバレッジ規制はもともと無理筋なものと私は思っていて、バブルに激しく酔った欧米諸国が悪酔いに苦しみ、強制的に飲酒量を制限するようなものであろう。酔い方というのは個人差があって、飲むと悪酔いする人もいれば、ほどほどで済ませる人もいるし、まったく飲まない人もいる。金融システムも同様に国別に違っているので、レバの国際的な一律の規制は現実的ではない。どうしても飲みたい(リスク取りたい)人は、闇物(簿外とか)に手を出すものでもあるし。ということでペーパーからいくつかポイントとを。

・レバレッジ規制は、いくつもの「副作用」を伴う点に留意が必要である。第1 に、レバレッジ規制は、確かにレバレッジを縮小させることができるが、それと同時に、資産の質を劣化させる

・レバレッジ規制の第2 の副作用は、銀行の活動範囲を狭めることによって、資産選択を非効率にする

・G10 諸国の上位商業銀行について、ギアリング・レシオと資産の安全性指数を比較すると、それらの水準に相当ばらつきがある

・金融環境やビジネス・モデルの違いにもかかわらず、世界統一基準でレバレッジ水準に規制をかけると、資産選択が非効率になる

・レバレッジ比率には、オン・バランス項目だけではなく、オフ・バランス項目等を算入することが不可欠である。その際、どのオフ・バランス項目をどのような形で組み込むか、幅広い検討が必要である

 結論的には、オンオフ含めて幅広く効率的に規制をかける(しかも国際標準の尺度で)のは現実的には無理だし、このペーパーでいろいろ指摘される副作用を考えると、レバ規制はまあ止めた方がよい。なお、紹介したポイント以外の数式などテクニカルなところは私の手には余るので、ご関心ある方はペーパー(以下のサイト)を直接ご覧いただきたい。
 http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/data/wp10j06.pdf
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by bank.of.japan | 2010-03-25 21:14 | 金融システム | Comments(2)
貸出市場に対する公的保証の歪みについて=日銀FSRより抜粋(参考)
 亀井大臣は引き続きモラトリアム論を展開しているが、公的保証によって貸出市場はいかに歪められているかについて、日銀「金融システムリポート」(FSR)より抜粋して紹介。市場関係者やアナリスト向け参考まで。場所はこちら

本文19ページあたり。
「(信用リスクと金利設定)
 公的保証付き貸出の増加といった企業金融に対する公的支援の強まりは、借り手企業の信用力を銀行の貸出金利に反映させにくくする効果をもつと考えられる。こうした点を検証するため、以下では、より中長期的視点から、借り手企業の信用力と銀行の貸出金利との関係を分析する。
 過去の長期的な信用コスト率と貸出金利との関係を、銀行のクロスセクションデータから確認すると、両者の間には有意な相関はみられない(図表2-25)。また、企業の債務返済力を債務償還年数で測り、これと借入金利子率との関係をみると、債務償還年数にはばらつきが観察される一方、借入金利にはほとんどばらつきがない(図表2-26)。2000 年代入り後、中小企業においてはこの傾向が顕著になっていることが窺われる。これらの分析結果は、金融機関が企業の信用リスクに応じた金利設定を、全体として行ってこなかったことを示していると考えられる。
 その背景の1 つとして考えられるのが、1990 年代末以降、中小企業向け貸出を活性化する目的で導入された各種の金融対策である。この影響を考察するため、中小企業向け貸出に占める公的保証付き貸出の占める比率を業種別に確認すると、債務償還年数が長い業種やデフォルト率の高い業種では、公的保証比率が高い傾向がある(図表2-27、2-28)。
 公的保証は民間金融機関の金融仲介機能を補完し、特に企業倒産を抑制する効果がある。反面、銀行が借り手の本来のリスクに見合った貸出金利を設定できない状態を長期化させ、銀行の基礎的な収益力を低下させ、経済全体の資源配分の効率性に歪みをもたらす可能性がある。
 今回の分析結果が示唆するように、わが国の銀行貸出市場は、価格メカニズムを通じた効率的な資源配分という点で、機能面に大きな課題を抱えているといえる


太字は私によるもの。

 個人的には、これに加えるに、構造的な側面として、オーバーバンキングや小うるさい金融行政、銀行を公益法人とみなす風潮、報道等なども貸出市場を圧迫しており、日本の貸出利ザヤが世界的に異常に低い、つまり銀行はNPO化状態にあると思われる。だからノンバンクが叩き潰されたのである。
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by bank.of.japan | 2009-09-21 12:20 | 金融システム | Comments(21)
BIS自己資本規制強化の考察=取りあえずは景気に配慮
 BISのバーゼル銀行監督委員会が自己資本規制の強化で合意した。夕刊では各社報じているが、日銀仮訳のプレスリリースはこちら。予想された通りに優先株が多い邦銀には厳しい内容となったが、取りあえずは景気への配慮がなされたのは一安心であろう。具体的には以下のところ。
 「実体経済の回復を阻害しないよう、これらの新たな措置を段階的に導入するための適切な実施基準が策定される」
 これが景気が十分に回復して段階的に実施する、という意味であるならば邦銀への影響は大したことはないのではないか、と考えられる。景気が回復していれば株価も安定or上昇基調となっており、ブルマーケットであるならば邦銀の自己資本強化に伴う株式の発行も容易に消化される、と考えられるためだ。
 ただ、個人的には今回の資本強化は、欧米監督当局のある種のポピュリズム的な対応ではないか、と思っている。各国とも金融機関に対する公的資金注入は国民から非難されており、特に英米では政権運営が厳しくなっている。金融規制は政治的パフォーマンスとして強化せざるを得ず、行政当局も監視体制が不備であったことが露呈しており、規制強化に動かざるを得ない。逆説的には、監督の失敗を規制強化にすり替えている面もないではない。
 邦銀も国際基準行であるなら規制に従うしかないのだが、どうしても窮屈であるなら、いっそのこと国際基準行であることを止めるのも手であろう。国際業務といっても、投資銀行業務で上位を狙うのも非現実的でもあるし、海外業務をやっていないのは少し格好悪いけれども、現地で投融資やっても元々そんなに儲かるわけでもないし、当分海外経済は低成長を続けると思われるので、厳しい規制に耐えてやる意味があるのかどうか。国内回帰して足元を固める、というのも一案ではないかとも思うのだが。
 本気で投資銀行業務(国際的なベースで)をやりたい人は、欧米有力投資銀行の本社採用を目指しましょう。

 「儲けたい」というのは人間の本質的な欲望の一つで、欲望の総量を規制でコントロールするのは無理があると私は思っている。規制で押さえ込むと必ず規制の抜け穴から欲望が漏れ出し、金融を歪ませるものである。禁酒法でマフィアが増長したようなケースもあるし。いずれ規制が窮屈になれば、再び見直すことになるのではないか。まあ、そんな相場観である。
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by bank.of.japan | 2009-09-07 22:08 | 金融システム | Comments(4)
感無量です。鈴木さん、ありがとうございます=『巨大銀行の消滅』
 旧長銀最後の頭取を務めた鈴木恒男氏の『巨大銀行の消滅』(東洋経済)。私にとっても、旧長銀の国有化は日銀クラブに配属間もない頃のインタバンク取材で忘れられない出来事で、同書は目を通そうと思っていた。先般、三越前の某書店で手に取った。レジに持って行く前に、あるページをチェックして、しばし立ち尽くした。約10年前に私が書いた論評記事がかなり詳細に紹介されていたからだ。
 旧長銀の知り合いから私の記事が同書に出ていることは知らされていたが、簡単に触れられている程度だろうなあ、と思っていた。ところが、実際には1ページ近く割かれており、驚いた次第であります。関係者の方々の記憶に残る(または面白い)記事を書きたい、と常日頃思っており、あれから10年余りを経て予期せぬ形で思いがかなった格好であり、まさに記者冥利に尽きます。鈴木さん、ありがとうございます。
 本書で取り上げられた「風説に耐えた資金繰り」は、私にとっても記憶に残る記事の一つである。簡単に当時の背景を。インタバンク市場は97年秋、三洋証券の法的破たんで危機的となり、拓銀や山一証券を飲み込んだ。その後は、徐々に落ち着き始めていたが、98年半ばに月刊誌報道で旧長銀が狙い打ちされた。この報道、新味に乏しい内容だったが、扇情見出しの『破たん』が一人歩きしたのである。
 旧長銀の資金繰りはこの報道以降、急速に厳しさを増していった。「風説」というのは怖いものである。たまたま長銀が標的となったが、当時の状況からすると他の大手行も標的となりえた。それが都銀など商業銀行であれば一般預金の引き出しが活発化し、リテールと市場の両面からの締め出し圧力は長銀以上となった公算が大きい。
 長銀の資金繰りをめぐっては新聞やテレビの一部が「来週にも特融へ」とか前打ちを始めていたが、インタバンク取材ではそういう感じはなく、ぎりぎりでつながっている感じであった。資金繰りは10月23日まで貫徹した上での国有化であった。その瞬間を切り取った記事である。

念のため 私の記事は、本書ではロイターの配信となっていたが、これは情報配信のプラットフォーム上の技術的な要因によるものと推察される。
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by bank.of.japan | 2009-05-05 18:46 | 金融システム | Comments(8)
クルーグマン教授vs小林慶一郎氏
 茶話会続きの前にクルーグマン教授の「Japan’s recovery」についての感想を簡単に。このエントリーで、同教授は小林慶一郎氏の主張(日本の不良債権問題の教訓)に深く賛同している。ただ、小林氏の主張のある部分に引っかかってしまった。
 「りそな銀行を国有化し、再生機構も設立し、邦銀が不良債権処理に全力を尽くしたことで、やっと株が上がり、人々はようやく景気回復を迎え入れることができた。それまでは政府が何をやっても苦境を一時しのぐ程度の効果しかなかった」という部分である。クルーグマン教授は、03年以降の景気回復は輸出が主導したものであって銀行は関係ないのではないか、と言っている。まあ、私もそう思う。
 不良債権問題の処理は景気回復の必要条件ではあるが、十分条件ではない。日本は不良債権をほぼ処理して身軽になった。ちょうどそのころ海外は経済がブームになり、不良債権の重荷がかなり取れた日本は輸出主導でフワッと浮いた、そんな感じですかね。もっとも浮いたとは言っても、平均的なものではなく、非製造業は浮揚感乏しかったですが。小林氏も上記のところには回復の条件が整った、という意味を込めたのではないかと私は思っております。
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by bank.of.japan | 2009-04-03 22:24 | 金融システム | Comments(5)
Bailout Cost Exceeds All American Wars=米危機対策費は過去の主要な戦争の総経費を超えた
 英米ブログ巡回で見つけたネタです。場所はこちら。米議会調査局(CRS)が過去の主要な戦争のコストを計算したリポートがあり、その総経費と米政府が昨年打ち出した金融危機対策費を比べたもの。それによると、米主要戦争の総経費はインフレ調整済みで7.2兆ドル(700兆円ぐらい)。これに対して今回の金融危機対策費は8.5兆ドル(850兆円弱)となるそうだ。
 CRSの調査リポートは、それ自体が興味深いので、関心がある方はこちらを参照。ちなみに第二次世界大戦の米出費は2960億ドルで、インフレ調整して現在のコストに引き直すと4.1兆ドルとなるようです。調査対象で最も古い戦争は当たり前だが、独立戦争。これは当時は1億100万ドルで、現在に換算すると18億2500万ドル。あまり経費かかっていないような印象だが、独立前の植民地にとっては負担は重かったのだろうと推測される。南北戦争は面白いことに北軍、南軍別で出ておりますね。現在換算の合計は600億ドルぐらい。なおパナマ侵攻やコソボ紛争は対象外。「戦争」の定義に当てはまらないようなマイナーな事変ということか。
 注意しないといけないのは、危機対策費には債務保証分が含まれており、実際の出費につながるものではないこと。保証した債務が全部紙くずになって保証が実行されたらこういう金額になるよね、というもの。従って、実際の出費はかなり小さいはず。とは言っても一つか二つの戦争級の出費にはなるかもしれないが…。「8.5兆ドル」の計算根拠は私自身はデータがないので何とも言えないのだが、エントリーではこれがソースになっていた。
 まあ、金融危機対策の巨額さを具体的にイメージさせるために、CRSの戦費調査リポートを応用し、さらに対策費がもっともデカクなる数字を持ってきたのがエントリーのミソで、ある意味マスコミ的に面白いネタではあります。そのうちどっかの日系メディアが転電するかもしれないので紹介しました。
 個人的にはCRSのリポートそのものがやっぱり興味深い。できれば当時の経済規模に照らした出費の負担度合いが分かればもっと興味が増した。あと、200年以上前の戦争を現在に置き換えるコスト計算の難しさである。インフレ調整するとしても、当時の物価情勢の正確なデータもないし。この辺の事情はリポート最後の以下の文に苦労がしのばれる。
 「It is difficult to know what it really means to compare costs of the American Revolution to costs of military operations in Iraq when, 230 years ago, the most sophisticated weaponry was a 36-gun frigate that is hardly comparable to a modern $3.5 billion destroyer. Comparisons of costs in inflation adjusted prices, therefore, should not be taken as anything more than a very rough exercise」
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by bank.of.japan | 2009-01-07 22:23 | 金融システム | Comments(7)
銀行リテール内外事情と振り込め詐欺 
 しばらく前の銀行リテールの続き。カテゴリーの「欧州便り」のネタ元になってもらった古い知人の石川氏から最近頂いたメールよりあるエピソードを簡単に紹介したい。

「海外の銀行はよく間違える。デンマーク人の知人が、日本に駐在していた時、ダンスケバンクの口座で、給料を受け取っていた。ある時、トンデモない額の振込があった。デンマーク一の金持ちの資産額に匹敵する額だった。ところが、その友人がびっくりして、連絡する間もなく、同額が取り消されていた。
 あまりにも額が大きいの、銀行もすぐに気がついたに違いない。額があまりにも大きく、わずかの日数にも、かなりの利子がついた。その利子もご丁寧に取り消された。利子が発生したことで、税金が課せられ、その税金分もちゃんと口座に入金されたそうだ。
 これだけ面倒な処理になるのなら最初から間違えないようにすればよいのに、と日本人は考える。ところが、外人には、このミスをしないということが、どうにもできないらしい。
 会社を設立しようとして、税理士の先生と色々打ち合わせをしているが、お金のやり取りについて、銀行口座を通すことが、日本ではかなり一般的だ。それは、銀行は間違えないから、通帳にお金の出入りが記入されていれば、動かぬ証拠になる、という考え方に基づいている。しかし、これは、日本でしか通用しない考え方なのだ、と改めて思った。
 海外は、シンプルだ。日本のATM なんて、振り込みにはじまって、ご丁寧に宝くじまで買えるものもあるが、海外はキャッシュしか下ろせないものがほとんどだ。その代り、自分のお金を引き出すことについては、365日24時間、手数料が取られることはまずない。たまに、お金が入っていないATMもあるけれど」
以上、引用終わり。

 ATMで現金を出し入れし、口座振替とかして、それがリアルタイムで通帳に記録されるのはなかなか凄いことであるとつくづく思う。しかも、海外の感覚ではかなり多額のお金の出し入れ、振込みが可能である。
 もとより、これらのサービスは日本人の現金決済選好に極度に対応したシステムであるのだが、皮肉なことにATMの機能充実化と優れた現金対応は「振り込め詐欺」という犯罪の温床となったわけだ。振り込め詐欺を制度対応で撲滅するには、ATM機能を低下させ、現金対応能力を落とすのが一番である。割の合わない犯罪にしてしまうのである。詐欺犯は、費用対効果を真剣に考える上では合理的でしょうから。
 ただし、我々消費者はサービス劣化には耐えられないので、高度なサービスを維持したまま犯罪を阻止して欲しいと要求する存在である。このしわ寄せは現場の行員、警察を含む行政にいくことになる。

 予断だが、詐欺に狙われる高度なATMシステムをそのままにしての生態認証っていうのは、私はかなり危険ではないかと思うのだが。指紋認証は本人確認としてはそれは最高だろうが、指とか切断されて金が下ろされてしまう。そんな悲惨な事件が起きるんじゃないかと不安になるのだが、考え過ぎであろうか。
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by bank.of.japan | 2008-12-05 22:46 | 金融システム | Comments(27)
NPO的な護送船団サービスの銀行リテールに頭が下がります
 紺ガエルさんのこちらのエントリーに触発されて、最近の経験を踏まえて別な切り口で銀行リテールサービスについての感想を書いてみたい。率直に言うと、窓口対応している行員の方々の努力に頭に下がるわけである。

・きっかけ 最近になって三菱東京UFJ銀行に口座を持つ必要に迫られた。新規口座を作るのは手続きが大変そうなので、旧三和銀行に持っていた口座が使えるかどうかをチェックした。このときの私は、通帳は奇跡的にあったが、キャッシュカードがない、という状況であった。しかも8年間使っていない。残高は360円前後。

ファーストアクション
 口座がある地元支店に電話。この支店は旧三和銀行と住所がいっしょ。で、話が簡単に通じるかと思ったら、旧UFJ銀行の番号にかけて欲しい、と言う。
興味津々の私 「えっ?、住所は旧三和銀行ですよ。東京三菱銀行が廃止されたのでは」
担当者 「この番号は旧東京三菱銀行のコールセンターです。旧UFJ銀行の番号にお掛け下さい」
さらに興味津々の私 「旧三和銀行はどっか別なところに行ったのですか」
担当者 「同じビルの別なフロアーにあります」
納得した私 「なるほど…」
 で、電話したのだが、やっぱり支店に行かないといけない。これは半日仕事。ここでいったん口座起動を断念する。

セカンドアクション
 勤務先近くの三菱東京UFJ銀行支店。前を通ったついでに中に立っていた行員の人に口座の件をちょっと聞く。そしたら、通帳と印鑑持ってくればこの支店でも対応できる、とのこと。何だ、簡単じゃないか。次の日、行ったら奇跡的に窓口も空いており、あっという間に新しい通帳もらう。ここで私は致命的な判断ミスを犯す。担当の方がキャッシュカードの再発行手続きを薦めたのに、わずかな手間を惜しんだ私は別な日にやればいいや、と断ったのであった。

サードアクション
 このエントリーのクライマックスである。まず前置き。銀行支店の窓口は、ガチガチの金融行政、過大なサービスを要求する顧客群、幅広い顧客の取り込みを要求する経営など様々な構造的圧力を一身に背負った現場である。そこでの待ち時間が長いのは日本の宿命。窓口業務の方々は、待たせたいと思って待たせているわけではない。待つほうも待たせる方も精神的に疲弊していく拷問の空間である。私は、自らの判断ミスを激しく悔いながら、キャッシュカードの再発行に向かった。
 行ったら意外に人がいない。これはラッキーと思って、窓口が空くのを待った。窓口は二つ稼動しており、どっちかが空けば私の番であった。座りながら、何気に稼働中の窓口それぞれの会話が耳に入った。
 一つは、おばさんが座っていた。何やら訳のわからないことをぶつぶつと言っている。きれぎれに聞こえる話は要領を得ない、しかも途中から世間話が交じり、用件が進んでいない模様。難しい用件かと思いきや、単なる口座振替のような印象であった。
 もう一つの窓口。こちらは神経質で、ややおかしな感じのオジサン。何やらクレーム付けてるらしい。やれ、電話の応対が悪かっただの、口座のなんちゃらがなんちゃらで、これはあり得ないミスだとか。きれぎれに聞こえる会話から本人がミスと主張する金額は数百円程度と推定されたが、まあ尋常な感じのクレームではなかった。
 ああ、これは待つぞーと観念。30分近く待った。私の要件、簡単に終わりました。対応してくれたのは、おばさんの相手していたお姉さん。子供相手の口調になっていたのには物悲しいものを感じた。私にはこの業務、精神衛生的に務まらないと思った。途中でキレるのは確実である。

 金融リテールサービスは、子供クラスの金融リテラシーを基準にした護送船団方式の対応を余儀なくされ、わずかなミスさえも許されない精神的に苛酷な世界に置かれている。見た限りのサービスが超大赤字であるのは間違いない。
 三和銀行時代の残高360円は新しい通帳では401円となっていた。8年近く口座を維持してくれ、40円の利息まで付けてくれ、さらに通帳&カードも再発行してくれ、行員の方に丁寧な対応までしてくれた。三菱東京UFJ銀行(旧三和銀行時代を含む)の私に対するリテールサービスは滅茶苦茶な赤字である。こんな過剰サービス、恐らく海外ではあり得ない。日本だけである。凄いことである。ありがとうございます。

 先般、振込み詐欺に関する番組を見た。明らかに詐欺に引っかかって振り込もうとするおばあさんを行員の方々が何時間も説得した、というある銀行の対応が紹介されていた。凄い親切である。リテールは本当にNPOですね。投資銀行は核の冬時代に入り、商業銀行は監視強化にさらされるだろう。不採算口座の切捨てを検討しようものなら暴動が起きる恐れがあるのではないか。そんな悪寒もするのこ頃である。
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by bank.of.japan | 2008-11-27 21:34 | 金融システム | Comments(21)
烏合の(欧)衆がやっぱり不安
・緊急と称して首脳陣が集まって会議。でも空振りで終わる。
→不安になった市場は緊急会議に期待を高める。そして空振りに絶望して不安がますます増大する。市場心理の乱高下を招く会議であったように思う。
・ECB 現状維持して利下げをにおわす。
→面子にこだわり過ぎではないのか。足元のインフレ指数の低下を待っているのかもしれないが、足元の指数は遅行指標。バックワードルッキングに陥った感あり。どんどん利下げしていかないとね。
・国によってプルーデンス政策がバラバラなっておる。
→自国の金融システムを守るために債務を保護するのは国として当然。でも、金融政策は一つである。そんな中でプルーデンスがバラバラになったら、安全を求めてマネーが右往左往するであろう。金には本来、色はないのだが、プルーデンス政策がバラバラでは色が付いてしまうことになる。色を一緒しないといけないECBの調節に妙な歪が生じてしまうだろう。

何度も指摘してきたが、金融政策は一本なのに国がバラバラの欧州は矛盾をはらんだ合成通貨国である。景気がバラ色のときには矛盾は露呈しないが、景気が悪化していく(しかもバブル崩壊を伴う)ときには矛盾が露呈し、通貨バラバラ化の危機がくすぶり始める。
 欧州が烏合の衆になっていくのは心配だ。まあ、どんなに酷いことになってもドルの信認さえ維持できればよいのだが…。どうなることやら。


FRB、準備預金(正確には超過準備)に付利決定。これで思いっきり金打ち込める。ただし、B/Sは膨張するが。そういえばドル銀行券が増大しているようです。予備的資金需要(タンス預金化)なのだろうか。
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by bank.of.japan | 2008-10-06 21:46 | 金融システム | Comments(15)


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