現在の膨大な資金供給は(次なる)バブルの温床にはならない(お知らせを追加)
お知らせ 明日の物国入札は中止です。財務省のこちらです。まあ、人気ないですし、このまま無期限に中止(事実上の廃止)でいいんじゃないですか。健全な成長に伴う物価の健全な上昇は見込めず、ヘッジニーズも見込めないですし。

 本日の「大機小機」。うなずけるところもあったが、首を傾げるところもあった。後者としては「(中央銀行による現在の)膨大な資金供給は再び金余りを招き、資産バブルの温床となる。一時しのぎが制御不能の怪物をつくる繰り返しだ」という部分。本当にバブルになるならバブル崩壊の傷が癒えちゃうので、そうなって欲しいのだが、残念ながらそうはいかない。
 各国中央銀行が必死に流動性供給しているのは、リーマン法的破たんでカウンターパーティリスクが増大し、インタバンクでの資金取引(特にターム物)がほぼ枯渇したため。つまり金融機関の資金繰りニーズが急激に増大し、まあ必要に迫られて潤沢に資金を供給しているに過ぎない。
 これを金融政策運営の面から説明すると、流動性がほぼ枯渇した中、資金を必要とする金融機関は金が取れるまでビッドアップしていく。この結果、多くの中央銀行が誘導目標にしている短期金利はどんどん上がっていく。放置すると利上げ状態になってしまう。中央銀行が金融政策スタンスを一定に保ちたいと思うなら、潤沢に資金を供給しないといけないわけだ。これは金融政策を遂行する上でも潤沢な資金供給が必要になることを意味する。
 で、その後である。資金取引が正常化し、流動性が復活したら、中央銀行は大量供給を止める、ないしは過剰になった資金を回収する。この結果、インタバンクからは過剰な流動性はなくなることになる。さらに細かいことを言えば、これまた何度か説明しているが、資金需給のひっ迫状況にもよるが、一般的には潤沢に資金を供給する(これはターム物になることが多い)一方で、資金は吸収されており、「潤沢供給」を合計した金額がそのまま放置されているわけではない。FRBが超過準備に付利したのは、金利が過度に低下するのを防ぐための資金吸収が目的である。
 バブル崩壊に煽られたのか「過剰流動性」という言葉が独り歩きして、化け物扱いされている感じなんだが、過去数年間のバブルは別に中央銀行が過剰に流動性を供給したから発生したわけではない。金利水準はもしかしたら実体経済に対して低めであったかもしれないが、仮に高めであればバブルが防げたかと言えば、これまた何度も指摘しているようにバブルを金融政策で制御するのは難しいわけである。
[PR]
by bank.of.japan | 2008-10-07 21:55 | 大機小機 | Comments(20)
Commented by ばんくら at 2008-10-07 22:20 x
いつも示唆に富む記事ありがとうございます。「正常化し取引が再開したら」とありますが、それをオンゴーイングで判断するのが難しいのではないでしょうか。
Commented by bank.of.japan at 2008-10-07 22:32
ばんくらさん、どうもです。ひっ迫度合いは足元含めた各種の市場金利(LIBORやTIBOR)動向で判断がある程度可能と思われます。落ち着けば金利は低下します。あと、日銀の場合はオフサイトヒアリングでかなり細かく個別金融機関の資金繰り状況を把握しているので、かなり先読みは可能です。まあ、年末越えるまではひっ迫は確実でしょう。3ヵ月ごとに金繰りのピークが到来するので、そのピークが激化するか、落ち着くかが判断のしどころであろうと思われます。
Commented at 2008-10-07 23:03 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 植田日銀総裁 at 2008-10-07 23:05 x
過剰流動性の正体は(正確ではないかもしれませんが)「含み益とそれをもとにした信用創造により生み出された何倍にもレバレッジのかかったマネー」と言い換えても良いと思っております。現在のレバレッジを解消している過程では、中央銀行が資金供給しても過剰流動性は生み出されませんね。要は中銀とリアルマネーだけの世界です。
その後正常化した時には、再びわずかでしょうが信用創造すなわちレバレッジ取引が開始されることになるので、その時流動性は復活すると思いますが、ただ”過剰流動性”には程遠いでしょう。
しかしヨーロッパ、本当にマズイですね。先週は意外な対応の早さに驚きましたが、結局ダメでした。これならアメリカの方がまだ安心して見ていられます。
Commented by だめりん at 2008-10-08 01:06 x
物国入札は中止ですが、人気のないのは、日銀の資金供給不足ではないですか?
BEIが猛烈マイナスになっているのは、日銀の緩和スタンスがないからでしょう。
こんな市場からのメッセージを無視していいんでしょうか。
Commented by 飛車 at 2008-10-08 01:10 x
というか最初の発言者の人は、過剰流動性の過剰が、何がどの基準に対して過剰なのか定義してくれませんかね。でないと、議論する際に、いちいち植田日銀総裁さんのように、自分で定義しなければならないわけで。
Commented by 北の書生もどき at 2008-10-08 01:23 x
文脈切ってスミマセン。
ご参考記事・・・麻生総理に”指示”されてしまった白川総裁。
まぁ、独立性がどうのと言っている場合ではないですね(苦笑)
Commented by PK at 2008-10-08 09:34 x
資産価値というのは、テキストの形成が一番大事で、しかも評価が繰り返されている状態をつくるべきで、
日本は学者の世界も含めて、テキストを形成するのが下手で、週刊誌・ワイドショー的しかも、一時期に集中するので、バブルをつくりやすい体質。ただ、仕組みを作ると真面目に運用する。中古車市場などが良い例で、外人も入ってくる。中古住宅市場もこうありたい。そうすれば外人も入りやすくなる。
少子高齢化を考えた時、円を少しでも決済通貨として使ってもらうには、国内に良質な資産市場を持っていないとダメだし、家計の変化への対応力をつけるにも重要。中古住宅市場で形成された評価基準は新築住宅にも反映されるようになる。
Commented by Baatarism at 2008-10-08 10:07 x
飛車さんの言うとおり、「過剰流動性」というのもきちんと定義して使わないと、バズワードになってしまいますね。この言葉がニュースに出てきたら、注意して読んだ方が良さそうですね。
Commented by とおりすがり at 2008-10-08 10:56 x
横レスで申し訳ありませんが、、ペイオフについてはどう考えてるんでしょうか。日本は安定しているのは確かだでしょうが、先手を打っておくほうが吉なんでしょうけど。
Commented by PK at 2008-10-08 17:12 x
日本が心配すべきなのは、バブルよりもマルクス主義だと思うね。
戦前の日本が末期にマルクスに染まったことが隠されているので、なぜ戦争に至ったのかが反省されていない。今の状況は、戦争に突き進むのと全く同じ状況。民主党が政権を取れば現実適応力を消失して予測不能になる。東アジア共同体を進めている左翼の連中なんて基地外だ。
何の疑いも無くアジアに突き進んでいる。ぞっとするよ。
Commented by 断続介入 at 2008-10-08 17:38 x
日経が900円超下げるような状況では,さすがに円高放置はまずくなってきたと政府が思ったのでしょうね。3月は放置プレーでしたが今回はそうは行かない。
Commented by カルパース at 2008-10-08 22:28 x
皆さん日本は大丈夫ですよって何回もいってるのに、あおるなよ。ペイオフだとか、どこにも日本の金融機関が破綻する兆しはないでしょ。
ここで何度もいてるけど経済はバランスです。円高を問題視する状況ではない。ちょっと前まで輸入物価ていってたじゃん。日本の製造業はいくらでも、もっと困難な局面耐えてますので問題なし、むしろ異常な資源価格の上昇が緩和されたことをプラスと見るべき。
で中期的に見ればマネーは米国債とか、ちょっと前にはカス扱いされたJGBからいずれでていきますよ。年金Fとか機関投資家は決算前に売れるわけないので。この下げは資金に窮したヘッジFの断末魔でしょ。今日9000円われで、終わりですよ。
ちなみに過剰流動性の放置については日々の資金繰りではなく、長期に出た金がレバレッジもったので、今回の議論は日々バランスの議論ではないことを言っておきます。
Commented by カルパース at 2008-10-08 23:04 x
で政策当局は今こそ総力戦です。BOJは金融緩和(当然一気に強調利下げです)、金融庁は今回のような異常な株価の動きを注視しSECと一緒に市場監視(この期に及んで銀行いじめるなよ。)郵政、厚生は財務省の意向関係なくファンド資金を一気に株に振り向けること、国債を叩き売って、ポートの中身を替えて、株買い、債券売りのオペレーションをSWFとして実施しましょう。今なら「質への逃避」一気にやれば売られません。
むしろ長期的に見てだめだめ財投から成長セクターへの資金投入はプラスでしょ。勝つ今は割安なので買い時です。もっといえば簡保はアリコ買収したら、郵政は米銀に投資して一気に国際化を図る、コクミンにとっては、財投機関というカスにしか投資できない、この郵政機関の積極投資はプラスでしょ。SWF積極活用の民主党の政策にもあってます。
外務はアラブ、ロシア、中国と強調耐性を取ることに注力し最終局面に備えることだよ。
Commented by 即身成仏 at 2008-10-09 00:29 x
>郵政は米銀に投資して一気に国際化を図る、コクミンにとっては、財投機関というカスにしか投資できない、この郵政機関の積極投資はプラスでしょ。

郵貯にそれだけの人材が居るのかねえ?
慣れない投資信託をこれまた保守的な郵貯利用者に売ってみたものの、片っ端から損させて、預金がかなり流出してるって聞いたけどねえ。
既に萎縮しちまってなきゃ良いけど。
Commented by bank.of.japan at 2008-10-09 01:25
非公開さん、どうもです。バブル制御に踏み込む金融政策の在り方は、現時的にはかなり無謀な上げ下げが必要と考えられます。グリーンスパンにせよ多少利上げのピッチを上げるぐらいしか出来なかったのかもしれません。

植田日銀総裁さん、どうもです。ご指摘の内容に同感です。潤沢な資金供給が勘違いされたのでしょう。困ったもので。

だめりんさん、どうもです。ご指摘の件は理解できます。加えて需給要因もかなり大きいようです。

飛車さん、どうもです。コラム内では明確な定義ではなく、単に各中銀の潤沢供給が過剰流動性である、という位置づけでありました。

Baatarismさん、どうもです。バブル崩壊に懲りてバブルを連想させるあらゆる用語が危険視される風潮なのかもしれません。要注意です。
Commented by bank.of.japan at 2008-10-09 01:29
北の書生もどきさん、どうもです。指示は言葉のあやみたいなものだったかもしれません。もとより各中銀、何かやるつもりだったのでありましょう。

PKさん、どうもです。日本人の行動がワンパターン化しやすいのはそうかもしれません。海外でもありがちではあると思いますが。

とおりすがりさん、どうもです。今はまだ大丈夫だとしても、今後の展開次第ではペイオフの実行は難しいでしょう。ダメな銀行が出現したら、ペイオフを避ける方法が模索されそうです。
Commented by bank.of.japan at 2008-10-09 01:36
断続介入さん、どうもです。ドル安に歯止めかからないと介入は必至でしょう。この局面ではあり得ると思います。

かるパースさん、どうもです。日本は相対的には大丈夫とは思います。ただ、絶対にそうだとも言い切る自信もなく、一抹の不安はぬぐえません。とりあえずのセリングクライマックスになったとは思いますが、どうでしょう。政策総動員はそのとおりで、郵貯なども駆使するかは、まあ長期的視野ではいいチャンスかもとは思いますね。民間パニックのときの当局の介入が得てしてプラス益になるのは経験則として当てはまりそうです。100%の成功は保障しませんが。
Commented by とおりすがり at 2008-10-10 14:18 x
ここは、多くの人が見ていますから、煽るつもりは無くすみません。
私が心配しているのは、一兆円以上利益を上げてきた大銀行ではなく、地方の信金など疲弊しているところが多いから、そこから話が大きくなると、、、ってことです。日本は一度バブル崩壊を経験してそれを乗り越えたから大丈夫ってのは、地方には通用しない。あの時は余力が有り、そこをバッファーとして切り離せたから耐えられたのだと思いますが、今度は無駄がないので、、直接ダメージが来ると困るなと思っています。
Commented by PK at 2008-10-11 17:16 x
米国金融危機の解決策

まず直接金融の間接金融化 
個人などの保有する証券を適当に割引いて銀行に預けて代わりに預金を作る
FRBは、銀行から米国債を受け入などでドルを豚積みさせる
中国に米国債を買い支えさせる
少しづつ、直接金融を拡大する
<< 6中銀利下げの雑感 烏合の(欧)衆がやっぱり不安 >>


無料アクセス解析