米財務省の(FRBの)代理吸収としての国債発行(追記あり)
 下の下のエントリーで日之出さんから「もしかして米財務省がFRBの代わりにドルを吸収することは可能なのでしょうか?」とのコメントを頂いた件について、簡単に解説します。AIGへの巨額融資が決定された前後に米財務省は「Treasury Announces Supplementary Financing Program」と題する決定を行った。場所はこちら
 米FRBの要請を受けて国債(短期物)を臨時で追加発行するというもの。これは市場への流動性供給やら、AIGへの融資など大量の金を出さないといけないFRBの調節上の困難を緩和するため。これは突き詰めると、FRBが機動的な吸収手段を持たないことに起因する。このことは過去何度か触れたが、ポイントを簡単に整理すると以下の通り。
・AIGに融資するにしても、FRB(NY連銀)は資金を調達(市場から吸収)する手段がない
・大量に供給しても市場から機動的に資金を吸収できない(もっぱら保有国債の売り切り)
・財務省が代わりに国債を発行する(これは財政による吸収→日本でも国債発行日は資金不足要因)
・国債発行で調達した資金はFRBの政府預金口座に入れる(多分)。これは融資の財源にもなる。

技術的問題点
・国債発行はマクロ的な資金吸収に貢献するが、即時発行とかまでの機動性がないため、ざっくり吸収になる
・金融ひっ迫が薄らぎ、積み上がった超過準備が市場に流れるとき、うまく吸収できずに金利が下がりやすい(今もこの傾向が出ている)。場合によってはゼロ金利になる場面も。量的緩和に見えるかもしれない(金融政策がゼロ金利なれば問題ない・余剰な金は放置プレイ)
・国債発行(コストを払った調達)した金をFRBに預金しても金利が付かないので逆ザヤになる

今後想定される対応
・準備預金(or超過準備)への付利(この金利がインタバンクのフロアになる)。いくらでも超過準備積める。金利付き量的緩和に見えるかも。

凄い点
・FRBの苦境に財務省がすかさず協力する連携プレーの良さ(これは日本では考えにくい)
・日銀の「売手」は凄い(ダサいとの見方もあるが)。

追記 「融資の財源になる」部分は不正確な可能性もあるので、横線しておきます。正確なところが分かれば改めて記したいと思います。この点を指摘していただき、ありがとうございます。
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by bank.of.japan | 2008-09-22 23:22 | マーケット | Comments(17)
Commented by EURO SELLER at 2008-09-23 02:24 x
>FRBの政府預金口座
いわゆるTT&L勘定から地区連銀のFederal Reserve Accountに移動し,ついでNY連銀のFederal Reserve Accountに集約されるのでしたかね。
連携のよさは見事です。日本も金融庁は日銀に吸収する。経済財政担当大臣は廃止。日銀と財務省に2大集約したほうが良いと思います。
Commented by ぽろ at 2008-09-23 06:39 x
旧大蔵省が分解されたのを今更どうこうするってのもどうかと思います。

中国、ロシア、もともとこの二つは金産出国なので金本位制の共通通貨を作るといっているそうである。
中国は米国債を支える一方、金は国外に出さないらしい。
ソース貼れませんでした・・・。
Putin calls for changing the architecture of the international financial system
20.09.2008, 17.56

China's proven gold reserves ranks seventh in the world
15:24, May 05, 2008
Commented by PK at 2008-09-23 09:29 x
成長経済でなくなった日本経済は、交換経済が中心になるので、
日銀に金融庁つけないと、市場経済での資産価値の変動を管理できない。
公正取引委員会も市場を分析設計するような機能もつけて、消費者庁なども合わせたほうがいい
Commented by 植田日銀総裁 at 2008-09-23 09:46 x
今後アメリカでも、かつての日本のように民間銀行が必要もないのに国債を一時的にファンディングするだけのような、いらないお金でも持ってて頂戴的な量的緩和が実現するんでしょうかね。運用先がなくて困っている状況と量的緩和が重なり、かつ長期間続いたので、実はそれがその後、欧米銀行が日本で資金調達しやすくなる土壌をつくったような気がします。いわゆる円キャリーが盛んになり、それはレバレッジ経営における調達の一部となった。
今のところFRBは国に代わって公的な資金供給を一手に引き受けてバランスシートを拡大している感じで、国全体のバランスシート拡大の一部という印象です。今後日本のような量的緩和状態にはならないような気がしています。
Commented by PK at 2008-09-23 12:16 x
米国の投資銀行モデルが破綻したのは、米国が指標やメディアで市場を操作しすぎたからだ。だから資産価格変動の連動性が高くなって、手に負えなくなったのだ。指標を操作しなければ、投資銀行モデルはずっと生きながらえる。言語の作用と同じだ。
米国がモデルを投げたなら、改良して使え。日本的大衆投資銀行モデルのチャンス。
Commented by at 2008-09-24 01:18 x
中央銀行債は?
Commented by 教えて頂きたいのですが・・・ at 2008-09-24 18:03 x
エントリーの中で「・国債発行で調達した資金はFRBの政府預金口座に入れる(多分)。これは融資の財源にもなる。」と記されています。「政府預金口座に入れる」のはご指摘の通りと思いますが、後段の「融資の財源にもなる」というのは、どういうメカニズムによるものなのでしょうか?
中銀は、財源なしに信用創造しうる主体なのでないでしょうか?つまり、中銀のバランスシート上では、資産側の(民間金融機関への)融資に見合って、負債側の民間預金(もしくは現金)が増減するのでないでしょうか?ことによると、日米では、その辺りの構造が異なるのでしょうか?
Commented by bank.of.japan at 2008-09-24 23:49 x
EURO SELLERさん、どうもです。国債発行後の資金フローは直感的に思ったことで、「教えて頂きたいのですが」さんのご質問もああったので、この点は改めて確認させてください。
 連携は素早いです。恐らくFRBが既に政府預金への付利をかねて要望しており、技術的な問題点を財務省が理解していたからもしれません。流動性危機が起きると、金融監督は日銀に集約した方がやりやすいのは確かです。行政権限がないですが。

ぽろさん、どうもです。ドルを機軸とする管理通貨制度がゆれる中、金本位制は一つのアイデアであると思いますが、金産出国とはいっても無限に金があるわけではないので、成長の壁に突き当たる気がしないでもないです。どうなんでしょう。

PKさん、どうもです。交換経済の概念がつかみにくいです。すいません。
Commented by bank.of.japan at 2008-09-24 23:58 x
植田日銀総裁さん、どうもです。米国がデフレに突入し、金融機関が極度の運用難になれば量的緩和あるかもしれません。ただ、MMFは大事みたいなので、準備預金付利で金利プラスは維持する可能性もありそうです。

ささん、どうもです。売手=中央銀行債という理解でよいと思います。FRBは法律上は負債を発行できないようです。

教えて頂きたいのですが・・・さん、どうもです。信用創造機能はご指摘の通りで、石ころでも買えます。AIGが取引先ではなく、連銀には恐らく口座がないので預金も増えないしなあ、と思って早とちりした説明になったかもしれません。改めて確認させてください。すいません。
Commented by かるパース at 2008-09-25 00:02 x
お答えします。日米同じです。で財政政策がまったく有効でない場合の金融政策の有効性は、おっしゃるように考えれば全く意味がありません。貴兄たちとマスコミは全て政府とか金融機関とかが、水戸黄門のようにやってくれて、何もしなくても日本はよくなるくと思っている状況では何も変わりません。
時間的差異を作ってあげてる間に、あなた方ががんばらなければ、日本経済は破綻します。ただそれだけです。モルヒネ打ってやるからその間に自分で、生きる気力を振り絞って努力しろよ。でそれでよくなってくれるはずだというのが金融政策です。金融政策の有効性は政治家でも官僚のせいでもなく、あんたらコクミンと民間企業のやる気にかかってます。
あとはあほなバンカーかな。
おまえらなんだよ。日本を背負ったたつのは。
Commented by bank.of.japan at 2008-09-25 00:19 x
かるパースさん、どうもです。中央銀行が出来て300年ぐらいでしたっけ。最初は金融政策という概念はなく、意識されたのはここ数十年でしょうか。私は経済学徒ではなく、金融政策の本質めいたことを言うと多方面から怒られるのですが、中央銀行は決済とか調節とか発券とか実務的なところをきちんとこなせばよいのであって、経済物価情勢のコントロール面はさほど期待してはいけないのではないかと達観したりします。その意味では、経済を中長期的に成長させるのはご指摘のように民間なのだと思います。ただ、個々の人・企業はともかく全体として努力して将来を切り開けるかどうかはよくわかりません。頑張って精神的に疲弊して病むよりは、緩やかに衰退する道もありかな、と思います。
Commented by かるパース at 2008-09-25 00:26 x
早々のコメントありがとうございます。過度な期待はおっしゃるように、限界があります。将来を切り開くということは長期的な視点です。なのでもしも不治の病であればその必要はないですし、回復の可能性があれば何とかと思うのですが。
確かに多分金融政策は麻酔医みたいなもので、あと内外科医もしくは精神科医の世界ですが、総合医療の奇跡を信じたいものです。特にイーグル君については。
Commented by 小野(東京都 港区) at 2008-09-25 00:49 x
> 金融庁は日銀に吸収する。・・・・・どころか「財務大臣、”兼” 金融担当大臣」になってもぅた(汗)

とはいえまぁ、
「憲政史上最短めざしそうな内閣(麻生氏=政界のウサイン・ボルト?)」ってことの
ようですし、その点ではさほど「気にしつづける必要も無い(=時間の問題)」って
ことなのかもしれませんが。(また、それ以前にそもそも「怖くて選挙もやれない与党」だし。)


・・・・・「日本がよくなる」とも「水戸黄門がいる」とも思いません。両方とも「政治家達の常套句」
だと
言う気もします。(某野党の、名誉顧問とか何とか) いっそ「モルヒネもきっちゃえば」
なんてことも考えなくも無いですが(、本当にスイマセン)、もし本当にそうなっても
「 (日銀のおかげと)気付くひとなんてほとんどいないんじゃないか? 」という
感じもしてならないです、たとえそれが「突然死で”無くとも”」。(むろん政治家等も含め。)
Commented by 小野(東京都 港区) at 2008-09-25 00:57 x
また、いまや「やめちゃって」こまったりたいへんなのは、”日本だけじゃあ無い”
って
ことなのかもしれませんし。コレも政治家には(、今の政治家って意味ですがもちろん)
”ぜんぜん”、ちっとも わかってないんではないだろうか。欧米が金融でオカシクなってる
中、自分ら
が1番偉い、みたぃになんか超勘違い。 ほんとうにムカつきます。ロイター等で
「(麻生氏の)旧来型・財政出動に傾きがちでは」、って懸念以前に(金融担当相兼務で)
じゅうぶん、って気もした昨日、 でした。ヤッパリ「修正資本主義だらけ」なんじゃないかな。
Commented at 2008-09-27 03:06 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2008-09-27 09:00 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by bank.of.japan at 2008-09-29 22:27
非公開さん、どうもです。解説ありがとうございます。やはり私の早とちりであったように思います。ご指摘の通りですね。
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