福田首相の辞任。これはびっくりでしたね。まあ、経済&金融市場への影響は軽微でありましょう。日本経済にとっては政局よりも世界経済の行方が重要です。米国のソフトランディングを祈りましょう。原油、着々と下げており、安堵。もっと下がれ、ですね。
ご覧になったマーケット関係者も多いと思うが、8月28日付の「経済教室」は興味深い内容であった。筆者は、明治学院大学の神門教授。穀物の高騰を受けた食糧自給率の向上に異を唱えたもので、「通説に挑む」というサブタイトルが付いていたが、通説(食糧自給率高めるべし)を疑わせるに十分な説得力があったように思う。かなり面白いと思った。主なポイントは以下の通り。 ・世界的な食糧不足との認識は誤り→戦後、一貫して世界的な人口は増大し続けたが、穀物生産も伸び続けた。食糧不安はむしろ60-70年代の方が大きく、その時代ですらも技術向上で穀物生産の伸びは人口増を上回った。最近、相場は上がったと言っても80年代の平均水準に届かず、短期変動に範囲内ともみなせる。 ・自給率向上では消費者ニーズは満たせない(飽食の日本だから。特にカロリーベースだけならイモを増やせばいい。でも、それじゃあグルメ族は満足せんでしょう=私は平気・苦笑) ・農業の真の危機は、自給率低下ではなく、農地利用の崩壊にある(農外転用を当て込んだ農地保有が蔓延。農業に長けた者に農地が集積するという市場機能が働かない)。 ・食糧自給率の低さに焦点を当てて食糧不安をあおる議論が横行するのは不幸な事態だ。 飢餓への恐怖は人間の本源的なものであり、同教授が言うように「(食糧に絡む)議論は情緒的になりがちで、無用の混乱を招きやすい」もの。これはまさにその通りで、なるべく数字に基づいた冷静な議論が必要なのであろう。私は、食糧安保的な観点で、国内農業はある程度守る必要があるとは思っているが、これとてコストの問題であって、農業保護のために国民のエンゲル係数が大幅に上がる(or財政負担が増大)のは本末転倒。可能な限り生産性が上昇する仕組みを考えるのが必要なんだろう。 教授の指摘が正しいと、穀物価格はかなり下がりそうですね。
by bank.of.japan
| 2008-09-02 21:58
| 経済
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Comments(13)
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小野(東京都 港区)
at 2008-09-02 23:14
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60-70年代の食料不安をのりこえられたのは、多分ですが「緑の革命」がおおきかったん
ではないでしょうか。御指摘の「経済教室」を私はまだ目にしていない為、その 不安が国内か国外かもよくぞんじあげないんですが (あるいは御投稿の見落としにすぎないかもしれませんが、すいません) それと、時期的にオレンジや牛肉輸入問題の頃(即ち国内)の事かもしれません。 田舎出身という事もあってか父方母方共に親戚の多くが農漁業で、しかも伯父は とっくに退職(天下り?笑)しましたが農水省等といった事もありまして(汗) 最初の「緑の革命」については余計だったかもしれませんがURLにも載せさせて 頂きました。すいません。
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bank.of.japan
at 2008-09-03 00:27
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小野さん、どうもです。技術革新はご指摘の通りかもしれません。参考にさせてもらいます。
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小野(東京都 港区)
at 2008-09-03 00:29
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自給率低下でなく農地利用の崩壊という御意見は私も大いに賛成です(意外かもしれませんが?)
地方では、議員や公務員(前者も同じですが。後で付加えます)が兼業で農業やってる と いうのは当り前。使いたくないがネットの2ch等の表現を借りれば「趣味や手なぐさみ」 って感じでしかも?? (それでも副収入にはなると異口同音に。例の補助金農政等も多少関わってるのかも?) 民主渡部名誉顧問等は(例えばある看護士の方の例等あげ) 「そんでも大変な事に変わりはないんだ!」等と よくおっしゃってらっしゃる様ですが、いずれにせよ、自給率につながる様な感じとは とても。その後 私がまだ田舎に居たじぶんより更に地方(日本各地の)は落込んでるといった話も聞きます ので、いまの様な「兼業」それ自体激減してしまってる、ということかもしれませんが。 でも1番、違和感感じる(?)のは、「海外の多くは地方議員はボランティア」なのに 日本は(、それも結構はんぱなぃ)給与得てらっしゃる(、それで兼業農家)って点。 お爺さんが議員お母さんが役所(役場)お父さんは実家の家業息子娘も勤め人 (それで農業)・・・urlも御覧下さい
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luke_randomwalker
at 2008-09-03 01:05
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穀物の先物価格は、もう既にかなり下がっているという話もあるようです。
ttp://d.hatena.ne.jp/yumyum2/20080811/p3 > 農業に長けた者に農地が集積するという市場機能が働かない これは、まさに大問題ですね。「家業を継がせる」という発想では後継者が見つからないのは確実で、農地が流動化せず固定したまま農業に携わる人はどんどん高齢化していく。 ttp://www.maff.go.jp/koreisyahan/c.htm 20年前に50代だったピークが、10年前は60代、現在は70代。 そろそろ限界ではないでしょうか。
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小野(どうも有難うございます)
at 2008-09-03 01:28
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たまたま投稿してる最中でした、大抵急いで投稿しており中々気付きませんで本当にすいません。
海外のfarmerに対し日本はpeasantらしいです。前農地解放の御投稿の際 投稿しようかとも思ったのですがこの話はつい長くなりそうで控えました(笑) 当時の思想やGHQの御意向もですが元々日本はそれまでずっとpeasant即ち農民 1人単位の農業だったと基本は。田植えやその更にずっと以前荘園等のイメージも ありますが、それでも本質的に海外の農園の、即ちfarmerとは違うのだと。武士の 「一所懸命」等とも関連あったかもしれません、我が国の場合武士さえ半農~が 封建時代最後期まで存在してた位ですしね、あの信長の大名運営策以降でさえ。
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小野(東京都 港区)
at 2008-09-03 01:30
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支配層でさえ農業に携わり続けるといった点も大きな特徴だったかもしれません。
個人的には、前もどこかで投稿させて頂きましたが、それぞれの国々での 戦争(というか広い意味では国力?)や、その結果としての農地や農業のありかた と 言う事の様だという気もしてます。海外進出→新大陸等極めて広大な大地(奴隷) あるいはまた 中国等(日本以外ごく一般的な?)の中央集権制と当時の第1次産品の生産流通の 仕方。 そうした農業では無しでもやって行けてたらしい日本は。ただ、その後、特に 戦後ですが、日本に限らず 他の国々でもいっせいに「人口爆発」という状態が生じた。日本以外の途上国 等では「緑の革命」が必要だったが、でも日本は高度成長~輸出で稼ぎ十二分に やってゆけてたと。 それでも (その輸出の稼ぎという事もあってか?)牛肉オレンジ等の 輸入開放迫られ応じ結果益々食の欧米化進みカロリーベースも更に激増・・・と。
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小野(東京都 港区)
at 2008-09-03 01:55
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個人的には、他国はいざしらず日本に限っては、ヒトの根源的な飢餓の恐怖より
これまでと同様「輸出で稼ぐ」が通用しなくなりつつあるのでは?って不安の 方ではないかという気もしてます。 先週NHKですが榊原英資教授が、例の「交易条件」って奴で日本は20兆ものマイナス、 ここ数年では何と60兆もの膨大な損失、これではこれまでと全く正反対 「輸出すればする程損」だと。 その後の「今後円高傾向増せば保有するドル資産で資源等(食料も!?)買い捲るべき」 や 「以前の様なODAを資源国第1次産品輸出国へ」はさすがにんんーっと考え込んで 素直に納得も出来ませんでしたが。 恐らくは(食料品(や資源)それ自体もだがそれ以上に?)農地鉱脈等々を(保有ドル資産で) と いう意味合いの方が当然(?)大きかったのかもしれないが、それらを売却する 様な国々がそれ程存在するとも思われず。そうした状況真に到来した時点だけで なく今現在でも。
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小野(東京都 港区)
at 2008-09-03 02:26
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まして食料品や資源買い続けるというのもいつまで続くものやらはたして。
結果、榊原教授の御指摘もやはり今現在の「輸出で稼ぐ」無しにしょせん 成立は しないという事なのでは?等と。 好む好まざるに関わらず、また(今後?)得手不得手が どう変わりどうであろうとも日本はやはり「輸出で勝負」以外無いのではと。 あとちなみに、ですが 中国もだったと思いますがガソリンに補助金(で安くしてた国)って結構存在 するらしいですね(=それで消費量激増)。 今後は判りませんが。 あとすいません。もう1つ。 > 「今後円高傾向増せば保有するドル資産で資源等(食料も!?)買い捲るべき」 は 円高&ドル高の(今の様な状態で、)保有ドル資産で買い捲ると書くべきでした。
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小野(昨夜は6つも投稿しすい
at 2008-09-03 12:43
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ません、)2つめの(地方の)公務員の「兼業」ですが、農業などは公務員法で、
確か地方公務員法ではなかったでしょうか、なんとゆるされてるんだそうです。 条項とか正式な法律名等は忘れましたが直接数年まえですが関係省庁にも電話で 確認した事も あります。たまたま御丁寧な方だった事もあり、また関心も持たれたのかかなり 詳細に御説明して頂きました。 農地等や従事者の、存続等が当初の意図だったとかそういう事だったかもしれません が(その際詳細にメモしたものもある筈なのですが、今手元に無いもので。)、現在一体 どうなんでしょうか? 3つめの信長の~というのは正しくは「鉢植(はちうえ)大名」等と 表現されてる様です。のちの「国替え」だと思いますが、それでも武士の多くは 封建時代の終りまで農業もやってたと。一方日本以外では 近代前から農村の崩壊から 「流民」の都市大量流入が顕著だったと。日本も有りましたが日本以外では都市の 成立にも繋がってた位だと。 日本の農業は規模は小さいが結構1人1人主体的な農業だった等とも言われてる様です。 (農民1人単位の は間違い)
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うどん蹴りχ
at 2008-09-03 14:15
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この記事は私も興味深く読みました。
とりあえず ・優良な農地ほど転用したほうが土地の価格が上がってしまう傾向がある。 ・一旦転用された土地をまた元通りの(同等の生産性を持つ)農地に戻そうとすると、10年前後かかる。 ということを付け加えておきます。
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公無員
at 2008-09-03 17:55
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食料安全保障への視点を忘れてないか。
日本は輸出偏重で自縄自縛になってるが、経済至上主義も程々にしないとな。
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bank.of.japan at 2008-09-03 22:19
luke_randomwalkerさん、どうもです。跡継ぎがなくて農地が固定化する、というのはまさに私の実家がそうです。私(=長男)は死ぬ前にどうすればよいのか、悩みますね。
うどん蹴りχさん、どうもです。ご指摘、多謝です。農地に戻すのも大変なんですね。 公務員さん、どうもです。食糧安保は欠かせない視点なのがその通りです。もとより、市場経済は失敗が付き物なので、まあバランスの取り方が問題なのだと思います。 小野さん、どうもです。うちの場合、公務員で兼業農家でした。振り返ってみれば、超シンドイわりに自家消費で終わった感じです。実家の周辺、専業農家はほとんどおらず、跡継ぎもなく、限界集落と化しつつあります。このまま廃れていくのだろうと思います。どうしようもないですね。
農家は「日本の農業を守りたい」と言っている割りには、農地外転用を望んであたら適農地に雑草を茂らせてダメにしているのですか・・・私はいい加減に農民性善説と老人性善説はもうやめにしてほしいと思っています。
そもそも私が子供の頃(二十数年前)に聞かされた昔話では、大抵百姓と年寄というのは、頑迷でケチと相場が決まっていたのに、なんかここ二十年で急速に彼等が神格化さされてしまったようなきがしてなりません。
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