この議事録では、永島理事(国際担当)の説明が細かいことが目に付いた。細かいというか、為替の動いた理由を具体的に述べられているのですね。当局者の発言内容とか、何ちゃらリポートとか。まあ、これはこれで「へぇー、そんなんで動いたんだー」という感慨がわく。為替は色んな材料にせつな的に反応するもので、中長期的な分析には応用は利かないが、面白い。以下、幾つか事例を。
・クリントン大領のスキャンダルとアメリカの金利先高観の後退の二つはドル安要因であって… ・ジョンソン・スミックというコンサルタント会社のリポートが「2月20日頃までに出ると言われている政府の景気対策については、あまり期待できない。具体的には補正が組まれない」といった趣旨のことを書いていると報じられたこと… ・(同じくこのリポートで)「大蔵省筋が円の適正レベルは122-126円位だと言っている」ことも書かれていると伝えられた… ・ティートマイヤー・ドイツ連銀総裁が「G7で円相場が議題になるか」という記者の質問に対して「不明である」と答え、これは少し安堵感を与え… ・昨日はグリーンスパンFRB議長が議会証言で、「アジア経済混乱の米経済への影響はそれほど大きくない」という見方を示したと報じられ… かなり細かいですね。そういえば当時は永島理事の記者懇談が定例的にあったように記憶する。かなり話好きな方であったという印象です。為替の地合いを見るうえでリスクリバーサルというのがとても便利でね、と解説してくれたのをなぜか鮮明に覚えているなあ。 もう一つは、金融恐慌で真っ暗になった経済情勢にもかかわらず、政財界で利上げ論があったこと。恐るべし。もとより前年の恐慌前は利上げ要請が活発で、連合も日銀に押しかけたほど。松下総裁は何度も国会に呼ばれて利上げしないのか、と迫られた。この手の利上げ論は恐慌で止んだと思っていたが、後藤委員の発言を読むと、それでも利上げ論はしぶとかったようである。「国会筋だけでなく、インターネットで寄せられる意見でも『いつまで低金利を続けるのか』という声が大きい」とか、「経済界でも『低金利が続くと資金コストの考えが甘くなる』という声もある」とか。藤島委員(経企庁代表)の発言では、当時の橋本総理は「金融政策は日銀の所管事項」とした上で「低金利は景気を下支えし、これが国民の皆さんの所得を支えている」と答弁していたようである。非常に真っ当であります。
by bank.of.japan
| 2008-08-05 21:50
| 議事録
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Comments(7)
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EURO SELLER
at 2008-08-06 02:46
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永島さんは,さすが国際担当の理事さんですね。コールとプットのIVの違いは客観的に通貨の強さを測ってくれます。下落しても勢いがないときとあるときではぜんぜん違ったりします。スポット参加者よりオプション参加者のほうが他人の動向を気にしている人が多いと聞いたことがあります。
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PK
at 2008-08-06 08:28
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オプションが重要だと思います
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害債
at 2008-08-06 09:01
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EURO SELLERさんのおっしゃるとおりリスクリバーサルでのIVの違いは参加者の心理的な状況を的確に表現しており、ワタクシも相場反転の有効なインディケーターの一つとして、参考にしています。これまで一度も例外のなかったのは、ドルコール円プットのボラがドルプット円コールのボラを上回ったときは常に相場がドル高のピーク(過熱)でその後ドル安に転じると記憶しています。最近では殆ど例がありませんけれどね。
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EURO SELLER
at 2008-08-06 11:30
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bank.of.japan at 2008-08-06 22:07
EURO SELLERさん、どうもです。あの時期、オプション的為替相場の読み方がやっと日銀上層部に浸透してきた、ということかもしれません。
害債さん、どうもです。私が為替見ていたころはずーっと円高局面でしたので、恒常的に円コールオーバーに傾いていました。随分昔です。 PKさん、どうもです。重要です。
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ナイ・パチーノ
at 2008-08-07 02:44
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>本石町日記さん
1-2年前のの円安局面ではリスクリバーサルのIVは確かずっと円コールオーバーだったと思います。私は逆に円プットオーバーという局面が記憶にないのですが... 「ずーっと円高局面」の昔は「恒常的に円プットオーバー」だったのではないでしょうか? 為替相場に携わって2-3年の若輩者でスミマセン。
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bank.of.japan at 2008-08-07 22:10
ナイ・パチーノさん、どうもです。リスクリバーサルの説明は混乱することがあるのですが、ドルをベースにすると、ドルプット円コールのプレミアムが(ドルコール円プットよりも)高いという状態です。
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