国会議員に「不勉強だ」と言い放つ一万田総裁=痛快爽快な国会論戦
 マーケットがややきな臭い動きだが、終わりの始まりではなく、軽度の調整であることを願いつつ、本日も一万田総裁シリーズといきたい。面白いやりとりを幾つか見つけたので。まずは、国会議員に「不勉強である」と反論した痛快な場面である。今だったら、先生方怒って委員会が止まるだろうが、どうでもいい質問をする国会議員が多いのは事実である。霞が関の官僚の方々もうなずかれると思うが、議員が空虚な質問をしたら大臣なり総裁なりが「時間の無駄だ」と突っぱねて欲しいものだ。では一万田総裁である。昭和25年07月26日、参院の予算・大蔵委員会連合審議会より。

○佐多忠隆君 …日本銀行は依然としてこれを金融で調整する方策をお採りになつていると思うのですが、その後六月に至りまして、私達に言わせればむしろ突如として金融政策を変更になつたように考えるのですが、こういうふうに突如と変更されたのじやないか。これが若し突如とされたならば、どういう理由によつてそういうふうに突如と変更をなされたのか…
○説明員(一萬田尚登君) 実は私は安本時代から佐多君が非常な勉強家であるということを承知いたしております。(笑声)その佐多さんから今のような御質問を受けることは私は非常に意外に思う。こういうことを言うのは惡いのですが、それは突如とおつしやる。突如というようなことは絶体にない。それは今日国際情勢が如何に激しく日々変化しつつあるかということを御勉強なさつておれば、日一日或る意味において政策が変つても決してこれを不思議に思うことはないのであります。それ程かように違うのです。二十四年度はああいう政策、二十五年度はそういうふうに行くべきでないということは私は勉強が少し足りないと思う。むしろ日本銀行は遅過ぎたのではないかというふうに考えて行くのが当然じやないか、私はそういうふうに答弁をして……。決して突如じやない。二十四年度はああいうふうな財政……、そういうふうに行くのであります。二十五年度はそういうふうなことを繰返してはいけないということは少し深く考える人は当然思いを及ぼさなければならんと私は思う、突如というのはおかしい。それは要するに自分の不勉強でただ日本銀行のすることだけをいろいろ見たり聞いたりするからそういうふうに突如……。自分が勉強しておれば決してそういうことはない。

なかなかに激しいですね、一万田総裁。これで議場が荒れたかというとそうでもなくて、委員長はこう続ける。

○委員長(波多野鼎君) ちよつと質問の方に申上げますが、時間が余りありませんのに質疑通告者が非常に多いですから、どうぞ簡單に御質問願います。

で、勉強が足りないと言われた佐多議員はこんな感じである。

○佐多忠隆君 日銀総裁から不勉強を指摘されまして誠に恐縮なんですが、併し私が突如と申しますのは、私はしつかりした数字を以てお話しておるので、四月、五月には少くともそういう方向でなかつたかと私は数字的に説明ができると思いますが、これらの点になりますと見解の相違でございますから…

冷静ですね。

私はこんな場面を見てみたい。

○某党某君 日本銀行総裁に伺いたい。199×年の預金金利が一定であったとして、今日までに失われた預金利息はいくらであるか?
○説明員(日銀総裁) その質問は意味がない。経済は変化するものであり、それに応じて預金の金利も変化するものである。変化しなかった場合の、しかも預金の部分だけを取り出して計算することには何の意味もない。私は、そういう意味のない、しかも1足す1はいくらかというような計算に答えるためにこの場に来たつもりはありません。
○某党某君 総裁、申し訳ありません。二度とこのような浅はかな質問はしません。

まあ、激昂するでしょうね、某党某君は。でも、激昂してもいいから、総裁が冷たくあしらうところを見てみたいな。
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by bank.of.japan | 2008-06-27 22:04 | 一万田総裁 | Comments(12)
Commented by 名無之直人 at 2008-06-27 22:48 x
終戦からわずか5年後の国会がそーいうレベルにあったというのは新鮮な驚きです。白川総裁なら冷たくあしらわずに丁寧な説明をさらに丁寧に繰り返すのでしょうけれど、見てみたいですね。(見る機会が無い方が国民にとって幸せなのでしょうけれど)
Commented by 官僚とセントラルバンカー at 2008-06-28 00:35 x
確かにすごいですね。戦後5年まだ、本邦経済が壊滅的な状況からようやく立ち直ろうとしている時に、占領下においてこういった議論ができる人たちがいたということですね。
軍国官僚が去った後には、いうこういったテクノクラートがしっかりと、生き残っていて確固たる信念を持って政策運営を行っていたのですね。
今でも軍国官僚もどきがいなくなれば、そういった素養をもった人がいくらでもいて、建て直しがきくと思う今日この頃です。そういう意味では資本による占領政策によってこういったやからをパージできれば日本は再生できるかもね。ある意味賭けですが。
Commented by べっちゃん at 2008-06-28 01:06 x
 与えられた目標が間違っていたので失敗だけで、IQだけみれば戦中や終戦直後の方が、今よりも政治家や官僚の能力は高かったんじゃないですかね。

 まあ正しい目標を自分で考えて設定することが一番難しいんでしょうがね。国会の議論は昔の方が丁々発止でやっていると思います。速記者の作文が上手なのかもしれないけれど(笑)今の議員さんはつまらないことで臍を曲げすぎです。
Commented by kumakuma1967 at 2008-06-28 06:57 x
1980年代末に「これ、マンガにできない?」ってのが流行ってましたね。
(どうせ議員さんは十分に勉強してくれないので、政策の背景をマンガで渡すと、他の勉強しなければいけない分野に優先して勉強してくれる。)
不勉強の度合いが進んで官僚に口には出さなくても態度で「不勉強である」と表現される時代を経て、今は「政治主導」(ばかにするとゆるさないんだからね)って感じがするんですが。
Commented by PK at 2008-06-28 07:02 x
戦前の日本人の方が良かったです。
おかしくなったのは、マルクス主義の上陸からです。
大恐慌の現実とソ連のプロパガンダによる共産国の成功幻想の強烈な対比に信仰が理性を打ち負かしてしまったんです
それは今も続いていて、小泉・安部潰しと福田持ち上げに至って、戦前とそっくりな状況に入りました
福田は国民支持率20%です。官僚と東大閥と中国のために存在する首相ですね。
今の状態が続くなら、この国は必ず崩壊します。戦前と同じですから
Commented by PK at 2008-06-28 07:59 x
今は資源が高いので、人の価格が相対的に低いから、ソフトに投資すべき
所得はフローであり移動。そして移動をいかに効率的に省資源省エネで行なえるかがインフラ。インフラは道路鉄道海運というだけでなく、知識を子供の頭に移動させるのも教育というインフラだし、金を移動させる市場もインフラ、不動産を移動させる市場もインフラ。
B/Sの借方と貸方は一対で変動する。どちらの移動に関してもインフラが良く出来ていれば、環境変化に対して、柔軟な再構成ができる
今は、ハード資源を使わないインフラつくりに徹すべき
インド人の頭の方が鉄や石油より相対的に安い
若い夫婦も新築より中古住宅を買わせるべき、中古の方が資産価値が安定している。建築規制よりも中古住宅市場の整備が重要だ。過度な規制が移動を妨げていたら本末転倒だ
Commented by PK at 2008-06-28 23:11 x
ダウが大幅に下がって、これから日本の年金買い崩しの仕掛けが始まりそうな気がする。
外資は、先物個人の買いを誘って、それを売り崩して年金にぶつけるんじゃないか?
年金は、先物個人の買いを動揺させるような心理戦を仕掛けて対抗して欲しい。ただ壁のように防御しても、先も市場が大きくなっているので2度3度衝撃を加えられたら年金買いも下がるのでしょう。
Commented by 飛車 at 2008-06-29 00:23 x
個人的には
>むしろ日本銀行は遅過ぎたのではないかというふうに考えて行くのが当然じやないか
に萌え
Commented by bank.of.japan at 2008-06-29 00:30 x
名無之直人さん、どうもです。議事録の一部(金融政策関係)だけにしても、かなり読み応えのある論戦です。白川総裁が教科書的に質問のおかしさを説く姿も見物かもしれません。

官僚とセントラルバンカーさん、どうもです。こういう議論が出来る人材はなお多いとは思うのですが、そういう人は政治家になる人が少ない、なってもマジメは議論はあまりウケない、というところでしょうか。残念です。

べっちゃんさん、どうもです。焦土からの復興期には、無駄な議論をする余裕がなかった、結果的に議論が濃くなった、ということかもしれません。つまらぬことに臍を曲げていては国家運営に支障があったのでしょう。

kumakuma1967さん、どうもです。不勉強であることを指摘してあげるのは、本当は良いことなのですが、まあ指摘すると官僚のくせに生意気だ、とかなるのでしょう。不勉強状態でつけ上がるのは最悪ですね。

PKさん、どうもです。政権がころころ変わっても国自体の運営はなんとか回るぐらいには余裕が出てきたということでしょう。もっともずーっとそうかは何ともいえないですが…。
Commented by bank.of.japan at 2008-06-29 00:32 x
飛車さん、どうもです。(現代の)日銀は早過ぎますからねえ(苦笑)。
Commented by 柿の種 at 2008-06-29 13:55 x
>今でも軍国官僚もどきがいなくなれば、・・・

軍国官僚もどきなんているの?

確かに独立国だった戦前と、米国の属国(最近は中国の属国も兼務)と化している現在を、単純に比較してもしょうがないと思う。
Commented by そのお言葉をW議員に at 2008-06-30 22:15 x
はたまた、今やってますが、年金機関の運営を別のやからに、なんて平気でいってる某みんしゅ倒産の議員および10番の元プロレスアナ。確かにおかしい人たちは(あんたらみんしゅ党の母体の労働組合だろ)はやめさせてもさー。その監督官庁が腐ってるという議論で、国の組織をめちゃくちゃにするという議論はねーわさ。
で誰がやるのでしょうかね。民間かって。民間にまかせると、全てがうまくいくってありえないでしょう。うまくいってないから、色々やるわけで、おかしくなるでしょ。でしょうがないから長官だけ民間てか。
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