「10年泥のように働け」と言えるのは良い会社かも
 しばらく前にネットのあちらこちらで話題になった「10年は泥のように働け」という発言について。この発言が話題になった経緯はよく掴めていないのだが、「10年は泥のように働け」「無理です」――今年も学生と経営者が討論がきっかけになり、これが色々なブログで取り上げられたようだ。「10年は泥のように…」は伊藤忠の丹羽会長が日経新聞(5月10日付?)で語ったものらしい(良く覚えていないです)。
 丹羽会長は「泥のように働け」を強調したかったのではなく、まずは10年はひたむきに働き、そして勉強のために次の10年を費やし、それ以降は本物のリーダーになるべく人間性に磨きをかける、つまり人材の育成には長い時間がかかる、だから新卒者もその覚悟で働いて欲しい、ということを言いたかったのだろう。まあ、これには色々反論があるだろう。「終身雇用が崩れつつあるのにそんな悠長なことを言っていいのか」、「大企業に入らないと人間性は磨けないのか」、「非正規雇用はどうするの」、etc。
 私は大学卒業後は中小零細企業を転々としたので、むしろ長い時間をかけて人間性を磨いてくれるところは「良い会社だな」と思った。なぜなら、私の経験上、とても長期間働けないような会社もあるからだ。個人的な関心もあって不動産関係のブログをのぞいているのだが、「ブログ版/不動産業界の歩き方」さんの「救いようのない者達」というエントリーは興味深い。ちょっと引用すると…。
・新人が1日で辞めた理由は、根性とは関係ない。
・『この会社、ダメだこりゃ・・』と見捨てられただけの話
・1日で辞められたなら、会社側がマヌケであり、(会社が)笑われる立場なのだ
 こういう会社は多いのか少ないのか分からないが、私もこれっぽい会社に当たったことがある。食わなきゃいけないので、さすがに1日で辞めようとは思わなかったが、まあ人材の回転は速いこと速いこと。あっという間に古参兵になってしまいます。古参になると抜けられなくなるのではないか、という恐怖感に駆られます。
 新卒の皆さん、もし「大企業」に入られたのなら、仕事がつまらないとか、やりがいがないとか、そんなことで辞めるのはしない方がいいです。世の中、入ってすぐに面白いと思える仕事とか、いきなりやりがいを覚える仕事とか、そうそうあるものではないですから。何か強烈にやりたいことがあるなら飛び出すのはかまわないですが。10年後、大企業とて存在するのかどうか分からんですが、「10年は泥のように働け」というトップなら、それは世間の平均からするときっと良い会社なのだと思います。

ps 紹介した不動産関係のブログは現場の事情が良く分かって為になります。不動産のミクロな業況もマクロ経済を判断する上で参考になります。ご興味があればチェックを。
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by bank.of.japan | 2008-06-05 22:29 | 経済 | Comments(9)
Commented by 初心者 at 2008-06-05 23:07 x
私がいわゆる「大企業」を3社を渡り歩いた経験で言えば、同じ「大企業」でも自分に合う社風や業務に出会えた場合もあれば、そうでなかった場合もあります。
その辺はやってみないと分からないので、さっさと見切りをつけた方が幸せになれる可能性もあると思います。今時10年我慢して、結果外れだった場合、転職も既に難しくなり、目も当てられない。
ただ、採用者に逃げられたとしても、会社側が一概に間抜けだったとは思いません。たまたまの相性の問題かもしれませんので。
Commented by EURO SELLER at 2008-06-06 03:25 x
長い間,企業を転々とされたとはいえ本石町さんの現在のお仕事は天職のように思えます。結局は勤続年数ではなく,前に進む自己努力があるかどうかではないでしょうか。がんばっても10年待たされる企業が良いかどうかはその人の能力・資質によると思います。
Commented by 元大企業現外資 at 2008-06-06 04:11 x
丹羽氏、伊藤忠ともに大変なコストをかけて若者を育てることに注力されていることを知っているだけに、ネットで結論先にありきの、言葉尻を捉えてシャドーボクシングするお決まりのパターンの議論が見られたことは残念に思いました。
若者を使い倒す目的で「人間力」を強調する醜悪な会社がある反面、余裕のあるエスタブリッシュメント企業を中心に、本当に若手の育成に大変なコストをかけて、経営陣にも人間として立派な人を配置している、「人間力」重視の素晴らしい企業があることも事実です。
伊藤忠がどちらかと言えば、若者育成にコストをかけ、企業として立派な人間になって欲しいという意味で人間力を強調していることは疑いの余地がないと思います。
日本のエスタブリッシュメント企業でも外資系でも、エクセレントカンパニーでは、人間力を大切にし、また、人を育てるコストをきちんと負担しているところが多いです。
Commented by 元中小企業勤務 at 2008-06-06 16:46 x
マスコミはゆるい社会だから、そこに入れた本石町日記さんはうらやましいです。役所とかマスコミとは入る時には幸運が必要ですが、いったん入れば天国ですから、本石町日記さんはほんとうにラッキーだとうらやましいです。
あと、十年くらいすると、厳しくなるでしょうが、それまでは天国でしょう。
Commented by bank.of.japan at 2008-06-06 21:19
初心者さん、どうもです。会社との相性は重要です。良さそうで悪い、悪いと思ったけど意外に合う、とか。いろいろあります。こればっかりは入ってみないと分からないです。

EURO SELLERさん、どうもです。最初は、苦痛でしたよ(苦笑)。辞めちゃおうか、と思ったぐらいで。そのうち、なぜかのめり込んだ、という偶然の展開でした。

元大企業現外資さん、どうもです。優れた会社は優れた人材も多く、それはやっぱり人材を大切にしているのだろうと思います。

元中小企業勤務さん、どうもです。私の転職人生はほとんど運任せで、興味を覚える職務に出会ったのは、結果的に運が良かったのだろうと思います。ただ、職場環境を良いと思うかどうかは人により、昔と比べると随分と人が辞めるようになりました。大分前から業況は厳しくなっているのが実情です。
Commented by PK at 2008-06-09 06:50 x
殺人事件を起こした彼も、派遣労働をやるくらいなら余裕のある中小企業にいけば良かったのに。
今の派遣では秋葉原で殺人事件起こしても不思議ではない。
(通貨高には労働を平等に扱わないと、調整の負担が集中して苦痛が二倍以上になる。)
新聞の配達とチラシの折込でビルが立つ時代に、秋葉原で人を殺しても世の中は良くならんよ
Commented by bank.of.japan at 2008-06-09 21:44
PKさん、どうもです。派遣労働者の待遇が厳しいとは言え、事件は個別のものではないかと思います。
 犠牲になった方々に哀悼の意を表したいと思います。
Commented by 名無しさん at 2008-06-11 16:06 x
元ネタは経営者に人材育成はじっくりコストをかけてやらなくてはいけないと言ってる類の内容だからその通りだと思います
ttp://blog.goo.ne.jp/chorinkai/e/94a4561ce8f3661624dd94bdab5a9524

WEB界隈ではことばの印象か、それともIPAでの話し方文脈の問題か、記事にした人の書きかたの問題か、IT業界自体のイメージのせいかわかりませんが
大多数の人がなにも考えずに上に言われたとおりに奴隷のように働けと言っている印象を持ってしまっていますね
Commented by bank.of.japan at 2008-06-11 22:11
名無しさん、どうもです。「奴隷」というフレーズがかなりキャッチーなので、IT業界の厳しい労働環境とうまく重なった、という感じです。私も最初はこのフレーズに引っ張られましたが、全体としては決して使い捨ての意味ではないので、むしろ好印象をもちました。ただ、世の中全般に余裕がないので、長期の人材育成はやりにくくなっているとは思います。
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