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欧米の流動性ひっ迫は一応沈静化の方向
 先日、ECBがドル資金供給を停止すると発表し、欧米金融機関の流動性ひっぱくはかなり解消してきたのかな、と思ったが、東短リサーチの加藤さんのリポートで、改めて最近の落ち着き具合いがデータから読み取れた。加藤さん、ちょっとお借りします。
 昨年末からのECBのドル供給は4回(各100億ドル)。応札倍率は1回目2.2倍が4回目1.24倍に低下。応札数は39社から19社に減少した。もともとECBが他通貨の資金供給を行うのは異例の措置なので、ドル需要の落ち着きを受けて供給停止にしたのだろう。
 一方、NY連銀のTAF(連銀貸出をターム物オペ化させたもの)も、過去4回を見ると、応札倍率は3.08倍から1.25倍に低下、応札数は93社から53社に減った。ただ、TAFの規模は途中で200億ドルから300億ドルに引き上げられ、これは維持されるようだ。ECBのドル供給が停止するため、念のために供給規模の減額は見送ることにしたのではないかと推測される。
 ドルの流動性供給は本来はNY連銀の責任範囲だが、ECBが側面支援しないとNY市場で極端なひっ迫が発生した恐れがあったほか、欧州系金融機関の資金繰りも安定しない可能性があった。ドル供給における欧米の協調体制は、調達圧力の低下を受けてとりあえずは解消しても良さそうだ、という判断になったと思われる。
 では、これで資金繰り面の不安は解消されたのか。これは何とも言えない。とりあえず落ち着く方向だろうとは思うが、再び想定以上の損失が相次いだり、モノラインなどの救済スキームがうまくいかない、といった事態になると、流動性が改めてひっ迫する恐れはある。
 日本の経験では、97-98年のインタバンク恐慌が収束したのは、確か99年春の大手行への公的資金注入であったと記憶する。米金融システムもいずれは公的資金注入という話になると思うが。それまでは不安定になりやすい地合いが続きそうである。
by bank.of.japan | 2008-02-04 21:46 | マーケット | Comments(4)
Commented by 植田日銀総裁 at 2008-02-04 23:03 x
今回の一連の流れの中で流動性逼迫が起きたのは昨年の8月9日です。それ以来長めの資金を確保する動きが各国インターバンク市場で活発化したと思われます。長めの資金といっても短期市場での資金取引は3ヶ月物が多いですから8月中旬の取引の期日は11月に集中しました。そしてその次の資金取引期日はまた2月にやってきます。大量に。昨年10月も一時的に金利が低下し流動性が改善したように見えましたが11月中旬になったらとたんに逼迫してきました。今回も2月中旬にそういうことが起きなければいいですけど。まあ資産売却や長期調達が進んでいれば大丈夫かもしれません。しかし逼迫してからまたドル供給なんてかっこ悪すぎるし再度不安を煽ることになりますよECBさん。大丈夫なんですよね?欧州各国中銀から情報収集できてるって信じていいんですよね?
Commented by EURO SELLER at 2008-02-05 01:38 x
1998年後半と2007年後半の金融経済月報はドル円の下落幅とその期間がほぼ同じで,正確にトレースしているみたいです。やはり2008年も春まで待たないといけないのでしょうね。
http://www.doblog.com/weblog/myblog/79961/143#143
Commented by bank.of.japan at 2008-02-05 20:00
植田日銀総裁さん、どうもです。資金繰りモニタリングの一般論として、金融機関の資金調達の足がどの辺に集中し、それがうまくロールされるかどうかを見極めたうえでのECBの判断であるはず(だと思いたい)です。また、ひっ迫してドル供給したら、今度はECBのグリップ力に不信感が台頭するでしょう。でも、「欧州が心配だ」という声は根強いですね。私も不安です。
Commented by bank.of.japan at 2008-02-05 20:12
EURO SELLERさん、どうもです。景気が後退したとき、主要経済圏で一番問題が起きそうなのは、国がばらばらのユーロではないかと思われます。為替も緩和方向(下落)を志向しそうな気がするのですが。
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