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「リベリア」の意外な興味深さ=YENの漂流・続き
 深夜、何気にNHKをつけたら、やっていた番組がかなり見所が多く、熱心に見入ってしまった。番組は民主主義をテーマにした一連のドキュメンタリーで、私が見たのは「リベリア」の巻。もちろん、番組の主題は女性閣僚らの民主化への奮闘であり、それはそれで見応えはあったが、私が興味を引かれたのは以下のシーンであった。
・リベリアの閣議(?)にジョージ・ソロスがいた。アドバイザーのような感じであったが、何をしていたのか。純粋な慈善行動?
・中国の胡錦濤主席の訪問を熱烈歓迎しながらも、リベリア大統領(女性)は「(中国の支援は)わが国のためになるとは思わない」と言っていた。番組はこの一言だけだったが、背景事情はいろいろありそう。
・大統領警護にPMC(民間軍事会社)要員とおぼしき姿あり。国際機関の人員を警護していたのか。いずれせよPMCの活動があらゆるところに浸透しているのがうかがえる。
・リベリア経済は長年の内戦で破綻しているとされていたが、この点について第一次産品の高騰がどの程度経済的に貢献するのか興味深い。リベリアの資源がすでに国際企業に利権を押さえられているのかどうか。
 もとより、番組は「民主主義」が主題であるので、経済的な側面は深堀されていないが、ジョージ・ソロスの絡み、資源を狙う中国の思惑、対リベリア債権を放棄した米国の意図、鉄鉱石・ダイヤモンド、ゴムなどの利権状況、最近の資源高騰の影響など、むしろ経済的に興味深いところが満載であった。政治体制としての民主主義は重要なテーマであるが、どんな体制でもまずは経済的に食えないと話にならない。PMCは天然資源の利権に絡んだ動きもするので、ちらっと姿の映った要員がどこ社かも興味が引かれる。
 以上は番組の感想であります。その後、ロシアの巻であったが、こちらは登場した超保守派のカリスマのおじさんが胡散臭いという印象を与えただけでありました。

 日経新聞の「YENの漂流」である。国外流出した個人資産が「マネー難民」となるかどうかは、当該個人が最終的な居住を国内とするのか、国外とするかで峻別され得る。外貨を外貨のまま使い切るには、国外に旅行して使うか、移住するか。そうしない場合、いずれは円に転換する必要があり、それは難民マネーの帰還となる。一斉帰還すると円高要因で、その際に利益確定できるかどうかは定かでない。
 日本の個人が資産を外貨建てにするかどうかは基本的には個人の自己責任であり、その判断は正しいかもしれないし、間違うかもしれない。どっちでもいいんじゃないかと思う。ホームバイアスが多少緩んだとしても、それは正常化とみなせばいいのではないかな。南アやニュージーランドが個人マネーの流入に困るとしても、それは彼らの問題であって、本当に困るなら資金規制するであろう。今、個人マネーの流出が止まると円高になってデフレ脱却は遠のくでしょ。日銀も困るんじゃないか。
by bank.of.japan | 2008-01-07 00:10 | マーケット | Comments(11)
Commented by abekoji at 2008-01-07 04:15 x
こんばんは。この番組観てないのですが、米国とリベリアは疎遠になってましたがつながりが伝統的にある国なんですよね、それもあったり米軍のアフリカ軍の拠点探しももしかしたらあるのかもと勝手に想像してしまいました。アフリカの課題は労働生産性の低さなんでしょうね、資源高だとサービスとか以外の産業を育てるのは難しそうです、かといい無い所に労働集約型な産業が来るかといえばそれでも買った方が話が早く物もたくさんな世界です、そうした意識のある所は輸入に対し反対しますが、そうしたものは気薄な感じです、やはりプランテーション的なものを含め農業は多いですから。AU軍の世界的信頼の低さを見ても分かるとおり、というか近代国家の前提自体が怪しいので、そこは頼むしかなさそうです。軍事顧問などこの分野は中国よりは米国の方がノウハウはありそうですね、でもやっぱ武器は安くて使えるのに限るになるとは思いますけども。
Commented by PK at 2008-01-07 07:46 x
日本のアフリカへの投資援助は、広く薄くでは無く、1~2ヶ国に絞るべき。(個人的には、タンザニア・マダガスカルなど)
日本が密接に国家開発に絡めば、その国はほぼ間違いなく成長する。中国も欧米も、日本の能力を良く知っているので、なるべくそうさせないように国際的潮流を作っている。(自分達は政治性が強い二国間援助が基本なのにね)
Commented by パットメセニー at 2008-01-07 18:09 x
「YENの漂流」・・・大機小機ならまだしも、お正月から1面でこの特集はどうかと。駄目押しで与謝野氏まで登場。デフレ大絶賛の総本山。
記事では、外国人が日本で買い物するのも、日本人が外国へ投資するのも共に気に障る。とにかく円安が気に食わない。円安は国家の安売りとの認識。幕末の攘夷志士みたいな論調ですね。
かといってグローバリズム批判でもなさそうだし・・・
何が言いたいのかよく分かりません。
ポール・クルーグマンが言ったとおり、為替レートの変動は「よく分からないし、実はどっちでもいいんじゃないか」と思いますが。すなわち「為替レートが一国のファンダメンタルを反映する」保証はどこにもない。
デフレ脱却が喫緊の課題である以上、緩やかな円安が日本経済には「優しい」と考えます。
Commented by bank.of.japan at 2008-01-07 20:09
abekojiさん、どうもです。私はリベリア事情に詳しくないので、ネットでざっと検索した感じでは、伝統的には親米なのでしょう。内戦終了後の国家再建に際し、中国寄りのスタンスを見せたのは、米国の債権放棄を引き出す外交カードであったのかもしれません。資源高は一般論として追い風ながらも、それを生かす各種インフラが整っていないのではないかと思われます。

PKさん、どうもです。日本の対アフリカ関係はよくフォローしていないのですが、ご指摘のように対象を絞った方が効果は高いと思います。

パットメセニーさん、どうもです。テーマが絞りきれていない(為替動向に焦点を当て過ぎ)ため、特集自体が漂流している感が拭えないです。国粋主義的円高論の印象を受けるのは確か。速水さん(前日銀総裁)チックな感じもあります。現状、円高よりは円安気味の方が全体としてはいいように思います。
Commented by Teddy at 2008-01-08 15:08 x
皆さまに異論、でもないですが。小生はこれだけの技術進歩があってなおインフレになっていたのは、クレジット・サイクルの後始末としての度重なる中銀のリフレ策のせいだったろうと愚考します(それが確立したのは米国でFDRが金兌換を強制停止したところまでさかのぼれるでしょう)。名目賃金の伸びない、過去のクレジットの過剰の痛い清算も完了した日本にあってなら、デフレは歓迎こそされていいものです。利息がないのを何か罪のようにいうのは本末転倒。貨幣の(国内での)購買力が上がるほうがいいこともある。対外価値の低下の対価の貿易黒字は売り切り、いずれ復讐されます。
Commented by 飛車 at 2008-01-08 19:29 x
>>Teddyさん
貨幣価値の上昇は、裏を返せば、労働や財の価値の低下です。不労所得で食っている人には関係ないかも知れませんが、仕事をしている圧倒的多数の人にとっては損失であり、労働供給曲線が右上がりであるなら、それは勤労意欲の低下という形で現れると思います。
Commented by bank.of.japan at 2008-01-09 00:27 x
Teddyさん、どうもです。「利息がないのを何か罪のようにいうのは本末転倒」は、その通りであろうかと。問題は、名目賃金が伸びない、と言うより、下がり気味であり、しかも雇用が不安定化していると、デフレ的情勢は先行き悲観的になりやすい、のかもしれません。
Commented by Teddy at 2008-01-09 16:12 x
飛車さん、bank.of.japanさん、コメントありがとうございます。
なんでそういうことをいったかというと「賃金は横這いでも物価は下がる」世界と、「賃金は上がる、でも物価はそれ以上に上がる」世界とどっちがいいかと会社の若手に尋ねたら、大抵後者がいいといったのですね。貨幣錯覚だろうと。だからやや乱暴な議論をしました。実質で安くなった労働力には相応に買い手はつかないでしょうかしらん。伸縮可能な財市場・賃金市場があれば「セイの法則」が妥当してくれまいか、債務やそのタームの伸縮しないのがやはり問題なのか、したがってマイルドなインフレ・バイアスこそが人類の経験の結晶なのか、こんがらがってきました。
Commented by bank.of.japan at 2008-01-10 00:15
Teddyさん、どうもです。かつて聞いたジョークで次のようなものがありました。イギリス人にとってのインフレとは何か。それは「去年と今年の労働時間は同じでも賃金が上がることである」と。物価動向を勘案した実質所得の議論はなかなか通じにくいです。利息はゼロでもデフレ下では預金の実質価値は上がる、のが理解されないのと同様ですね(笑)。
Commented by 飛車 at 2008-01-10 00:42 x
>>Teddyさん
財・労働と貨幣の相対価格がインフレ・デフレでありますが、賃金と財の相対価格はそれとは別の現象ですよね。また、賃金は上がるけど、物価が下がる状態というのは、所謂ニューエコノミーという理想郷でしょうか。一方、過去のインフレ期の実例を見ると、概ね賃金上昇率>物価上昇率です。賃金以上に物価が上がるというのは、気候変動や災害などで生産力が落ちてしまった状態でしょうか。ちょっと比較するものが恣意的すぎで、思考実験ならまだしも、現状に対する設問だとしたら不適切かと思います。
なお、貨幣錯覚が観察されるのであれば、その観察事実に基づいてモデルを組むものだと思います。経済現象を解明するという事は、少なくとも、「人間はこのように振舞うべきだ」という規範的判断とは全く別次元の問題だと思います。
Commented by Teddy at 2008-01-10 09:45 x
bank.of.japanさん、飛車さん、コメント恐縮です。お二人の議論に(おおむね)共通していると思われる、小生の当為論と存在論の混交のご指摘はもっともで、(飛車さんの前段のご指摘含め、)もう一遍勉強し直します。
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