これに関係するネタは昨年夏ごろに取り上げた(こちら)のだが、本業で書いた記事(orメモ)を検索していたら偶然にローチ氏関係のものが目に止まった。面白かったので改めて取り上げてみたい。2004年秋ごろものです。
当時、ローチ氏が言っていたこと。 ・「米国の景気回復は本物とは言い難い。財政・金融両面からの過剰な刺激策という『ステロイド剤』に強く影響されたもの」(つまりドーピング経済論ですね) こんなこと言ったのは、シュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事が共和党大会でのスピーチで、(ローチ氏に代表される)景気悲観派を「女々しい経済論者」と批判したのがきっかけ。ローチ氏、以下のように切り返している。 ・「(共和党系の)『雄雄しい経済論者』の考えでは、ドルが強いのは米国が強いため。双子の赤字も市場金利をすぐに押し上げない限り、心配ない。そして、(雄雄しい経済論者は)米金利上昇にブレーキをかけている日本や中国に感謝すべきであるという事実を知らない」 まあ、中国や当時の日本の介入は対米ステロイド投入といった感じであろうか。例えは良くないのだが、米国がドーピングしていると、ドルペッグないしそれに近い為替安定を図る国は介入ジャンキーに見えるのだろう。サブプライム問題はドーピングの副作用と位置づけられ、今でもローチ氏が悲観論唱えていれば、それみたことか、と吼えていたはず。惜しかったです。ちなみに、それみたことか、と中銀関係者で吼えているのがBISのビル・ホワイト局長らしい(強力なるバブル予防論者)。 ローチ氏にように、「双子の赤字」という不均衡問題を重視すると、米国はそれを是正するために過剰消費を抑制しないといけない。この場合、世界的に不況になり、まあそんなこと、みんな耐え難いのですね(日銀も当然これに含まれる)。中国は体制移行に弾みを付けないといけないし、日本は資産デフレの病魔に見舞われていたので、米国のドーピングはむしろ望まれたものなのだろう。米国がサブプライムでどの程度ヤラレているのか不明だが、とりあえず禁断症状の緩和に役立つのが中東マネー、そしてFRBの金融緩和である(さらに、場合によっては日本の介入?)。ローチ氏がなお悲観論だったら「禁断症状(バブル崩壊・不況)に耐えて完全に毒を抜け!」とら説教をするんだろうなあ(笑)。
by bank.of.japan
| 2007-11-28 19:04
| マーケット
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Comments(11)
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K
at 2007-11-28 19:51
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危ないと言っている間は大丈夫で、大丈夫と言うと危機になる人?
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bank.of.japan
at 2007-11-29 01:19
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Kさん、どうもです。結果的にはネガティブインディケーターのような感じになってしまいましたが、主張自体はあながち間違ってはいなかったようにも見えます。
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bank.of.japan
at 2007-11-29 01:21
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みなさんへ。続きを書く予定でしたが、ある集まりで気力を使い果たしました。続きはしばしお待ちを。幾つかコメントも頂いておりますが、こちらの方へのお返しもしばしお待ちください。すいません。
だからこの人、意見を変えたときはよくあたるんですよ。もちろん逆に、なんですが(爆)。
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bank.of.japan at 2007-11-29 13:33
ぐっちーさん、どうもです。ええ、そうなんですよね(笑)。でも、主張している内容(悲観論)は当たる当たらないはともかく、面白いでした(過去形)。
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Teddy
at 2007-11-29 14:00
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悲観のRoach、楽観のBerner、だからモルスタは常に当たる、と言われていた時代が今や懐かしい・・・そのBerner氏も悲観に(恐らく)タイムリーに転じました。株の応援団でなければならないリーディングカンパニーのリサーチが総じて悲観なんですから、本当にまずいと思います。ただ、クレジット主導、クレデリのショート筋主導の極端な振れには、相応に揺り戻しがあるのかな、とも。
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at 2007-11-29 20:48
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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bank.of.japan at 2007-11-30 00:03
非公開さん、どうもです。やっとお会いできましたね。かなり濃密な議論で、多少分野が違うためか、かなり刺激になりました。バージョンを微妙に変えつつ、またお会いしたいと思います。
Teddyさん、どうもです。最近暗いですね、本当に。最近、NYに行った方も暗かったです。取りあえず株は上がりましたが、また悲観の波が到来するのではないかと不安です。また波が来たら、もっと強いドーピングが必要でしょう。カンフル剤、たっぷりありますかね。
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at 2007-11-30 09:55
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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Teddy
at 2007-11-30 16:02
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bank.of.japanさん、ありがとうございます。もうご存知でしょうが、市場でWSJ、Bbgの「金利リセット見合わせ」報道が話題に。これで根本的なアフォーダビリティ問題が解決するとでもいうのでしょうか?RMBSの本質的価値も高まるとは思えない。ついでをいえば、2009年から始まるプライムのオプションARMもリセット先送り??政治的ショー、民主党政権になってから景気が悪くなればいい、ってことですかね。
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bank.of.japan at 2007-11-30 18:45
非公開さん、どうもです。お会いできて光栄でした。そうですか。何とか工夫して期待にお応えしたいと思います(笑)。
Teddyさん、どうもです。(不良債権の)金利減免措置といったところでしょうか。デジャビュのような…。
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