流動性危機に関してあることを思い出した。それを書いてみたい。
1998年10月23日、日本長期信用銀行は預金保険機構から3兆円の資金を供与された。記憶は定かでないが、金融再生法が成立した直後だったと思う。この資金が入ったとき、法律上は資金注入は出来たが、実務処理(書類上の手続き)が決まっていなかったらしい。そこで長銀側は、現場(資金関係部署)がどういう処理をするかを決めたのだ、という。具体的には、長銀が預金保険機構宛に約束手形を切る形であった。 私は、その手形のコピーを見たことがある。宛先の「預金保険機構」、金額の「金参兆円也」のいずれもが手書きだった。宛先も金額もあまり達筆でないのだが、そこがまた当時の緊迫した雰囲気を醸し出し、恐らくは資金ディーラーの誰かが(達筆かどうかもかまわぬまま選ばれた?)真剣に書いたのだろう、と想像される。収入印紙は10万円が二枚張ってあった。 まず、ご存知なら教えて欲しいのだが、私はこの手形に関与した一人に、手書きだったことについて「兆円単位を打ち込めるチェックライターが見当たらなかったから」と聞いたのだが、そもそも兆円単位に対応したチェックライターはあるのだろうか。この辺の実務には疎いので、すいません、ご存知の方がいればご教授を。 もう一つは、一枚の手形・小切手類として、「参兆円」という金額はギネスブックに載るのではないかと思うのだが、いかがであろう。オリジナルの約束手形はまだ保存されているのだろうか。残っていれば、永久保存した方がいいかも。でも、誰が持っているのかな。預金保険機構?、新生銀行?。これも知りたいナゾである。 ところで、金参兆円也の約束手形を預保に持って行ったのは私の長銀の知り合いであった。カバンに入れて持って行ったそうだが、結構緊張したらしい。確かに失くしたら大変だ、緊張するだろうなあ。
by bank.of.japan
| 2007-09-06 21:26
| マーケット
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Comments(13)
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北の書生もどき
at 2007-09-06 23:18
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台風お見舞い申し上げます。
チェックライター、小生も興味あったので、ネットで検索してみましたら、一応、14桁(十兆円まで)いけるのもあるようですが、 12桁(千億円まで)くらいがやはりポピュラーみたいです。
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kumakuma1967
at 2007-09-06 23:44
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古い(今でも売られてますが)ロータリー式なら桁数に制限はないのではないかと思いますが。
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bank.of.japan at 2007-09-07 00:02
北の書生もどきさん、どうもです。こちらは台風で公共交通が混乱中。お見舞いありがとうございます。チェックライターの件、多謝です。私も検索したのですが、12桁が目に付きました。それ以上の桁に対応するのはないかもしれないと思っていたところです。もしかして日銀に14桁あるかもしれません。今度聞いてみます。
kumakuma1967さん、どうもです。なるほど。そういう機種もあるのですね。これは勉強になりました。ありがとうございます。
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元IB現PB
at 2007-09-07 09:50
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私も、長銀売却のコンペ準備で徹夜していた職場で、「チェックライターが無かった」説を聞いたことがあります。ゴールドマンが勝つことが判りきった出来レースに皆憤慨していたので、外貨機能チェックライターを使って、US$25Bil にすれば良かったんじゃないの、という冗談が出たことを覚えています。・・・結局わずか7桁US$で売られていったわけですが。
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PK
at 2007-09-07 13:13
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約束手形切ったなー
そんな桁の機械は買わないなー
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bank.of.japan at 2007-09-07 17:21
元IB現PBさん、どうもです。同じ話を聞かれたのですね。あの頃はいろいろと激動の時代でありました。懐かしいと思うにはまだ生々しい面もありますが。良くぞここまで回復したものです。
PKさん、どうもです。金融実務に携わっていたことがあるのですか。ちなみに使っていたチェックライターは何桁物でしょうか。スタンダードは12桁ですかね。
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飛車
at 2007-09-07 17:27
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毎度面白いネタをありがとうございます。「兆」と書きながら、「兆って本当にこんな形だったかな?」「なんか違う気がしてきた」ガクガクブルブルみたいな状況になっていたのかなぁと想像して和んでおります(笑)
ロータリー式というのはこういう奴です。 http://www.techno7.co.jp/jimuki/jmk070.htm#bl うちは仕入先がやたらと多くて月間1000枚近く手形・小切手を発行している関係でパソコンで印刷する奴(漢数字)でやっています。ハンコ押すのが面倒臭いですw。販管費系の支払い用にはまだロータリーの奴が頑張ってます。 98年くらいだと、そういうソフトがあったか微妙なタイミングですね。というか、銀行も手形を発行するんですね。主に銀行間取引で使うのでしょうか?
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at 2007-09-07 21:51
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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bank.of.japan at 2007-09-08 00:56
飛車さん、どうもです。和んで頂き、ありがたいです(笑)。ロータリー式、やっとイメージつかめました。大きめのホッチキスみたいで、握りのところが丸くで、それを回せば数字がいくらでも打てるわけですね。日銀も売手(売出手形)を出します。実物は見たことないです。どんな券面ですかね。
非公開さん、どうもです。なるほど、そういう史実もあったのですね。CDオペは最強であると思います。ただ、今の日銀の辞書にこの言葉が残っているのかどうか。難しいかも、です。
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うさこ
at 2007-09-08 12:36
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日銀売手券面は買い手側で自由に決めていました。
少し前に戻りますが、日銀37条って・・・・こんな素晴らしいものがあるんですね。 まだ誰か持っているのでしょうか?(私も見てみたいなぁ~) 3兆円の資金供給(手形)しなければいけない状況とするとぞーっとしますが、最近のインターバンクは、公的資金の注入や量的緩和、低金利を経験し、金額が麻痺、1つの約定という面では、あまり驚かない数字ではないでしょうか?<怖いですね・・・>
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bank.of.japan at 2007-09-08 17:27
うさこさん、どうもです。37条は素晴らしいです、けれどまだ発動されたことはないです。長銀に3兆円が打ち込まれたとき、インタバンクでは流動性ひっ迫が緩和されました。日照り続きの中、シャワーが降った感じでしたね。長銀をトンネルにした…、なんていう記事もありましたな。
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ろじゃあ
at 2007-09-09 11:19
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bank.of.japan at 2007-09-09 11:48
ろじゃあさん、どうもです。普通に持って行ったみたいですよ(警護なし)。当時は切迫して事務作業の一環としてこなしたのでしょうが、後からはいろいろな思いがよぎったかもしれません。ちなみに彼自身はその後、望ましい方向にキャリアの転進ができ、充実した職業人生を歩んでおります(そうですよね、Yさん・笑)。
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