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ECBが緊急オペ、しかも無制限=ちょっとまずいかも…-NY連銀はシステムレポ
 先ほど出たニュースを手短に。ECBが緊急オペを打ったようだ。入札にはすべて応じる、とのことで無制限の資金供給である。ECBの金融調節はちょっと変わっており、1週間に1回の定例オペが主体。普段は滅多にオペは打たない。レートの上下動は放置するスタイルである。毎日オペ打ちまくりの日銀を見ていると、何でECBが1週間に1回で済んでいるのか不思議だが、これは準備預金が厚い(流動性が潤沢にある)ため。逆説的には、緊急オペ&無制限のオペを打ったということは、流動性ひっ迫が一時的にせよ起きていることを示唆する。サブプライムローン問題がユーロマネーマーケットの信用不安につながりつつあるのか。一過性で終わるのか。まだ詳細が分からないので、何ともいえないが、ちょっとまずい感じである。
 続報です。緊急オペには49の金融機関が応札。総額は950億ユーロ程度。10数兆円である。デカい。国がたくさん集まっているから規模がデカいんだろうが、でもデカいなあ。一過性の流動性ひっ迫で済めばいい(多分そうなると期待したい)が、これ続くと大変ですよ。外為市場ではユーロが激しく落ちていますな。昼間から4円近い下げ、これもでかいです。株は軒並み下落。米金融市場の反応は…。
Star Prince JUGEMさんのTBでも触れられているが、ドルLIBORも上昇しており、NY連銀はシステムレポを実施した。ダウも寄り付きは200ドル以上の下落であった。今(零時過ぎ)は少し戻している。
 さて、欧米インタバンクでなぜ流動性ひっ迫が起きたのか。これは正直、予想外の展開である。インタバンクの資金取引は経済全体を循環するマネーの心臓部であり、ここがおかしくなると深刻な事態になりかねないことは、われわれ日本人なら1997-8年のインタバンク恐慌で経験済みである。クレジットマーケットの動揺が真性の信用不安に転化しつつあるとはちょっと恐ろしくてそうは思いたくない。恐らくは偶発的に発生した一過性の流動性ひっ迫ではないか(とみなしたい)。害債さんもコメント欄で指摘されているように、何となく不安が募る局面で、インタバンクに参加する幾つかの金融機関が念のために防衛的な資金繰りを行い、それで慌てた向きが金を取り始め、連鎖的に金の回り方がきつくなったという、つまりは不慣れが原因ではないかと考えられる。
 こういうとき、自慢できる話ではないのだが、金融システムがクラッシュ寸前に至った金融危機を経験したわが国は、まあ何というか落ち着いていられる、という優位性はある。金融政策の運営では危なっかしい日銀だが、流動性対応は抜群のノウハウを誇り、金融危機を潜り抜けた歴戦の猛者連中は今だ現役なので、これは珍しいことだが、ECBが緊急オペを打ったとき、日銀が頼もしい存在に見えちゃいましたね(笑)。
 日銀、明日はノーオペ、または売り手で、堂々たる姿勢を見せたらいい。結構、かっこよいと思うな。まあ、外銀のビッド次第だが…。
by bank.of.japan | 2007-08-09 20:50 | マーケット | Comments(18)
Commented by walrus at 2007-08-09 21:48 x
フランス大手銀行系列ファンドへのサブプライム問題波及対応ですかね。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-09 22:05
ユーロ急落中、株も欧州は軒並み安。米国が心配ですね。インタバンクの流動性ひっ迫、一時的ないいですが、深刻化すると銀行はアセット投げないといけないので、軽度の恐慌が懸念されます。そんなことにはならないとは思いますが…。
Commented by 害債 at 2007-08-09 22:11 x
この期に及んでこれほどあわてるとはよほどのことなんでしょう。金額もでかいしかなり異例ですね。ちょっと心配です。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-09 22:22
そうなんですよ。BNPパリバのファンドの件もありますが、それだけでインタバンクの流動性まで影響が出る理由が良く分からないです。単なる不安の連鎖ですかね。お昼に、都銀のマネー関係者から外貨調達のレートが上がっている、という話は聞いていたのですが。全般的なスプレッド拡大の一環かと思っていたのですけど…。
Commented by 害債 at 2007-08-10 00:28 x
こういう事態にあまりなれていないのではないかと思われます。まさに不安の連鎖ではないでしょうか?私も本当のところはよくわかりません。
Commented by linate at 2007-08-10 01:13
米株を見ている限り、サブプライムはそろそろネタの鮮度としては低下傾向だと思っています。ブルでもベアでも次のネタはよ来んかい!という感じで。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-10 01:23
害債さん、どうもです。先進国でこの手の危機を経験したのは日本ぐらいですので、欧米インタバンクの不慣れという面があるかもしれません。不安の連鎖がインタバンクにちょこっとこぼれた、と思いたいです。

linateさん、どうもです。サブプライム自体は語り尽くされつつあり、ご指摘のようにネタとしての旬は過ぎつつありますね。でも、次のネタがインタバンクの信用不安だとしゃれにならないので、もっと穏やかなものであって欲しいと思います。
Commented by Leonrosa at 2007-08-10 11:29 x
サブプライムの地震が、欧州で起こったのは、意外でしたね。
住宅担保証券の仕組みが素人には分かりにくいです。
モルガンやサックスが、どのように素人(諸投資家)をだまして来たかが、今回の事態でおぼろげながら分かりました。
本石町日記さん、ぐっちーさんに感謝です。

生々しいレポートを引用させていただきました。exblogにはTBが打てないので、コメント欄で御礼です。
Commented by Teddy at 2007-08-10 16:30 x
ウォール・ストリートのカモになったのは、IKB、NIBCに限りません。ABCP、MMFなどもサブプライムへのエクスポージャーがあるかも、とWSJ。ある友人は証券化ブームの終焉を見ています。損失の早期ディスクロージャーが大事となるという正論はありますが、CDOなど損失が評価できないときにいわれても、という感も。根は深い。コーポレートのデフォルト率が上昇し始めたとき、「平均への回帰」でとどまるかどうか。マクロからも目が離せない局面が早晩きそうです。BISのホワイト局長、面目躍如ですね。
Commented by 太郎 at 2007-08-10 16:54 x
何かGSで重大発表があるとかないとかってのはどうなったんでしょうかね。今のところ何も無さそうですが。。
Commented by amakara at 2007-08-10 19:19 x
はじめまして。
びっくりしたのが朝刊でこの問題を一行も報じなかった朝日新聞。各紙報道しているのに。夏休みにでも入ってたんでしょうか。
Commented by 本石町さんのおっしゃる通り at 2007-08-10 19:58 x
「捨てる神あれば拾う神あり」と申しますが、まさに本石町さんのおっしゃる通り、我が日銀のこの手の問題への対応能力は抜群です。決して嫌味ではなく、今般の問題など比較にならないくらいの金融危機からよみがえってきたことのもたらす強みで、その当時は非常に辛くても悲惨な経験があることが別の局面では大変な強みをもたらすという意味で、若い人にはなかなか信じてもらえない世の中の面白さでもあります。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-10 20:36 x
Leonrosaさん、どうもです。予断を許さない状況とは思っておりましたが、ユーロのインタバンクで騒ぎが勃発するとは意外な展開でした。引き続き油断は禁物でしょう。こちらこそよろしくお願いします。

Teddyさん、どうもです。企業部門のデフォルト率上昇によってマクロ経済が打撃を受けるのが最悪のパターンでしょう。利下げ局面に入らざるを得ません。そうなって欲しくないですが…。

太郎さん、どうもです。GSですか…。投資銀の大御所が揺らぐようだとかなりきついですね。クレジット市場に大波が起きそうです。

amakaraさん、どうもです。事情は良く分かりませんが、夕刊では足並みは揃った格好です。今後ともよろしくお願いします。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-10 20:40 x
本石町さんのおっしゃる通りさん、どうもです。あの頃の記憶はまだ鮮明に残っているのですが、若い方々にはもはや金融史の一コマになったのかもしれません。それだけ私が老いたということかもしれません(笑)。まあ、場慣れしている強さはあると思いますが、それが生かされる局面は不幸な状況なので、市場の混乱も経済に打撃とならずに終息して欲しいものです。
Commented by 飛車 at 2007-08-10 20:52 x
器を分散するリスク分散も、やりすぎたら結局金融市場全体が一つの大きな器になってしまったみたいな感じでしょうか。そういや中国博徒の連中はどうなんでしょ?

8月23日は「現状維持+但し書き復活」あたりになるのかなぁ。
Commented by bank.of.japan at 2007-08-10 21:04
飛車さん、どうもです。ご指摘の通りに金融工学を駆使しても、リスクテークの過剰になった部分がはく落するときは、一つの波となって相場の逆流が起きるのかもしれません。中国マネーは取りあえず「ゴミ箱」として利用された格好でしょうか。私も現状維持を見込んでおりますが、どうでしょうね。
Commented by dell at 2007-08-10 21:15 x
そりゃね、世界中で金融引き締めをやってればいつかこうなるのは必然ですよ。
真の問題は、こうなってもまだ利上げしようとするデフレの国の中央銀行があることではないかとw
Commented by bank.of.japan at 2007-08-12 15:06
dellさん、どうもです。個人的には、各国中銀の引き締めにはやり過ぎ感を覚えていたのですが、狙いが「第二の柱」である場合には、何らかの形でバブルの崩壊につながるものなのでしょう。中銀側の反論としては、ほっとけばもっと凄いバブルになって凄い崩壊になるんだ、というものでしょうが、バブルが金融政策で管理可能かどうか、私は疑問も覚えます。
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