金融庁・大森氏の特別論考が面白い=付録で日銀人事の話題
 まずは付録から。先般の人事異動だが、日銀内では金融機構局某部署が話題を集めているようだ。複数局の複数人から聞いた話では、その部署には“異色”の人材が集まるらしい。異色の意味、人材の集結が意図的なのか、偶然なのかは、今後調べてみたい。これは調査が楽しみ。レゾンデートルに悩む日銀プルーデンス、「高度化」の次は「キャラ」で勝負か、と勝手に空想したのだが…。北の書生もどきさん、外れですか(笑)。

 プルーデンスついでに金融庁ネタというわけではないが、「金融財政事情」(業界で良く読まれる専門誌)に寄せられた同庁大森泰人氏(総務企画局企画課長)の「特別論考・空想の金融システム&金融行政」(上、下)が面白い(執筆時は総務企画局参事官兼信用制度参事官)。「来し方を振り返り、そしてこれから」についての「個人としての空想」なのだが、この「空想」という前提の下で、かなり思い切って自由に意見&感想を述べられている、と感じた。論点は多岐にわたり、中にはそうかな?と思うところもあるが、全体としては琴線に触れるフレーズが多い。かいつまんで紹介すると以下の通り。まずは「上」より。
・三権分立と言うが、しばしば裁判の判決にはびっくりさせられる
・無理な法解釈だが、グレーゾーン金利は絶対認めないぞ、というのは(行政を良い仕事に駆り立てる)びっくりである。
・一方、金融経済事案の有罪は本人の違法性認識が不可欠と思われるが、そこを検証もせず、被告の人生を否定しているわけではないとコメントし、身障者の母親からの激励の手紙を読み上げながら実刑判決を下す裁判官がいたりする。
・また、ある時点の行政のぎりぎりの判断を、それより前にも同じ判断が出来たはずだと、神の予知能力を持たなかった責任を問うこともある。
・こうした場合、面と向かって「お前はアホか」と誰も言わないから、本人(裁判官)は自らのセンスの水準を認識できない。
・行政も同じこと(センスの水準が認識できない)が起き得る。つまり、よかれと思った制度も誰も批判しないからあさっての方向に走る恐れがある。今後、何をすべきが判然としない中で、行政センスが自ずと磨かれるシステムが必要と思われる。
・法律にどこまで細かく書くかが望ましいかは、明確な答えに到達していない。
・市場取引は(略)アメリカ流の大雑把な規定がある一方、知ってしまったら売買できないインサイダーとしての重要事実は細かく列挙している。
・かつてやましくもないのに捕まった奴はいないと言い続けていたが、逆に何らかの理由で捕まえようと思えば、本人の違法性の認識が定かでなくとも捕まえられる法律になっている。

明日は「下」を紹介する。実はこちらの方が私のフィールドにも関連して面白いのである。不思議判決のセンス論に倣えば、日銀も判断のセンスの水準を認識できる仕組みが必要かもしれん。

ps 村上氏、二年の実刑判決でしたな。何というか…。
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by bank.of.japan | 2007-07-19 22:54 | 経済 | Comments(8)
Commented by 北の書生もどき at 2007-07-19 23:16 x
ご指名恐れ入ります(汗)
Commented at 2007-07-19 23:41 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by bank.of.japan at 2007-07-20 00:43
↑さん、連絡先(非公開にて)頂くと助かりますが…。
Commented at 2007-07-20 06:53 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2007-07-20 10:49
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by bank.of.japan at 2007-07-20 13:17
NYlawyerさん、初めまして。コメントありがとうございます。私も時々、NYlawyerさんのブログは読ませてもらっておりました。村上判決も、要旨を読むと、まさに「お前はアホか」という部分がありますね。「徹底した利益追求主義には慄然とする…」、うーん、この表現に慄然とします。
Commented by うーむ at 2007-07-20 17:32 x
7/20日刊ゲンダイ
与党の大敗予想に日銀ニヤリ?
Commented by bank.of.japan at 2007-07-20 19:30
うーむさん、どうもです。そういう見出しなんですか。上げ潮路線全滅なら、ニヤリかもしれませんね。でも、政局混乱が経済に悪影響を及ぼすほどだと、顔はヒキツルのかも。
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