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割引債と銀行券の恐るべき相関=追記あり
 知り合いのエコノミストの一人、白石誠司・HSBC証券チーフエコノミストが銀行券動向の分析で大変興味深いリポートを出している。注目は「割引金融債と銀行券の相関チャート」である。具体的には、割債残高、銀行券残高、両者の合計を合成したチャートであり、これがなんと言うか、恐ろしいほどの(逆)相関を示している。
 私は、過去何度か書いているように、銀行券の伸びを「金融不安を背景にした予備的需要」に求める説には懐疑的である(ある程度はそういう需要はあろう)。むしろ、匿名性が選好されて銀行券需要が強まった側面が大きいとみている。では、何が銀行券に換わったのか。直感的に怪しいと思っていたのがやはり匿名性のあった無記名債券(割引金融債、ワリシンなど)である。
 この問題意識はかねて市場関係者らとの議論の中で浮上していたもので、白石氏もその中の一人であった。。ありがとうございます。さて、どういうチャートになったのか(作図すればいいのだが、やり方分かりません・笑)。文章で説明すると、割債残高のデータが取れる98年以降、銀行券の急増する時期に割債は急減し、合成すると非常に緩やかな増加ラインとなった。これほどきれいな図になるとは正直思っていなかったので、驚いた次第である。
 実は、しばらく前に日銀企画局でも両者の相関チャートは作成しており、その結果をみた職員らから「へぇー」、「ほぅー」という感想が漏れたやに聞く。このためか、これまで「銀行は減る」との説をもっぱら唱えていた日銀だが、最近では「減らない可能性もある」との説も聞かれるようになった。喜ばしいことである。作成を支持した幹部(局長?)は目の付け所がいいね。
 なお、緩やかに増加するのは経済成長(超緩やか)に応じたものであろう。私は横一直線になると思っていたのだが、そうなる方がやや不自然ですね。
 このネタ、本業でも取り上げようと思う。

ps もちろんこの相関が偶然の一致である可能性もあるので、割債→銀行券が絶対であると言い張るつもりはないです。

追記 割債と銀行券の関係に強く注目するのは「私」でありまして、リポートでは「可能性の一つ」となっており、また金利がさらに上がっていけば銀行券が減少する可能性があることも示しておられます。内容はこのエントリーとリポートは全く別物であります。
by bank.of.japan | 2007-04-19 20:52 | 日銀 | Comments(55)
Commented by 椿ライン at 2007-04-19 21:39 x
 今回も興味深いエントリーありがとうございます。私も白石さんの分析は好きなので、是非見たいと思います。
 タンス預金との相関性は納得いきますね。総裁之印が押された無記名日銀券は永田町の金庫に眠っているのでしょうか?
Commented by bank.of.japan at 2007-04-19 22:02
椿ラインさん、どうもです。ご覧になって下さい。チャート上はきれいな相関ですね。当分の間(もしかして相当期間)、輪番は減らない、減らせない、でしょう。
Commented by スタテス at 2007-04-20 01:26 x
割債が単調減少。これは金融機関の資金調達手段の多様化のために単に割債の意味がなくなっただけ。もうすぐ残高ゼロになるでしょう。
日銀は基本的には増加。ただし、ときどき減少もある。
見かけ上は両者に逆相関があるように見えるが、この意味は、人口減少の自治体の人口と日銀券の逆相関と同じ程度のものです。
要するに、割債と日銀券の逆相関は無意味でしょう。
そのうち、割債ゼロになっても、日銀券は基本的には増加基調でしょうから、両者の無関係はわかるでしょう。
実際にデータ処理すれば簡単にわかります。
Commented by スタテス at 2007-04-20 01:51 x
日銀は基本的には増加。

日銀券は基本的には増加。

実際にデータ処理すれば簡単にわかります。

実際にドレンド除去などのデータ処理をすれば簡単にわかります。
Commented by システム5.1 at 2007-04-20 08:23 x
これで白石さんや日銀幹部の評価が下がることはないと思いますが、基本的にはスタテスさんがおっしゃる通りだと思います。
Commented by プロ at 2007-04-20 08:32 x
白石さんのレポートの趣旨は、割債と日銀券の逆相関を紹介したもので、一方で普通預金の金利がコールに比べて低いことが日銀券金利感応度がまだ鈍い背景である可能性も指摘してます。
Commented by プロ at 2007-04-20 08:36 x
そして結論として、先行きの日銀券はどう動くかわからないので注視すべき、と結んでいます。
Commented by 学と at 2007-04-20 09:49 x
システム5.1 さん

>これで白石さんや日銀幹部の評価が下がることはない

金融界は楽なところですね。
トレンド(逆)相関を見逃したら、数値分析の初歩で落第です。
かつて、detrendしないでボラティリティを算出していた金融機関があって、大損こいていました。
こんな初歩的ミスをする人の分析はプロならパスします。
Commented by システム5.1 at 2007-04-20 10:19 x
学とさん。私は直接レポートを見たり、話を聞いたりしたのではなく、あくまで本石町さんのエントリーを読んで解釈したものですから、それだけで
「評価を下げる」と断じるのは、お二人に失礼と思ったまでです。ご容赦。
Commented by 学と at 2007-04-20 10:28 x
システム5.1 さん、わかりました。

割債残高と日銀券残高の逆相関はtrendなのは図を見てすぐわかりますが、ちなみに、割債残高と日銀券残高をdetrendして相関をみたら、無相関でした。
Commented by bank.of.japan at 2007-04-20 12:32
スタテスさん、どうもです。ご指摘のように偶然の一致として相関があるように見えるだけかもしれません。ただ、私には「無記名債」→「匿名性の優れた現金」への一定のシフトがあるよう思えて仕方ありません。

システム5.1さん、どうもです。この問題に関しては相違が生じてしまいましたね(笑)。
Commented by bank.of.japan at 2007-04-20 12:34
プロさん、どうもです。フォローありがとうございます。私の書き方が不十分であったことを補っていただき、恐縮です。
Commented by 通行人7号 at 2007-04-20 13:52 x
議論が統計の話になっちゃってますが、エントリーの趣旨は「銀行券の匿名性」の話だと思うのでそっちから。
企業経営してて銀行借入あった場合、何かあった場合に文字通り身ぐるみ剥がされないためその他の理由で捕捉されにくい個人資産を持つニーズがあると思います。大昔なら名寄せや本人確認が厳格ではなかったので色々と抜け道があったようですが、本人確認が厳格になってくると、銀行券がこの役割を一手に引き受ける(全体の中では微々たるものでしょうけれども)という事はありそうに思えます。
「匿名性」という話から、昔の映画「マルサの女」で誤魔化した売り上げを割引金融債で甕の中に隠匿しているという場面(記憶違いかもしれませんが)を思い出しました。
Commented by システム5.1 at 2007-04-20 14:46 x
直感的には、「無記名債から匿名性の優れた現金への一定のシフト」はあっても(あると思います)、それだけで全てを説明するには至らないのだと存じます。>本石町さん
Commented by bank.of.japan at 2007-04-20 16:31
通行人7号さん、どうもです。経営者のラストリゾートとしての匿名資産の保有ニーズに現金は確かにマッチしそうですね。その線があったのは気がつきませんでした。ご指摘、多謝です。

システム5.1さん、どうもです。もちろん、全てを説明するには至らないです。色々ある要因の一つに過ぎないかもしれません。問題は、色々ある要因の比率がどの程度かで、これは論者によって違うのでしょうね。
Commented by 学と at 2007-04-20 17:28 x
「無記名債から匿名性の優れた現金への一定のシフト」について、あるかないかと言えば、答えは「ある」でしょう。
事例一つを出せば十分ですから。(自分で1万円出して割債を買ってもいい)
ただ、問題はそれが社会的に大きいかどうかでしょう。
その説明としては、「割引債と銀行券の恐るべき相関」は全く使えません。
これについて、「偶然の一致として相関」ではなく「トレンドによる確実な相関」がありますが、トレンドを除去すれば、無相関ということですから、割引債と銀行券との間には99%因果関係なしと考えてよいでしょう。
それは、割債がゼロになったときに、銀行券が有意に増えるかというと、これまでのデータで見れば99%ないといえます。
もし、「無記名債から匿名性の優れた現金への一定のシフト」をデータからいいたいなら、割債と銀行券以外のものが必要です。
Commented by >学とさん at 2007-04-20 23:55 x
学とさんの説明、3行目まではわかるのですが4行目が全く理解できないです。特に最後の2行ですが、それでは具体的に何が必要になるのでしょうか。無記名債は割債しかないですし、それに代替する匿名資産は銀行券しかないと思うのですけど、、、、、
Commented by ラスト何マイル? at 2007-04-20 23:55 x
まあ、そんなに肩肘はって議論するようなものでもないでしょう。
本石町日記さんは、もともと着眼されていたポイントであるだけに、ちょっと大きめに反応されましたが、基本的には、これで政策が決まるような類のものではなく、「へー、面白いね」といった程度の居酒屋ネタだと思いますよ。
Commented by 学と at 2007-04-21 00:34 x
「割引金融債と銀行券の相関チャート」は、「無記名債から匿名性の優れた現金への一定のシフト」の説明には使えないというだけです。
なお文章中の統計用語はその方面の本でも参照していただければと思います。

ラスト何マイル?さん
本石町さんが「本業で取り上げよう」とか、某エコノミストとか、日銀企画局の「へぇー」、「ほぅー」がなければ、ご指摘のとおり、居酒屋ネタでしょうね。



Commented by bank.of.japan at 2007-04-21 00:38
学徒さん、どうもです。ご指摘通りである可能性もあると思っております。私がいくら強く思っても、外れている可能性は十分にあります。

ラスト何マイルさん、どうもです。実はさっきまで飲み屋でこの話で盛り上がっていたところです。あと数回利上げし券がどう動くか、楽しみです。問題は数回利上げができるかどうか…。
Commented by うーn at 2007-04-21 09:57 x
外れている可能性が十分にあるというか、そういう問題ではなくて、
明らかに「外れている」わけです。全く関係ない事象がたまたま同じ
動きをしているに過ぎないと…。

統計的に無視できる範囲の限界事例を持ち出して、「可能性がある」
と語るのはルール違反。それをいったら、世の中のどんな事象だって
語れます。統計学の初歩の初歩において、強く戒められる事例かと。
逆に、「誤用事例」として教材に用いるにはうってつけかも。本業で取り
上げられたら、その記事もセットで。

企画も困ったもんだねぇ。
Commented by マスコミ志望 at 2007-04-21 10:31 x
マスコミは居酒屋ネタしかいえないということですか。
チャートも自分で作れないなら、その程度でも仕方ないですね。
統計とかきちんと勉強しておこう。
そうでないと、取材先と酒飲んで、ネタもらって、チャートもらって、提灯持ち記事しか書けなくなるから。自分で分析して記事書きたいもん。
Commented by 通行人7号 at 2007-04-21 11:29 x
まだ統計学話をやっているんですか。上のほうでラスト何マイル? さんが言ってるように、マスターは「これは面白い」程度の話をしてるようにしか読めないのですが、「相関」という言葉を使っただけで凄い食いつきですねえ(苦笑)。
資金の匿名性とか秘匿性にまた話を戻すと、匿名で秘匿する資金は諸外国ではどのような形になっているのでしょう。現金や金地金で保管する部分もあるのでしょうけれども、オフショアに持っていくのでしょうか。そんな話だと門倉さんが詳しそうですね。
Commented by ダニアン at 2007-04-21 12:14 x
そうだね。
数字のわからない文系には痛い話だし、反論は無理だから、「本業」ではなく「居酒屋ネタ」ということにしたらどう?
Commented by walrus at 2007-04-21 15:47 x
反論されている方々に。政策金利が0.50%から0%になる過程での日銀券の猛烈な増加とゼロ金利解除後0.50%になった最近の日銀券の動きは明らかに非対称です。この現象(券の金利感応度低下)に対する統計的な示唆、結論をいくつかご提示いただけないでしょうか。
Commented by von_yosukeyan at 2007-04-21 18:26 x
「割債残高のデータが取れる98年以降」という部分で思ったんですが、この元のデータって証券業協会の公社債発行額統計が出所ですよねぇ?

これ、多分統計的に大口債も入ってると思うので、そもそも統計学的相関は成立しようがないと思うんですが。一時期、趣味で個人が購入可能な割債の発行データを集めてた頃があったので、JSDAのデータと比べてみましたが、かなり食い違ってます。本気で相関性を証明するのなら、JSDAの統計は使えないと思います

白石さんも、日銀の企画の方も、学とさんも、データの出所はどこなんでしょうか?
Commented by ??? at 2007-04-21 19:00 x
割引金融債と銀行券の相関みたいな話って、信じがたい話ですけど、分かりやすく反証するのは、結構大変なんですよね。話が少しだけ変わりますけど、世の中には、当座預金残高の減少と物価連動債の利回り低下とか、オーバーナイト金利の上昇とCPI上昇率の低下とかを、ごく短い期間をとって、グラフで並べて、日本銀行は再びデフレにしようとしていると論じる人もいます。日本銀行がゼロインフレを目指しているかどうかは分かりませんが、いくらなんでもオーバーナイト金利の上昇とCPI上昇率の低下がまったくラグなしで実現するはずがないのですが。そうしたことが分かっていつつ、詳しくない人をだますために、悪意でやっているように感じられます。(本石町日記さんに悪意はないと思いますので、念のため笑)
Commented by bank.of.japan at 2007-04-21 20:36
うーnさん、どうもです。もちろん、ご指摘のように「全く関係ない事象がたまたま同じ動きをしているに過ぎない」かもしれません。

マスコミ志望さん、どうもです。「マスコミは居酒屋ネタしかいえない」は、私はマスコミを代表しているわけではないので、主語はせめて「本石町日記は…」にしていただければ、と思います。

通行人7号さん、walrusさん、どうもです。「相関」という言葉使いの問題であったとすれば、私の不徳といたすところです。

von_yosukeyanさん、どうもです。日証協の発行データの金融債の内訳に割引債があります。現存額が98年1月から出ています。これだと合わないですかね。

???さん、どうもです。相関チャートは人によって解釈が異なり、例えばソロスチャートとか、私はあまり為替との相関があるようには思えないのですが、そう思う人も多いようです。ON金利とCPIの相関は聞いたことないですが(笑)、割債と銀行券の関係は、私は結構気に入っておりますよ。
Commented by ジジフリーク at 2007-04-21 21:32 x
久々にこのブログに立ち寄り、皆さんが盛り上がっているのを拝見しました。感想を二つ。
第一に、このブログにコメントを寄せられる方は、用語に厳密ですね。その水準の高さは、明らかに他の一般的なブログとは趣を異にします。
第二に、ホスト役のbank of japanさん、今回は断定しすぎた表現を冒頭に使われましたよね。だから、攻撃の餌食になってしまった・・・。
いずれにしても、このブログに参加される方の知的水準に高さには、感動めいた気持ちを覚えます。お世辞では、もちろんありません。
Commented by bank.of.japan at 2007-04-21 21:54
ジジフリークさん、どうもです。そういえばご無沙汰ですね。お騒がせしてすみません。断定し過ぎた表現はなるべく避け、攻撃の餌食にならないように気をつけたいと思います。
Commented by von_yosukeyan at 2007-04-22 00:20 x
やはりJSDAのデータですか・・・。私自身は、匿名割債から現金へのシフトはあるんじゃないかなぁ、という立場ですが、JSDAのデータで相関性を論じるには(仮説を証明するにも否定するにも)ちょっと大ざっぱじゃないかな、と思います

まず、割債のうち匿名性を要因として買った割債がどの程度なのかという点。これは既に述べたように、投信や事業会社が購入した大口債が統計に含まれているなら相関性は成り立たないのではないかと思う点です

第二に、JSDAのデータは98年1月からですが、長信銀は97~99年に大規模な取り付けを経験、03年前後には東銀が割債の発行を停止し、他行も本券販売を停止して保護預り限定で販売しているので、資金シフトを証明するにはもう少し長い期間のデータで見てみないとダメなんじゃないかと思います
Commented by マスコミ志望 at 2007-04-22 13:23 x
割債と日銀券の相関ですが、ちょっと勉強のためにやってみました。
そのままの相関係数は-0.96(恐るべき相関)
トレンドをのぞいた相関係数は0.03(相関なし)
要するに、表題「割引債と銀行券の恐るべき相関」は正しいのですが、これは見かけの相関で、因果関係はありませんね。
この程度の統計がわからないで記事書けば居酒屋ネタでしょう。
それにしても、某エコノミストや日銀のレベルは居酒屋ネタなのでしょうか。
そっちのほうが「恐るべき」です。
Commented by boukansha at 2007-04-22 17:51 x
多分、企画や某エコノミストの意識として、経済活動水準に比べて日銀券が異様なほど多い状態が淡々と続いていることが「謎」という思いが強くあるんだと思います。もちろん、彼らとしても割債がすべてと思っているわけではなく、割債償還見合いを含めてかなりのアングラ日銀券が存在しているのでは、との大局観があるのだと思います。必要以上に割債にスポットを当てて強調すべきではないと思いますが、彼らが割債を代表例として券の金利感応度が構造的に低下している可能性を考えるのは、謎めいた現状に対する問題意識として、決してミスリードではないと思います。むしろ、投資家にこうしたバランス感覚は必要でしょう。
Commented by bank.of.japan at 2007-04-22 18:19
von_yosukeyanさん、どうもです。ご指摘の通りに大雑把な面はあり、過去に遡ってみた方がいいし、可能性あればそういうデータでどうなるかが楽しみな面があります。割債出していた金融機関の過去の決算書などで調べるしかないですかね。
Commented by bank.of.japan at 2007-04-22 18:38
マスコミ志望さん、どうもです。因果関係の真実がどうかは何とも言えないのではないでしょうか。相関については、統計学的に完全に証明できるものもあれば、そうではないものもあるのではないかと思います。銀行券増大の主たる原因が何かはなかなか分からず、割債との関係は、全くない、多少ある、半分ある、かなりある、完全にある、のどれかではないかと考えます。私は「かなりある」と思っており、これは思う、思わない、の問題ではないかと。それから、繰り返しますが、「居酒屋ネタ」は「私」でありまして、書き方が誤解を招いたかもしれませんが、日銀は基本的には銀行券は減るだろうと予想しながらも、割債との関係を「一つの可能性」として指摘する向きも出てきた、という状況です。人によっては最初から「券増大はアングラじゃねえか」と言う向きもあります。
Commented by bank.of.japan at 2007-04-22 18:46
みなさんへ。マスコミ志望さんから、割債・銀行券の「相関」が「居酒屋ネタ」とのご指摘をいただきました。何と何が相関するのか、しないのかは実は金融政策運営でも非常に論点となるところで、これは別途エントリーで取り上げるつもりです。例えば、マネタリーベースと経済は相関するのか、しないのか。日銀(の大半)には居酒屋ネタにすらならないほど相関がないわけで、結構面白い論点だと思います。乞うご期待。マスコミ志望さん、論点提供多謝です。
Commented by bank.of.japan at 2007-04-22 18:53
boukanshaさん、どうもです。フォローありがとうございます。なお、私の書き方がミスリードであった面がありますが、もっぱら強い相関があると思うのは「私」でありまして、日銀は「一つの可能性」として、これを指摘する向きも出てきた、という状況です。私の見方が間違っている可能性はもちろんあります。
Commented by マスコミ志望 at 2007-04-23 01:19 x
本石町さん。どうも「相関」の意味に誤解があるようなので、再び書きます。
どのように考えるかも自由で、むしろ素人の発想としてマスコミには許されてもいいかもしれません。
ただし、居酒屋ネタでないなら客観的データとの関係はきちんと押さえておくべきでしょう。
証券業協会のデータはダメという議論を脇に置けば、割債と銀行券について、
そのままの相関係数は-0.96(恐るべき(逆)相関)
トレンドをのぞいた相関係数は0.03(相関なし)
つまり、恐るべき(逆)相関がありますが(99%くらいの確率で)因果関係なしです。
このように統計的には因果関係なしについて、主観的に「かなりある」と思うのは自由ですが、うーnさんのように、これは「統計的に無視できる範囲の限界事例を持ち出して、「可能性がある」と語るのはルール違反。」です。
Commented by マスコミ志望 at 2007-04-23 01:20 x
基本的なデータ処理に慣れておられないようなので、割債残高データの代わりに年率20%で減少する他のデータ(意味のない数列!)を用意します。
そのとき、この20%減少データと日銀券残高について、
そのままの相関係数は-0.955(恐るべき(逆)相関)
トレンドをのぞいた相関係数は-0.014(相関なし)
つまり、20%減少データという意味のない数列と日銀券には、恐るべき(逆)相関がありますが、因果関係はないです。
この程度の話を「一つの可能性」という日銀は、うーnさんが指摘するようにプロでないです。
データ抜きで話をされるのは自由でしょうが、データに基づくなら、この程度の話はエクセルで30分でできるので、是非ご自身でやってみることをお奨めします。
このデータの話は、1+1=2と同じで議論すべきものでありません.
Commented by 飛車 at 2007-04-23 04:23 x
>>本石町日記さん
さすがにマネタリーベースと景気に相関関係があるという人はいないと思います。マネーサプライ成長率と景気については論じる人がたくさんいます。日銀理論的には、マネタリーベースとマネーサプライが比例関係にないので、コントロール不能という事ではないでしょうか。そこでインフレ期待の形成方向に話が行くのかなと思います。

それと、金利感応度の低下はデフレの結果では?流動性の罠状態では金利感応度が低下します。これはトレンドというよりは、たまたま今がそういう経済状態だと考えるべき問題だと思います。
Commented by bank.of.japan at 2007-04-23 18:42 x
マスコミ志望さん、どうもです。「ルール違反」のルールがどんなものかご教授いただくと助かります。ご指摘されることはおおよそ理解できるのですが、一部違和感を覚えるのはその辺(ルール)に理由があるような気がしました。

飛車さん、どうもです。タンス預金の金利感応度が低いのは確かで、低さの理由が①まだ預金金利が低い②匿名性を維持する理由がある③全国の家計に広範にヘソクリがある-などが考えられます。問題は、それぞれの理由に基づく現金の比率でしょうか。ここが難しいです。
Commented by 飛車 at 2007-04-23 19:45 x
僕はタンス預金がまったく無いとは言いませんが、言うほど大量にあるわけではないと思っております。というか、貯蔵動機とか取引動機とかの類で保有している現金はもともと存在していますので、タンス預金という呼称を使用する事自体にちょっと扇動的な匂いを感じてしまいます。
「匿名性を維持する理由がある」というのは具体的にどういうケースでしょうか?やっぱり脱税?仮説としてあげるのであれば、もうちょっとはっきりと指摘した方が良いかなと思ったりします。

また、仮説として論じるのであれば、まずは定義をしっかりして計測する努力が先だと思います。いくつもある要因の中で、たまたま想像がついた一つの要因にこだわると全体が見えなくなります。タンス預金ありきとした議論はあんまり意味があるとも思えません。

日銀のサイトで調べればよいのですが、日銀券の残高が膨れ上がっているというのは、どれくらいの単位で増えているのですか?過去に取り上げられていたかな・・・。意外と、受払計上時に漏れがあったりして。
Commented by 通りすがり at 2007-04-23 22:00 x
「Commented by マスコミ志望 at 2007-04-23 01:20」の書き込みがあっても、まだ分からないのか・・・。いっそのこと、本業で取り上げちまえば?(藁)
Commented by 隙間風 at 2007-04-23 23:57 x
注目点があくまで2003年以降の割債と券の「和一定」でこそあれ、両者の逆相関ではないのならば、デトレンド作業の意味もなくなるのではないでしょうか?
Commented by マスコミ志望 at 2007-04-24 09:14 x
本石町さん。このブログで言及されましたから、VaRをご存じですね。
これは、たとえば確率99%の範囲内での予想最大損失額ですから、1%の限界事例をいいません。ことさら残りの1%を問題視して、無限大の損失に備えるべきとはいわないでしょう。
しかも、本石町さんが「かなりあると思う」という因果関係は、提示されたデータによれば1%にも満たないので、これはほとんどウソではないでしょうか。
そのデータを前提にすれば、「日銀券の動きを1%も説明できないでしょうが、割債は・・・。なお、これと同じように私の毎年2割減少する預金も日銀券の動きと関係していると思っています」とでもいっていただけると納得します(藁)
Commented by bank.of.japan at 2007-04-24 18:23
マスコミ志望さん、どうもです。私は引き続き割債から銀行券へのシフトは「かなりあると思う」と認識しており、これ以上やりとりしても平行線かもしれません。むしろ統計的分析でもって因果関係の有無を断定できるのか疑問に思う面もあり、改めてこの点をテーマにしたエントリーをアップしたいと思います。
Commented by bank.of.japan at 2007-04-24 18:30
飛車さん、どうもです。私の説明不足で、すみません。「タンス預金」の定義は、旧券から新券への交換比率(3月末、約75%)から、旧券のままとなっている残高(約20兆円弱)を指します。また、銀行券残高を細かく補足するなら日銀「営業毎旬報告」が参考になります。銀行券残高のGDP比は約8%が長期のトレンドで、90年代前半から上方かい離が始まりました。なお、受け・払いの処理ですが、日銀はこの手の作業は得意でありまして(笑い)、それこそ正確無比にこなすので、漏れはないと思います。
Commented by 飛車 at 2007-04-28 13:08 x
旧券残高が20兆円との事ですが、C券ですかD券の改良前ですか?機械選別されていますか?認識の誤差率はどれくらいですか?あと、お札の受払いの全体像ですね。「前期末流通枚数・今期発行枚数・今期回収枚数・期末流通枚数」という表にまとめたときに、今期発行枚数・今期回収枚数がとても大きい場合には、20兆円程度(20億枚)は誤差となってしまう可能性があります。回収された日銀券が選別され再度流通する流れが確立すると出入りの量はそれなりに膨らみます。諸外国と比較して日本のお札は異常に綺麗なのが有名です。

またいくら日銀が正確無比であっても、現実に1つ1つ数えて検品する事が不可能なお札の受払いが正確無比であるとは、僕にはとてもとても思えません。できる範囲内で精一杯正確にやっているとは思いますが。

ところで、8%トレンドの件、日銀の統計見ました。ざっと見た限り80年頃は7%近辺で1993年から乖離が始まっているように見えました。で、この頃からMB自体がGDP比で増加。MBを前年同月比で見るとざっくり日銀の政策スタンスが見えるわけで、発券済み通貨のGDP比は金融政策とGDPの反応の結果に過ぎないと思われます。
Commented by bank.of.japan at 2007-04-28 18:21 x
飛車さん、どうもです。旧券の券種はデータがあるかどうかいずれ調べてみます。なお「誤差」の定義がちょっと分かりにくいのですが、受け・払いの事務は、銀行窓口の金勘定のようにきちんと処理されているはずで、兆円単位の誤差が発生するとは考えにくいのですが。検品は機械処理のはずですが、あいにく現場を見たことはないです(基本的に部外者は立ち入り禁止)。トレンドの件ですが、当時は利下げ局面で、この緩和措置がMBのうち銀行券を増やしたのではないか、という推察でしょうか?
Commented by 飛車 at 2007-04-29 23:01 x
総額として市場に出ているお札が70兆でも、払い出しは1ヶ月に140兆、受入も140兆(月2回転)とかになる可能性はあるわけです。これだと年間に1680兆円の出入りになります。このとき20兆ずれるために必要な誤認率は1.2%くらいです。お札の出入りが多いとか、数年かけてならもっと低い誤認率でも20兆くらいすぐ狂います。お札が月に何回転するのか知りませんが、「みなが手持ち現金を減らそうと夜間金庫に突っ込むと、少なくとも市中銀行の出入りは増えます。市中銀行も同じように手持ち現金を減らして、年柄年中日銀と現金輸送車の出入りをするようになると、出入りは増えてしまうわけです。

これはあくまでも1例で、海外旅行で、海外にて両替用の予備的動機で置いてあるお金とか、本石町日記さんの指摘する脱税系の資金とか、色々あるでしょうが、まあ計測できるものから少しずつ削っていくしか把握する方法は無いでしょう。
Commented by 飛車 at 2007-04-29 23:14 x
後半のトレンドの部分ですが、

1.GDP成長率が低くなっている期間があるのに、何故GDP比を使うのか?低成長期間は上方乖離トレンドの開始時期と符号している。これこそ、分母を恣意的に選んだ事で生じた擬似相関そのもの。

2.紙幣残高はMBの残高全体とある程度パラレルに動いているのに、何故MBの上方乖離(政策によるもの)をとりあげずに1万円札をクローズアップするのかわからない。MBであれば、通貨乗数の低下として既に指摘されている。1万円札にこだわるのはちょっと下世話ではないか。

という2点の指摘をごっちゃに書いておりました。
特に1は、受動的金融政策の考え方だと、通貨発行残高は経済活動の結果であり、GDP比などの基準があるはずという視点に、悪い言い方ですが「染まっている」ように思えてしまいます。
Commented by bank.of.japan at 2007-04-30 21:17 x
飛車さん、どうもです。誤差脱漏の可能性があるのかどうかは今度聞いてみたいと思います(私はほとんどないとの考えですが)。タンス預金の動機は①銀行が心配だから手元に置いている②札束を見るのが好きだ③ヘソクリが家計にちらばり全体としては多額に上る④脱税・課税回避のマネー-など色々考えられ、それぞれの比率がつかみ難い、のが実情だと思われます。GDP比のトレンドは日銀の説明がそうなっているためで、これは受け売りです。
Commented by 飛車 at 2007-04-30 23:05 x
物流の世界では、PPMオーダーの正確性というのが、現在のクリアすべき目標です。もちろん扱う商品によりけりですが。PPMオーダーというのは100万点出荷して数点のご出荷が発生するレベルを指します。
「100%正確です」という人がいたら、その人は嘘をついているのか、それとも現実を知らない故に話をするに値しない人です。物流屋の営業が「うちの会社は100%正確に出荷します」って言ったら、「(お前と話をしていても時間の無駄だから)現場責任者をつれて来い」となります。
Commented by bank.of.japan at 2007-05-01 14:48
飛車さん、どうもです。物流上の誤差と、金勘定の誤差が同列に論じられるのか、私には判定難しいです。ただ、20兆円が誤差というのは、マネタリーベース統計的には重要な問題で、本当なら対策が必要でしょう。私は引き続き誤差はない、という立場で、これは日銀も同じであろうと思います。90年代前半から日銀の事務ミスが多発し、タンス預金が増えたように見える、というのはなかなか信じがたいのですが。
Commented by 飛車 at 2007-05-01 23:31 x
僕は20兆が多すぎるか少なすぎるかは、現時点ではわからないというスタンスです。市中残高はストックであり、誤差はフローに対して発生します。まずフローの規模がわかりません。
ついでD券の改良前後での差異というのなら、誤認率がPPMオーダー以上ある可能性ありだと思っています。これは推測です。そして、この差異は個々の金種の差異なのでマネタリーベースには一切影響ありません。

チェックという作業はあくまで想定しているミスに対してのみ効くもので、想定外の事象が起きている時には、マーフィーの法則のごとく、「間違える可能性があるところは、確実に間違えている」のが、こういう細かい作業の鉄則です。まあ、しがない物流業務での実務上の注意点ですので、日銀に対して当てはめるのは失礼かも知れませんが、現場では笑い話にしかならないような事件がいっぱいおきます。
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